「……ふぅ」
 来ヶ谷さんが額に浮かんだ汗を拭うと、ちゃぽんと言う音がします。古きよき日本文化、露天風呂……そこに日本的な女性である来ヶ谷さんが浸かると、そこはまるで一枚の絵画――いえ、一枚の掛け軸のような美しさを感じられます。
「うおおぅ……流石姉御、貫禄のないすばでぃですネっ」
「おっと、そんなに褒めてもサイズアップに協力することしかできないぞ?」
「ちょっ、姉御待って下さいヨいやー!」
 ……黙っていればなぁ、と思いつつ私も額の汗を拭いました。ちゃぽん。




" 露天風呂での「クド・姉御・はるちん」で(ぉ "



「いやー……にしても、思いきってきて良かったですネ」
「うむ、そうだな」
 ひとしきり大暴れした後、お二人は湯船の縁に腰掛け、のぼせないように身体を冷やしていました。普段から熱湯で入ることが多い私は肩まで浸かっていますが……いやそれ以前に、私は暴れていませんから身体を冷やす必要がないわけですが。そしてもう一つ理由があるわけですが――まぁ、それは置いておきましょう。思わず深く息を吐きます。
「ね、ね、クー公もそう思うでしょ?」
「あ……はい、そうですね」
 11月初旬、文化祭の代休や祝日が合わさった大きな連休を利用して、私たちはちょっとした旅行を計画することにしました。ただ意外にもこの連休に帰郷する人、委員会がある人、部活のある人、就活のある人……結局あんまり人数は集まらず、4人だけでの旅行となったのです。その4人というのが、ここにいる来ヶ谷さん、三枝さん、私、そして――。
「いやー、少年もこっちに来ればいいのになぁ」
 ……わざと大きな声で、来ヶ谷さんがそう言いました。すると薄い壁の向こうから「そんなことできるわけないでしょっ」という、いつも通りの突っ込みが返ってきます……そうです、その4人目というのが直枝理樹その人なのです。

<続くかもしれない>




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