「不思議な……ものですね」

 彼女は、真っ先にそう言った。

「え?」
「直枝さんの周りにはたくさんの人がいて、その全員が魅力的で……それなのに、今、こうしてここにいるのがわたしだということが、不思議で仕方ありません」

 二人きりで、ベッドの上で一緒に寝て。
 僕自身、こういうことを自分がやるなんて思っていなかった。

「そう……かな。僕は美魚もみんなに負けず劣らず魅力的だと思うよ」

 決して勝っているとは思わない。それだけ、リトルバスターズのみんなというのは魅力的な、個性のある、輝きに満ちたチームだった。

「ふふ、直枝さんらしいですね」
「え、ぼ、僕らしいって」
「多分、普通の男性ならもっと特別に扱ってくれるでしょう」
「そ、そうなの…かな」

 急に自分の発言に対して後悔する。もっと言葉を選べばよかったと。

「いえ、そんな落ち込まなくても」
「いや、でもね……」
「ふふ、そんなところも直枝さんらしいです」

 彼女はそういって僕のほうへ顔を向けてくる。
 その顔には、笑みがあった。あの頃なら見ることの出来なかった笑みが。

「きゃっ」

 たまらなく愛おしくて、僕は彼女を抱き寄せる。
 もっと傍にいたい、ずっと傍にいたい。

「直枝さん……」
「僕、もっと美魚が僕のことを好きになれるように頑張るよ」

 だから僕は彼女の傍にいれるよう、そう決意を口にする。

「いえ、直枝さん。残念ながら努力する必要はありません」
「え」

 それはどういうことなのだろう。もしかして他に好きな人がいる? それとも既に飽きた?
 不安ばかりが押し寄せてくる。

「安心してください直枝さん。決して直枝さんが思っているようなことではありませんから」
「え、じゃあどういう……」
「それは、とても簡単なことです」



「わたしは、既に直枝さんのことを世界で一番好きですから」




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