「そうだ、デートに行こう」

「いきなりだね、鈴…」





「というわけで商店街だ」

「誰に説明してるのさ」

いきなりの鈴の発言から数時間後。

僕達は商店街へ買い物に来ていた。

どうやら目的は何時もの一緒らしいけど。

「今日は新作の発売日なんだ」

「毎回良く新しい製品を考えるよね、今回は何味なの?」

モンペチは普通な時とネタな時の差が激しすぎるから今回はどっちなのだろうか。

あまりに変な部類だと猫達も嫌がるだろうし。

「えっと、『お前の猫にレインボー味』だ」

「へっ?」

「だから『お前の猫にレインボー味』だ」

今回はネタ系のようだった。

最早何の味かすら分からない領域に不安も残る。

そんな会話をしながら歩いていると、突然鈴が足を止めた。

「どうしたの?鈴」

そう言いながら鈴の視線を追うと喫茶店の店先に『カップルジュース始めました』の文字。

それを見て苦笑しながら鈴の方を見ると何故か首を傾げていた。

「鈴、これをやりたいの?」

「前にさささが『カップルジュースも出来ないようでは恋人とは言えませんわ!』と言っていたんだ」

なるほど、鈴はこれがどういうものか知らないのか。

鈴らしいなと思いながらいたずら心がふつふつと沸いてきた。

「じゃあ今からやろうか」

「いいのか?」

「何事も経験だよ」

そう言って鈴の手を引いて店に入る。

純粋な鈴を騙すような事はしたくないが男としての興味が勝る。

鈴なら頼んだ後で逃げるような事も無いだろうし。

店員さんに素早く注文するとすぐに注文の品は運ばれてきた。

「なんでストローが2つ付いてるんだ?」

恐らく知らない人が見たら当然思うであろう疑問を口にした鈴にそっと真実を耳打ちする。

途端に真っ赤になる鈴。

「なんでそんなくちゃくちゃ恥ずかしい事しなきゃいけないんだ!」

「じゃあやめる?」

次の鈴の言葉を予想していながらもそんな事を言う僕。

「やめたらもったいないだろ」

そう言って顔を真っ赤にしながらストローに口を付ける鈴。

僕もそれを見届けてから反対側のストローに口を付ける。

「…………」

お互いがしばらく無言。

余程恥ずかしいのか、目を瞑りながら顔を真っ赤にしてジュースを飲む鈴が可愛い。

しかも、それをいい事にまったくジュースを飲まないで鈴を見ているのだから、僕はもしかしたらSなのかもしれない。

「もう2度とあんな事しないからな!」

喫茶店を出た後、鈴は何回も同じ台詞を繰り返している。

顔は相変わらず赤いままだ。

「嫌だった?」

既に夕方になり、夕陽が照らす道を歩きながら鈴に聞いてみる。

もちろん答えは分かりきっているが。

「理樹はいじわるだ…」

好きな女の子をいじめる小学生とかってこんな気持ちなのかな…

そんなどうでもいい事を考えるある日の出来事。




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