黒毛和牛“豊後牛”の飼育シリーズその10
牛舎(ぎゅうしゃ)
その昔、一般に農家の作りは
南向きの母屋と、その西側に軒続きの丁度直角に備えた納屋兼牛舎(馬は飼ってなくても“馬屋”と呼んでいました。)がありました。
そして、そこで囲まれた庭が、全ての農作業の作業場に供用されていたものです。
東南向きの西風を遮った居心地のいいその広場に、鶏を放し、牛の日向ボッコをさせ、世話をし、
穀物の天日干しをし、子供たちの遊び場を兼ねていた訳ですね。
当時は、家畜を養うにいい形とされていました。
臭いやハエ等を気にしなければ気にならなくなるものでした。
もちろん、大抵の農家は牛や馬を飼い、そのパワーを農作業の力仕事に役立て
糞尿が堆肥としてお米や野菜を育てていた訳ですから、嫌が応でも慣らされていたわけです。
今では牛舎もそれなりに便利に考えられた構造になってきました。
一列に並べた幾つかの牛の柵は、横木を外せば長く見通せるようになり
その向こうに堆肥集積場が設けられています。
糞尿(堆肥)がある程度堪ると、その始末は、トラックターで一気に押し出してゆき
端に設けた堆肥集積場に落差を設けた高低差を利用して落としていくという
うまい作りをしています。
もちろん、糞尿はここで醗酵が始まりいい堆肥になって、田圃や畑に利用されます。
この時、牛の糞尿だけでは不足する成分を追加して 時々掻き回して、堆肥を作るといいますが
何時もできることでは無さそうです。
堆肥を押し出した後は、消石灰を巻いて、牛舎の床を消毒をし
中二階にストックしている籾殻を捲き敷きます。
水は、水面の高さを一定になるように構成した容器を夫々の柵の前に設け
牛が水を飲むとその分、水が増えてくるようにしています。
外に大きなのタンクを設けて配管し、高さが何時も一定なるように補給水を自動調整している訳です。
岩塩はその水の餌箱の中において何時でも舐められるようにしています。
草や藁、そして牧草ばかりを食べている牛は
塩分が不足するため、その補給で岩塩を舐める訳ですね。
こうゆう準備をしていない頃、牛がいきなり土を舐めるのをみたことがありますが、塩分を補給していたんですね。
牛の上中二階には、牧草や藁、敷き藁のパッキングした物を
積み上げており、必要により上から落として牛に与えます。
そして、その中二階にはその上から牧草や藁や籾殻を自然に反しない要領で積み込めるように考えられています。
下から上へ物を持ち上げるのは大変ですが、上から下へは無理がありません。
要は斜面の土地をうまく活用して牛舎を構成しているんですね。
柵の横棒は閂(かんぬき)で、外れないように止めますが
これが、外れることがあるといいます。
牛たちは、食うか、反芻するか、寝るか以外は、することがない訳で
ダニが付いて痒いところがあったりすると、その横木に首を擦り付けたりする訳ですね。
これが、結構大きな力で、想像が付かないほど大きな力だったり、しつこく繰り返される間に
何かの拍子に外れてしまうことがあると云います。
これが、外れても牛舎の外に逃亡しないよう、牛舎の扉を閉めるといいますが
すると、中で、おいしい餌が狙われて食べられてしまうため、おいしい飼料は
別の小部屋にしっかり隔離して管理されていました。
あっ、大事なことを忘れていました。
肉牛の子牛を生産する主人は、なぜか、牛系の肉はほとんど食べないと云います。
焼肉などを食べてきた翌日などは、牛が警戒して寄り付かなくなるからだといいます。
牛も感じているんですね。
でも、それだけでは無さそうです。牛に対する愛情があるからではないでしょうか。
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