黒毛和牛“豊後牛”の飼育シリーズその16
牛との会話?
牛の戸籍登録はシリーズ5で取り上げましたが
その際、それぞれ名前を付けて登録しています。
多分、これは日本だけの小規模生産農家だけで
アメリカやオーストラアリアなどの3桁も4桁も規模の違う農家では考えられないでしょうね。
「やすとみ」、「かおり」、「やよい」、「こうこ」、「やえつる」、・・・
と、親牛に名付けられて、今も現役の母牛たちの名前です。
その名付け親は、もちろん主人、時には名付けに困ってしまい
家族みんなで命名することもあると云います。
それも、母牛と種牛の名前を捩って付けたり、語呂合わせしたりと何とも楽しそうです。
でも、そうして名付けられた名前を牛たちは分るのでしょうか?
牛舎で呼んでみましたが、姿を見たどの牛もが、振り向いて
どれがその牛なのか、良く分りません。
この辺が、犬などのペットとはチョット違うようですが
でも、これが、牧場などの広い所で、大きな声で名前を呼ぶと
同じ牛舎に住んでいる牛たちが、集まって来るんですね。
同じ牛舎の仲間たちは、そんなに離れない所に集まって行動しているといいます。
名前をではなく、主人の声を聞き分けて
聞き覚えのある声がすると、振り向いて寄って来るようですね。
もちろん、まったく始めには、餌を使って、名前やかけ声を掛けて訓練している訳で
賢い牛がすぐ覚えて、他の仲間がそれに続くことになります。
牛を呼び集めるかけ声はこれです。
「 ボーイ! ボイ!ボイ! 」
を、一フレーズにして必要により何度も呼んで、牛たちを集めます。
一緒に飼ってる牛たちのリーダ株(賢い牛)の牛の名前と
「ボーイ!ボイ!ボイ!」を
繰り返して呼び集めるとのことでした。
チョット、アホな牛は、自分の主人以外の、その呼び声に
吊られて集まってゆく牛もあるようですが。
牛も、賢いのやら、アホなのやら、いろいろいるようですね。
気候が良くなってきて、牧場がオープンされた頃
牛舎に、いつも牛を乗せて運ぶトラックが近付くと、牛たちがにわかに騒がしくなります。
牧場へゆくことが分っているんですね。
トラックの音を聞き分けている訳です。
アホなのか、賢いのか、良く分らなくなるんですが、実はこんな事もあったといいます。
その昔、お婆ちゃんが亡くなって葬儀も終盤、いよいよ出棺となり
牛舎の近くの裏側の道を通って、静々とお棺が運ばれてゆくときです。
いきなり、牛舎の牛たちが、一斉に鳴き出したといいます。
その鳴き声は、悲し気に響いたことは云うまでもありませんが
それは、お棺が通り過ぎて遠くへ離れるまで続いたと云います。
出棺を見送っていた村のみんなは、顔を見合わせて囁きあっていました。
「 分かっちょるんじゃろか? 牛の世話をようしちょったきなあー 牛たちも悲しいんじゃろ 」
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