「まったく迷惑な話ね…」

他に誰もいない自室で何度も同じ発言を繰り返している。

明日、あの直枝と一緒に出掛ける事になってしまった。

どうしてこうなってしまったのか、そもそもどうして直枝なのか。

「あんな奴と一緒に行動して楽しい訳がないじゃない」

問題児集団の一員にしておせっかい焼き。

童顔で、情けなくて、頼りにならない人。

私の最も嫌いなタイプ。

「まあ、すぐに用事を終わらせて寮に戻ってくれば良いだけよね」






















「なんて…割り切れればいいのだけれど…」

いくら自分を誤魔化そうとしても、自分に嘘はつけない。

どんなに正反対な事を口にしたって、自分の心は彼への思いで一杯なんだから…

「ごめんね…ごめんね直枝…」

自然と涙が溢れてくる。

いくら彼を想っても、いくら彼を好きになっても、二木家の呪縛からは逃れる事は出来ない。

彼は何も悪くない、むしろ悪いのは私。

どうしようもない…優等生の振りをした偽善者。

どうしようもない絶望感の中、私は自分の学生証の間に挟んである写真を取り出す。

それはいつだったか葉留佳が持ってきた…

リトルバスターズの写真から切り抜いた彼の写真。

「そういえば今日はクドリャフカは他の部屋へ泊まるって言ってたっけ」

絶対に敵わぬと分かっていながらもそんな写真を持っている情けない自分を誤魔化すようにつぶやく。

そんな自分を、写真の中の彼はどう思うだろうか。

気付けばもう日付は変わってしまっていた。

「夢ぐらいは…一緒にいさせてくれるかな…」

いずれは覚める夢でも、例え夢の中だけでも…

「おやすみなさい…理樹」




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