「き、ききききたわよー、理樹君」
「う、うん」

 僕らは、とある場所に来た。
 沙耶さんがいっぱいいっぱいになってるのが側にいてわかる。
 
「つ、つつつついたわよー、理樹君」
「うん。そりゃ見たらわかるよ」

 そのいっぱいいっぱいさを見てると、釣られて緊張するのかと思いきや、むしろ落ち着くゆとりを与えてくれた気がする。
 緊張よりも今は、がっちがちになってる隣の彼女を支えてあげないといけない。
 しっかりしなくては。彼氏なんだから、たまには彼氏らしいところを見せよう。

「なんかさ。やっぱりちょっと緊張するよね」
「き、緊張?! ば、ばかっ、何で私が緊張なんかしなきゃいけないのよっ。
 スパイがいちいち緊張してたら任務なんて遂行できないわよっっ」
「えぇー」

 ここでまさかのツンツンで来るとは…。
 緊張してるって言ってくれたら可愛いしエスコートしたくなるのに、この反応だと僕はどう行動すればいいんだろうか?

「こんなホテル、私のロケットランチャーでボカーンと吹っ飛ばしてやるんだからっ」
「ちょっと、吹っ飛ばすって?! だいたいロケットランチャーなんて持ってないでしょ!!」
「なら常時携帯してる手榴弾で…」
「だから、何で今から入るホテルを吹っ飛ばす発想しかないのっ」

 やっぱりいっぱいいっぱいだった。
 いつもの彼女だったってことに少しほっとしたのと同時に、どうやってホテルに入ろうかと手段を考えないといけないことにも気がついた。



「よっしゃーっ、入ってやったわよーっっ!!」

 威勢良く部屋に突入する彼女。
 威勢が良いのは今だけで、色々入るのをごねた挙句、僕がおんぶすることを引き換えにようやく入ったと言うのが本当のところなんだけど。
 おんぶのほうが絶対恥ずかしいはずなのに…。

「で? どうするの? 脱いだらいい? それとも理樹君のをしゃぶるのが先? 時間決まってるんでしょ?? なら早くしないと!!」
「いやいやいや。そんなに焦らなくても結構時間あるからっ」

 沙耶さんはやっぱりテンパったままなんだろう。
 ここはちゃんとリードしてあげないと。
 でも…僕も初めてだからよくわからないんだ……。
 恭介や謙吾に訊いても、実体験じゃなかったからあまり参考にはならなかったし。
 
「ほらほらほらっ。理樹君もう我慢できないでしょ!!
 さっさとズボンとパンツ脱ぎなさいっっ」
「って、実力行使で脱がさないで!!!! あとそんな野獣でもないよ!!」
「いいじゃないっ。こんな美少女をラブホテルなんかに連れ込んで、もう理樹君は我慢できなくて爆発しそうなんでしょ? ね? ね?」
「だーかーらー、やめてよっ、沙耶さん」

 この状況を見て、十人が見て十人が、襲ってるのは僕じゃなく沙耶さんだと思うはずだ。
 そして僕は、ここからどうやって立場を逆転させようかと、ズボンが脱がされそうになるのを必死で抵抗しながら考えていた。




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