黒毛和牛“豊後牛”の飼育シリーズその1
久住高原 稲葉牧場の“黒毛和牛”
シリーズの第1回は、久住高原「稲葉牧場」の牛たちをご紹介します。
というより、黒毛和牛“豊後牛”の飼育の様子を何回かに分けて特集しようと思います。
まず、その初回は、稲葉牧場の様子です。
毎年4月から、草の状況を見ながら放牧場のオープンの日取りが決まります。
地元では「牧入れ(まきいれ)」って云ってるんですね。
飼育農家の雌親を春夏秋と放牧してきた稲葉牧場は、そろそろ終了の時期を迎えます。
12月中頃を予定していると云います。放牧場の終了は「牧上げ」(まきあげ)と、呼んでいます。
その牧場を管理している監視人さん“佐藤久司さん”にお話しを伺いました。
地元の人は、愛称を込めて「牧番さん(まきばんさん)」と、声を掛け、名前を呼ぶ人は少ないそうです。
久住高原のこの広大な草原は、地域に合わせて大きく3つに分かれています。
その内の一つ、久住山に向かって西側一帯が、稲葉組合が管理する“稲葉牧場”です。
その広さ:大凡200ha(ヘクタール)、ちょっと感覚的に掴み切れませんが
高校野球で有名な阪神の甲子園球場(5.96ha)の約50個分の広さです。
と、云ってもやっぱり想像しにくいですが、相当、広いことは間違いないようですね。
この草原を、牧草を育てるエリア“採草地”と、牛を放牧するアリア“放牧地”に割当てて管理されており
採草地は文字通り、牧草を植えてそれを刈り取り、主に冬期の牛の餌にするんですね。
そして、放牧地、いわゆる牧場は17区画に区切って、順番に牛たちを放牧していきます。
そのエリアの草を食べ尽くすと、次のエリアへと、移して行く訳ですね。
牛をいつも目の届く範囲に置くことが、その主な目的ですが
この移すタイミングが1日でもずれ込んでしまうと、牛の脱走が起こります。
特に秋頃になると、おいしい草を求めて脱走劇が増えるそうです。
イガ線で仕切られた柵は、牛たちにとってはそう大したものではなく
おいしい草が有る間はいいのですが、食べる草が無くなると、隣の草を食むべく
イガ線の冊など、かるく押し倒して出て行きます。
イガ線の柵から首を伸ばして隣の草を食んでいるうち、ちょっと弱い個所があると壊れてしまう。
壊れたので、そこから出て行き隣の草を食む ってな感じです。
牛は食い意地が張っているんですね。賢い牛は、採草地の牧草を食べたり
中には好奇心の強い牛も居て色んなところへ出歩き
特に困るのは、車道に出て来て交通事故を起こしたりすることもあるので大変です。
(この話しは次回に回します。)
そんなことが起きないよう、草の食べ残しの具合を見ながら
移すタイミングを判断しなければならない訳です。
食べ尽くされたエリアに一歩踏み込むと
遠めには、きれいな草原も、足の踏み場もないほど牛の糞が散らばっています。
草履履きなどで、入ろうものなら(危険ですから決して入らないでくださいね。)
エラい目に合うことになります。
これらの糞尿が、次の草を育むんでいるんですね。
毎日、50CCのバイクを飛ばしながら、見回りをして
イガ線柵の具合や、水飲み場の状態、塩分補充の岩塩などをチェックしながら
牛たちを見、牛たちの行動を見、牛たちの鳴き声を聞きながら、異常がないかチェックしていると云います。
特に、発情が近付いている牛を見かけると
直ぐに、持ち主に連絡して上げなければなりません。
牛の発情の周期は21日間、そして
発情している24時間以内に、獣医さんにお願いして“種付け”を行わないと
流れてしまい、効率的な飼育サイクルが保てなくなるからです。
この発情している牛を見分けるのも
慣れないと大変なんですね。(この話しは次回に回します。)
子牛の生産農家にとっては、大事なことなんですね。
そして、何より
牧場内での事故の未然防止と、事故発生時の早急対策に注意を払うといいます。
<ヘリ遊覧飛行から見た放牧場の斜面です。縞シマ模様は牛が歩いて出来た道です。>
斜面に縞模様が見えますが、これは、斜面を牛たちが歩いて付いた道です。
云うなれば“牛道”ですね。
牛たちが首と舌を伸ばして届く間隔ごとに、道が出来上がっています。
この縞模様が、いたる所にも付いていることからも、草と云う草は、食べ尽くされるのがお分り頂けると思います。
食べて/反芻して/寝る、起きているときは、食べているか反芻していると思って間違いないようです。
こんな斜面から、滑落し、骨折したり、何ともなかったりといろいろですが
毎日、見回りをしてくれる“牧番さん”の御陰で、大事な牛を
安心して“稲葉牧場”へ預けることが出来ているんですね。
あっ!
紹介し忘れていましたが
“牧番さん”佐藤久司(ひさし)さんの奥さん、カーリンさんは、ドイツの方だそうです。
今度、お見かけしたら声を掛けてくださいね。
いろいろ楽しい話しを聞かせて貰えるかも知れませんよ。
もう、一つ云い忘れていました。久住高原の早春の風物詩〝野焼き〟は、この稲葉牧場の野焼きのことです。
その昔は、他の2エリアもやっていたそうですが、随分前からやらなくなっています。
メインサイトはこちらです。
【久住高原スカイパークあざみ台】

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