「うう、お姉ちゃんが教えてくれればいいのにー」
「わふ、そうは言っても風紀委員のお仕事じゃ仕方がないのです。今日は私とれっつふぁいとです」
「ん、そうだね。今日はヨロシクだよクド公先生ー」
「クド公先生ってなんなのさ……」
理樹君が「葉留佳さんの作るご飯、食べてみたいな」と言われてから、私はお姉ちゃんに料理を教わりながら理樹君に食べさせていた。だけど今日は忙しくて時間がないということなので、代わりにクド公に教わっているのだ。
「それでは、今日のメニューはじゃぱにーずにお味噌汁とご飯、そして肉じゃがとおひたしです。他にも三枝さんが作りたいものがあればご自由にどうぞ、なのです」
「よーし、今日はクド公に私の料理の腕前を見せてあげますヨ。もう城とか壊れたり海が割れたり天国に行ったり踏み台にしたりするようなものを作っちゃいますヨ」
「いや葉留佳さん、それは既に料理じゃないから」

ご飯は既に炊いてあるので、とりあえずメインの肉じゃがから取り掛かる。じゃがいも・たまねぎ・ニンジンを強火で煮立て、砂糖とみりん、それに醤油を加えて味をつける。さらに豚肉を入れてアクをとり、落し蓋をして10分。その隙にキャベツと大根を切り、油揚げと一緒にお湯の中へ入れ、しんなりしたら味噌を溶かす。肉じゃがの方が丁度良くなってきたので落し蓋を外し、強火にして汁気が軽く飛ぶまで放置。湯で煮ておいたほうれん草の方にとりかかる。水につけて熱を冷まし、水気をしぼって醤油とかつおぶしをかけたらおひたしは完成。ついでに味噌汁の方もお椀に三つよそっておく。最後に水気が飛んだ肉じゃがをお椀に盛り付けたら完成。

「ウルトラ上手にできましたー!」
「なんか描写が無駄に細かくなかった?」
細かいことは気にしたら負けなのですヨ理樹君。作者が夕飯が美味しそうだったのでつい細かく書いちゃったとか考えたら絶対ダメ。
という訳で二人に食べてもらう。この瞬間って緊張するなー……。
「うん、美味しいよ、葉留佳さん」
理樹君はいつも美味しいよって言ってくれる。優しいのはうれしいけど、もうちょっと正直に言ってくれてもいいとは思う。まあアクセントとかイントネーションでなんとなく分かるけど。今回は良く出来たらしい。八十五点といったところかな。
さて、今回のゲスト、クド公はどうかな?
「……」
無言だ。ヤバイくらい無言だ。これはもしかして超高評価とかそういうことかなあだといいなあうれしいなあヒャッホウはるちんフィーバーしちゃうぜー。
「こ……」
「こ?コレは桑の実だ?桑の実は入ってませんよ?」
「間違いなく違うから、というかそんなこと普通絶対言わないから」
「えー、絶対言わないってことは無いと思うけどなー」
「いやいや……」
「この味噌汁を作ったのは誰だー!女将を呼べなのですー!」

予想外すぎるリアクション。
「三枝さん、あなたですか!このお味噌汁を作ったのは!」
「あ、ハイ、そうですけど」
思わず敬語。
「出汁は腹を取ってませんし、具の柔らかさもなってない!それにこの肉じゃがはなんですか、ニンジンはやわらかすぎるしおじゃがは固すぎ、水気を飛ばすのは結構ですが風味を飛ばしちゃ本末転倒!味つけも雑ですし一体佳奈多さんから何を学んでいたのですかあなたは!」
「え、えーと、クド公?キャラ変わってますよ?」
「そんなことはどうでもいいのです!おひたしは醤油のみでだしも入っていない!こんなものはおひたしとはいいません!わふわふわっふー!これはおひたしではなくほうれん草うぃずソイソースというのです!」
やばい、なんか変なスイッチ入ったっぽい。どうしようかとあたふたしてると、
「聞き捨てならないな、クド。醤油とほうれん草のみでも十分おひたしにはなるんだよ」
「ほう、それは結構ですね。なら作ってみてください!私を納得させるおひたしを!」
理樹君が助けの手を出してくれた。……って、なんか台詞がおかしくない?

振り向くと、そこには、太い眉とソフトモヒカンっぽい髪形になった理樹君が、って
「ちょ、理樹君が山岡士郎っぽくなってるーーーー!?」






「という風になったら面白くないですかネ?おねえちゃん」
「うふふ、じゃあ私は明日からハートマン軍曹っぽく教えてあげようか?」
「いえ冗談デス」




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