「で、初めての出演でいきなりコレですか?」

突然の電話、しかも朝5時

律儀に取った私を誰か褒めて欲しい

こんな真冬の朝五時なんてどれだけお布団が恋しい季節と思ってるんですか

というか乙女の朝五時とかに電話する神経が理解できなかった

「そういうなよ、お前ならそういうの得意そうじゃないか」

電話での第一声は『いますぐ部室に来て欲しい』の一言

私がえ? と戸惑っていると即座に切られて意味も分からずに会話終了

なにか一大事でもあったのか、それとも私の大好きな大ハプニングでもあったのかと期待1割、めんどくささ9割で部室に来た

そして第一声が…




『どうしよう!? 俺、理樹にあげるチョコレート作ってないんだ!!』



それが朝5時に呼び出して私に言う事ですか…

キンッと冷える冬の朝の空気はたまに早起きしたらちょっと心踊るものがあるけど、今日はもう人生やめたくなるくらいゲンナリしてしまった

だって、この人本気なんですヨ?

目の前で頭抱えて必死になってわめいている先輩(と思いたくなくなってきた)は男の子にチョコをあげる気マンマンだったらしい

だったじゃない、あげる気まんまんなんです

せっかくの乙女の聖戦、2月14日の朝ですよ

私だって理樹くんにどうやってあげようとかワクワクしながら目覚めるはずの朝なのにこの人のせいで全てのやる気が0ですよ…

「俺的にはサプライズとかして理樹にチョコレートを渡したいんだ!」

「それは友チョコですか?」

「友(愛)チョコだ!」

なんか今変な字が挟まってた気がしますよ…

でも今から作るにも昨日私やお姉ちゃんの材料は使いきったし、姉御やみおっちは買ってきてたし…

こまりんは自分で作って全部自分で食べてはわわ〜っ! ってなんてたし…

材料なんて無いですよ。買いに行くにもお店なんて開いてないですし…

「恭介さんは面白おかしくチョコを理樹くんに渡したいが為に私を呼んだんですよね?」

「ああ! それ以外で俺が三枝に頼むことなんかないだろう!」


……
………

お姉ちゃん、キレていいですか?

この(21)言うに事欠いてそういうこといいますか

でも私は我慢に我慢、さらに姉御のおっぱいを思い浮かべて耐えた

「……わかりましたヨ。ベタですが、身体にチョコを塗りたくって『理樹、お前の為にチョコを用意した!』って叫べばどうですか?」

みおっちの目がキッラキラしそうだけど…

というかこんな適当な案で許してくれるわけないか…

何かこの人が満足しそうなネタを提供して私はさっさとお布団に帰りたいですヨ…

「お前天才だな!!!」


……
……もうヤダ…

これで元リーダーですよ、私たちまで同格に見られるのはちょっと勘弁ですよ…

「よし、どうやって渡すかはこれでいいとして、後はチョコだな! 三枝は理樹にチョコ作ったのか?」

「え!? あ、あはは…い、一応…」

後々思えばここで止めとくべきだった

と言うか私にも責任が生まれていた事に気付くべきだった

「わかった。今日はミッションとして誰が理樹のハートを射止めるか大会にする。不公平があったらいけないから全員のチョコを家庭科室で管理する事にしよう」

や、やっと正気に戻った?

「じゃあ、三枝ありがとうな! お前にもチョコおすそ分けするから!」

「ヤハハ…遠慮します……」













そして数時間後

家庭科室に行った私たちは…

「死ね変態ーーーっっ!!!」

「……断罪しよう…」

「能美さん、神北さん見てはいけません」

「わふー!? 前が見えないですー!」

「ほわぁ!? さーちゃんなんでーっ!?」

「美しいです…(///)」






みんなのチョコを全裸の身体中に塗りたくって『理樹、受け取ってくれ』というプレートの上の台座でポーズを決めている恭介さんがいました…





「恭介……。ボク強くなれないよ…」





オシマイ



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