黒毛和牛“豊後牛”の飼育シリーズその3
牛の出産
シリーズの第3回は、「牛の出産」について、話しを進めます。
発情(排卵)し、獣医さんの手で種付けが行われて10ヶ月の妊娠期間を過ぎるといよいよ出産を迎えます。
もちろん、出産間近(1ヶ月以内)な牛は、牧場への放牧は自粛し
農家の牛舎で乾燥した草や牧草を食べながら、あるいは、その近くの草場(個別の牧場)で
草を食みながら、お腹の赤ん坊の成長を待ちます。
出産が近付くと、作業し易い一番手前の柵の中に移動して出産の時を迎えます。
出産する場所(柵)が決めているんですね。
それまで、何度か獣医さんに診察は受けますが、何も問題なければ、各農家で普通に出産することになります。
牛によっては
牛舎の様子を見に行った時には、もう生まれていたという“安産”もあれば
ロープを掛けて引っぱり出すなどの大騒ぎをする難産もあり
また、生まれた子牛が立ち上がれず初乳を飲むことが出来ないなどなどで
いろいろなことが起こります。
つい先日は、その“難産”に属する出産がありました。
元々、難産タイプの親牛で、中々生まれそうにありません。母親牛も相当苦しいのでしょう。
悲痛な鳴き声をあげますが、段々その声も元気が無くなって来るような気がします。
主人が見かねて、牛の前足を探り、顔を出すまで引き出し、前足が出て来たところで
前足にロープを掛け、家族全員で引っ張り出すことになりました。
苦しそうに鼻息を荒くなってきて、家族にも緊張が走ります。
しかし、農家の主人は慣れたもの、頃合いを見計らって
この時とばかりに一気に引くよう声を掛けたかと思うと
ドドッーとばかりに無事生まれ落ちました。
と、それまで踏ん張っていた母親牛は、その反動で反対側に倒れ込んで柵に当たり
大きな柵の棒が折れる始末
直径が10cm近くもある丸太がボッキリ折れてしまったのには
みんなビックリ、今まで経験したことない出来事だと云っていました。
母親牛は相当きつかったのでしょう。でも
直ぐに起き出して、生まれた子牛の毛繕いをしてやらねばなりません。
母親牛の長い舌で愛おしく舐めながら毛繕いをされながらも、しばらくすると
生まれた子牛は、もう必死に立ち上がろうとします。
どうして立ち上がれるのか?見ている方は不思議な感じを受けますが、命のすごさの感動を受けるときです。
つい両手に力が入って、頑張れ!ガンバレ!!と声を掛けたくなります。
哺乳動物界に生まれた子に、最初に与えられた試練なんですね。
自分で立ち上がって親牛の初乳を飲むまでは出産が無事完了したことにはならない訳です。
こうして、まだ目も見えない赤ちゃん牛が、フラフラしながらも一生懸命で立ち上がり
母親牛の差し出す乳房を見つけて初乳を飲むのを見届けて初めて
出産が無事完了したと、ホットするんですね。
しばらく、様子を見ていて、どうしても親牛の乳首へ
辿り着けない赤ちゃん牛を、農家の主人が見るに見かねて
半抱きしながら、手伝うこともあるとはいいますが
自分の足で立ち上がって乳首へ辿り着くのを基本にしているといいます。
この時も、見ている間には乳首へ辿り着くことが出来ず
ちょっと心配していましたが、夜が明けて様子を見るとしっかり母親牛に寄り添って
もういっぱしの子牛の顔つきをして警戒する様子を見せていました。
(トップの写真です。)
初乳を飲むと、子牛の動きや様子が、はっきり目に見えて 変わって来るのが、なんとも不思議です。
出産は、満潮時期ですから、早朝と云わず、真夜中と云わず
この時ばかりは、牛の出産劇に振り回されます。
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