市場経済のしくみ

価格機構

 資本主義経済では、財やサービスの価格は、原則として、市場の需要と供給の関係で決まる。これが市場価格である。個々の企業や消費者は、この変化する価格をめやすとして生産や消費の量を調整している。
その結果、市場で供給過剰が生じる場合には価格が低下し、反対に需要の増加によって品不足が生じる場合には、価格が上昇することによって、市場での需要・供給が調整される。このように、価格には経済社会全体の需給関係を調整する自動調節作用がある。
この機能は価格機構とよばれ、社会全体の複雑な資源の配分を最適におこなうはたらきをしている。ただし、この価格機構が合理的に機能するためには、市場で自由な競争がおこなわれ、市場への参入が自由であるなどの条件が必要である。
しかし、現実の経済社会では、市場の失敗と呼ばれる現象がみられる。たとえば、独占や寡占によって自由な競争が阻害されて市場がうまく機能しない場合や、道路・下水道などの公共財のように市場自体が成立しない場合がある。また、市場を通らないで他の経済主体に利益をあたえたり、公害のように不利益をもたらしたりする場合もある。これらは市場機構の限界を示しており、政府のはたす役割が重要になってくる。

競争と独占・寡占

 商品の中には、生産規模を拡大し大規模生産をおこなうことによって一商品当りの費用を大幅に削減できるものがある。このような商品を生産する場合には、企業は大規模生産による利益の実現をはかろうとする。
このため、市場をめぐって、各企業は自己の市場占有率(シェア)を増大させるために激しい競争を展開する。その結果、少数の企業によって市場が支配される場合がある。市場支配が単一企業による場合を独占と言うが、現代の資本主義経済に特徴的なのは、少数の企業によって市場が支配される寡占である。  企業の中には、競争を避け、利潤を確保するために、価格・生産量・販売地域などを協定してカルテルを形成することがある。このほかの市場独占の形態にトラストやコンツェルンなどがある。  価格競争は、寡占市場であってもみられる。しかし、大企業どうしの価格切り下げ競争は共倒れになる危険が大きいため、一つの大企業がプライス=リーダー(価格先導者)として価格を決定し、他の企業はそれに追随するという価格形成がおこなわれやすい(管理価格)。
このため、技術の開発や生産の合理化などによって生産費が低下しても、価格が下がりにくくなる(価格の下方硬直性)。したがって、寡占市場においては、価格競争よりも非価格競争という形をとるようになる。
この場合、企業は需要の多様化を考慮しながら、商品のデザイン・品質・販売方法・広告・宣伝・アフターサービスなどの面で競争する。
 このことは、消費が消費者自身の自発的選択よりも企業の影響によっておこなわれやすくなることを意味し、消費者主権がそこなわれる危険も出てくる。
 今日の多くの資本主義諸国では、独占や寡占にともなう弊害を除くために、法的規制をおこなっている。わが国では、これらの弊害が国民生活に及ぶことを防ぐために独占禁止法が定められ、この法律の目的を達成するために公正取引委員会が設けられている。  

市場占有率と独占禁止法

 1社または数社の企業の生産物が、その市場全体の売上高に占める割合をいう。
 独占禁止法の正式名称は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」。
1947年に制定され、1953年の改正によって規制が緩和され、不況カルテルや合理化カルテルが認められるようになった。しかし1977年には、独占禁止法の強化改正がおこなわれた。

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