「直枝さん、なんで分かって頂けないのですか」

「無理な物は無理だって、いくらなんでもこれは」

今、私は直枝さんと喧嘩の真っ最中です。

どうしてこうなったのか、それを説明するには少し時間を戻さなければなりません。






「お祭り?」

「はい、年末に大きなお祭りが開かれるのですが、直枝さんに少し手伝って頂こうと思いまして」

別に嘘は言っていません。

「それって冬コミってやつじゃないの?」

「良くご存知で」

これは意外でした。

まあ、最近は割りとメジャーになってきたようですから当然かもしれませんが。

「今年は恭介も行くみたいで誘われてたからね」

「なるほど、ではご一緒して頂けるのですね」

良かった、これで計画が実行出来ます。

「では当日の衣装の事なんですが…」

「衣装ってなに!それにこの羽根付リュックとカチューシャは」

「是非直枝さんに着て頂こうと思いまして」

似合うと思い、いろいろ探し回ってやっと見つけたアイテム達です。

「いやだよ、なんでこんな恰好しなければいけないのさ!」

「年に2度しかないお祭りの時ぐらい、彼女の顔を立てて頂いてもいいと思うのですが」





このような感じで先程より平行線の言い合いが続いています。

時間の無駄ですので最終手段を取らせて頂きます。

「直枝さん…どうしても駄目ですか?」

対彼氏用決戦奥義”上目45度のお願い”です。

「くっ…でもこの恰好は無理だよ」

む、意外とガードが固いですね…

では特別サービスです。

「もし承諾して頂けるなら…」

そう言って直枝さんの大事な部分に手を持っていきます。

ここで何をするか直接言っていないのもポイントですね。

「…これを着るだけでいいの?」

効果は覿面のようです。

もうちょっとですね。

「ええ、これを着てちょっと買い物に付き合って頂ければ」

「分かった、いいよ…」

「ありがとうございます、直枝さん」

これにてミッションコンプリートです。

そのまま勢いで直枝さんに抱きつきながら私は当日の事を考えます。



直枝さんには言っていませんが当然私が買うのは「女性向け」…

女の子の恰好でそれらを買う直枝さん…アリです。




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