関節と症状
解剖学的に関節と呼ばれるのは滑膜性の結合で大きな可動性を持っています。
その他の骨の連結は不動結合と非連続的な可動結合があり、基本的には可動
性はなく、あってもごくわずかにずれる程度です。
不動結合には脛骨と腓骨の靱帯結合や頭蓋骨の縫合、釘植などの線維性の
結合と、肋椎関節や恥骨結合のような軟骨性の結合があります。
多くの関節は線維膜と滑液膜からなる関節包の中に滑液が入っている構造で
運動性に優れています。
関節にはそれぞれに異なる可動域、動くことの出来る範囲がありその限界点が
二種類あります。自分で動かせる範囲の限界が生理的限界、外力が加わったとき
に動く範囲が解剖学的限界(関節の遊び)です。この範囲を超えて動いた場合は
脱臼してしまいます。
俗にいうズレ、歪みというのは、何らかの外力により関節の動きが関節の遊びの
部分にまで干渉してしまった状態のことを言います。この領域は自力で動かせる
範囲の外になりますので、いったんズレが発生してしまうと自力運動だけで元に
戻すことは出来ません。
支持関節
関節にズレが発生し、正常な動きが出来なくなった状態(関節機能異常といいます)
が痛みなどの症状と密接に関係すると理学療法AKAでは推論されています。(レン
トゲンなどに写る問題ではないためあくまでも推論の域を出ることが出来ません)
なぜ関節機能異常が痛みなどの原因になるかと言うことに関して操体法の橋本先生
は、何らかの外力によって骨格にズレが発生した場合、そこに付着する筋肉に緊張
が生まれる。(この時点で動作の制限が出ます)この状態が継続することで骨格によ
る圧迫と筋肉の異常緊張から周辺に圧力の変化が起き、結果血流が阻害される。
血流が滞ればそこには老廃物が溜まることになり、コリやだるさといった症状が出て
さらにその状態が続けば神経細胞への酸素の供給不足が起き、異常な状態にさらさ
れた神経細胞からはSOS信号が発せられるとしています。そのSOS信号が痛みです。
この状態をさらに悪化させるような行動(ズレを助長する行動)をとると痛みは増長し、
さらに進むと痺れ→感覚異常→麻痺となり、関係組織の器質的な変化から破壊へと
進んでいきます。このプロセスの逆をたどることで症状は回復していくのですが、器質
の破壊にまで至ってしまった場合には限界があります。
体を動かすためには、動きを支え、動作の支点になる部分が必要になります。それ
が支持関節です。背骨と骨盤がそれに当たります。
四肢の関節はそれぞれの可動域が大きいため外力に対して柔軟に対応することが
出来、かなりの力でもお互いが動くことでうまく吸収し、逃がすことが出来ます。
しかし、支持関節は構造上関節の可動域が小さいうえに、四肢の動きを最終的に受
け止める形になりますので関節の遊びの部分が干渉されやすく、機能異常が発生し
やすくなります。
人間が二足直立歩行を始めた時点から腰は体の要となりました。立つ、歩く、走る
、座る、寝る。全ての動作で骨盤の仙腸関節には最も力がかかります。さらに仙腸
関節は他の支持関節に比べて極端に可動域が小さいために関節機能異常が最も
発生しやすい場所になるわけです。
理学療法AKAでは数多くの臨床によって体に現れる症状の90%以上がこの仙腸
関節の機能異常によるものであると特定しています。(その他の関節機能異常の
多発する部位としては背骨以外に立位で最も力のかかる足首から下の足関節が
あります。)
さらに、その多くの症例から整形外科などでレントゲンやMRIによって骨の変形など
が見つかり椎間板ヘルニアや腰椎分離症、すべり症と診断された方、あるいは、交
通事故でムチウチとなり何ヶ月も痛みなどの症状が消えなかった方、スポーツでの
肘の故障や捻挫などの怪我が治った後も続く痛み、またそれらに伴う動作の制限、
そのほとんどが仙腸関節の機能異常を解消することで症状が緩解あるいは完全に
消失することが明らかになっています。
ということは、症状の原因は支持関節の機能異常であるので、ヘルニアなどの器質
的な変化は二次的に発生したものか、あるいはもともと存在していて症状とは無関
係である場合がほとんどだということがいえます。
体の動き・連動
私たちの体は全体で一つです。骨格は関節でつながれていて、お互いに関係しあっ
ています。体の一部を動かせばその動きは全身へ影響します。これを連動と言います。
この連動がうまくいっているとき、体の動きには無理がなく、見た目にも美しい動きと
なり運動能力も最大限に引き出されます。逆に、連動が不自然であると動きはバラ
ンスを欠き、最も負荷のかかる場所に故障が発生します。
体がゆがんだ場合に筋肉に異常な緊張が発生するわけですが、この緊張も連動と
同じ経路をたどり全身に広がります。そうして最初にあったズレから始まり、二次、
三次と体の各所に飛び火して症状は複雑化していきます。
症状の出ている部位だけに対する療法が一時的な効果しか出ない、あるいは無効
である理由はここにあります。私たちの体は全体で一つです。
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