二人っきりで、お出かけしませんか?
そう頼んで、まさかいいと言って貰えるとは思ってなかった。
あの人は
「別に断る理由なんてねえだろ?」
って言うけれど。
その一言を言うだけで、私は精一杯だったのに。
やっぱり敵わないです、って改めて思いました



今日は学校の近場の丘が目的地。
雨が降り出しそうな天気、でも私の心は晴れ渡っている。
「やっぱりあの時は筋肉のおかげだったな」
「わふー。流石筋肉なのです・・・」
何気ない会話だけれど、やっぱり少し緊張している。
いつも学校でもこれくらいは話しているのに。
あんまり上手に話せないまま、目的地に着いた。
近くの遊園地の観覧車が少しだけ見えると彼は言う。
私には見えない。
やっぱり、小さいのは損です。
そうぼやいたら、何も言わず彼は私を肩車してくれた。
ほんの少しだけれど、観覧車が見えました。
「・・・そのうち、一緒に行こうぜ」
・・・やっぱり小さいのも、悪くないかもしれません。

帰る途中で雨が降ってきました。
念のため持ってきた折りたたみ傘が役に立つ時がきました!
って、私じゃ小さくて相合傘ができませんでした・・・。
私が悔しい思いをしているのにはどうやら彼は気付いてくれなかったようで。
私の歩幅に合わせてくれていたので、びしょ濡れになってしまいました。
「風邪ひいちゃいますよ?」
でも彼は
「馬鹿は風邪ひかねえから大丈夫だ。あとこれ位で風邪引くようなヤワな筋肉はしてねえよ」
って言います。
案の定、次の日彼は風邪をひいて学校を休みました。
まったく、本当のバカなのです!
・・・プリンでも作ってお見舞いに行こうと思います。



風邪が治ってすぐに、今度は彼から二人っきり出かけようと誘われました。
体が鈍ったから外に出たいだけ、と言っていますが理樹の話では遊園地のチケットを予約していたとの事。
・・・嬉しいですよ?
でもどうして素直に言ってくれないのでしょうか。
「お見舞いに来てくれたお礼なんだってさ。やっぱり照れくさいんじゃないの?」
それを聞いて、笑顔が止まらなくなったのはナイショです。

当日はあいにくの雨。
それでも傘を持って、二人っきりでお出かけです。
「プリン、美味かったぞ」
「そう言ってもらえると嬉しいです・・・」
雨だったのでそんなに乗り物には乗れませんでしたが、楽しかったです。

そしてその帰り道。
「あ、傘忘れた!」
雨はまだ降っているのに、どうして忘れて来れるんでしょうか・・・。
「忘れたから貸してくれねぇ?」
そう言って彼は私を持ち上げて、肩に乗せました。
「これなら一緒に入れるだろ?」
・・・ずるいと思います。
そうしているといつの間にか、雨は上がっていました。
「あ、虹です!」
空には綺麗な虹が架かっていました。
「お、ホントだ」
そう言って空を見上げる彼の顔はとても無邪気で、いつもと違う表情に少しドキリとしたり。
何気ない時間のが、確かに幸せでした。

電車に乗って、ゆっくり帰ります。
私は遊びつかれて、彼にもたれ掛かって眠ることにします。
「おやすみなさい、マサト・・・」
「おう、おやすみクー公」



電車のリズムに体をあずける。
そんなある日曜日の午後。