その瞬間,ジーロングのソッチ系の人々…ではなく,2−Cの室内に衝撃が走ったという。

「あの素敵な風紀委員は誰だい?」
「何か昨日の役員改選で決まったらしいわ」
「オゥ,ホットガイ!」

 ロングの髪に髪飾りを揺らして,動揺のあまり東スポのゲイネタを繰り広げる自分のクラスの男子達を後目に教室を出ていくのは誰あろう,一部の生徒などからは,その職務の持つ印象から最も遠いところに位置するパーソナリティを持つ女,三枝葉留佳であった。

『しっつれいしちゃうわね。大体,嫌がる人が多いからってくじ引き採決とか強行する方が悪いんですヨ』

 阿鼻叫喚慟哭無限天地無用の教室にご機嫌ちょっと倒れ気味になりながらも,受けたからにはしょーがないですナと言った風情な彼女は,付け心地にかなりの慣れを要すると思われる腕章も煩わしげに初仕事であるところの改選届けを委員会室へと持っていかないといけないのである。

『んむ,でもすれ違う人みんなに驚きの目で見られるってのはどういうコトでしょうかね。そんなに変かなこれ』

 なちゅらるでぃざすたーな学園生活をエンジョイした結果,付いて回る噂はろくなもんではないことは承知しているつもりの葉留佳ではあったが,何もそんな贔屓球団が最終戦で優勝を逃したとか決まったはずの十万馬券が審議の結果降着でパーとか持ってた株が紙屑になったとかそんなレベルの終末顔をしなくたって良いではないか。

「あ,佳奈多さん!どうしたのそんな葉留佳さんみたいなカッコして…」

 思わずイヤガラセに変なステップを踏みながら委員会室まで行ってやろうかと考え出したりした頃,葉留佳の背中から声がかかる。

「あや?理樹君?」

 振り向いた先に立っていたのは,辞書やらノートやらを抱えて教室移動中な感じの,隣のクラスの直枝理樹であった。

「ってどわあああああああ?!はははは葉留佳さん?!まずいまずいまずいよ!それ早く返さないと佳奈多さん本気で!」




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