鼻通し

2008_01077120080018.JPG鼻木(鼻グリ)を付けています。

黒毛和牛“豊後牛”の飼育シリーズその6

 
 

子牛の鼻通し

 
 
 
牛はみんな鼻木を付けています。
この地方では「鼻グリ」と呼んでいます。
 
 
子牛もそこそこ大きくなると、いつまでも放し飼いでは具合が悪く
肥育農家や業者へ引き取られてゆくまでに
鼻に「鼻グリ」を付け、引き綱に繋いで、扱い易くしておかなければなりません。
 
そのために、鼻の穴の中央に比較的薄い部分がありますが
ここに穴を明けて、「鼻グリ」を通すのです。人間にもそのような薄い個所があります。
「鼻グリ」を引けば、牛は痛いため、その方向に動くことになり
人の意志に従わせるのに都合がいい訳ですね。
 
 
LinkIcon試練1、生まれ落ちてから自力で母牛の乳房に辿りつくこと
 LinkIcon試練2、母牛の乳房から早くも離されてしまうこと
そして
子牛にとっての3つ目の試練といえるかも知れない、この鼻の穴明け・鼻通しは
実際に身体に傷つけ穴を明ける訳で、相当痛みが伴うはずです。
 
 
その鼻の穴明け道具はと云えば
牛が怪我をしないよう鋭利な刃物は使わず、木で拵えます。
 
それにはグミの木が用いられます。
 
グミの木は、堅いため先端を尖らせられることと
表面をつるつるに仕上げられ、牛に要らぬ苦痛を与えないためと云います。
 
良く切れる刃物を使う方が、牛に苦痛を与えず良いように思えますが
よく切れ過ぎて、子牛の鼻を切り落としでもしたら大変です。
 
都合のいいものが見当たらないため、グミの木で拵えるわけですね。
グラインダーで先を可能な限り鋭く、そしてテーパを付けながら、程よい形に仕上げていました。


大昔、江戸時代まで、見せしめの張り付けの刑がありました。
十字の柱に張り付けられた胸を、槍で両サイド斜下からクロスに刺し殺すわけですが
これも、刑の重い方は、鋭利な槍の替わりに、竹槍だったというの云うのを
なぜか、思い出してしまいました。


DSCF8375.JPG 
 
作業は短時間で終わるため、麻酔などは使わず
 
一瞬で穴明けを行い、次いで「鼻グリ」を通す時の2回
牛は、痛みのため、一瞬腰砕けのような反応をして
暴れるそうですが、出血も然程なく、そう長くは続かないそうです。
 
でも
 
鼻グリも付けていない子牛をどうして大人しくさせて、穴通し作業ができるのか不思議ですね。
 
主人が手際よく、指でその穴を明ける位置を握ってしまうため
子牛は既に痛くて動けない状態にされている訳ですね。
暴れようものなら、主人から鼻を捻り上げられてしまいます。
 
この時、左手(利き腕でない方)で
しっかり、握り一連の作業が終わるまで、離すことはないそうです。
それから、利き腕へ拵えたグミの木の小道具を受け取り
 
そして、さあっと、穴が通されるのです。
ぐずぐず躊躇っていると、子牛に悟られ暴れ出してしまい、手が付けられなくなるといいます。
そして「鼻グリ」を通し、紐が結ばれて作業は完了します。
 
 
子牛はビックリしたでしょうね。それまで優しくしてくれていた主人から
いきなり弱点の鼻(それすら知らない子牛)を掴まれて、それは痛いめに合う訳ですから・・・・・
だから主人は、常日頃から子牛に触れ、子牛が警戒しないようにやさしく手名付けておくんですね。
 
ただ、これも明ける穴の位置をちょっと間違うと、然程、痛みがなく
「鼻グリ」の意味を成さないと、いいますから
半端な作業じゃないんですね。
 
 
こうゆう一般には余り知られていない作業を飼育農家は
自分たちの手で行っているんですね。
 
 
 
 
メインサイトはこちらです。
 
LinkIcon【久住高原スカイパークあざみ台】