Computational Fluid Dynamics Basic




非圧縮性流れのシミュレーション/層流編


・ここでは,NS方程式による最も簡単な流れ解析を紹介します.一部,乱流に関する言及がありますが,一般に乱流モデルを用いない解析をDNS解析を除き,層流解析と呼びます.



◆流れ関数-渦度法(ψ-ω-method)


・2次元NS方程式の圧力項を各々y,xに関して交差微分し消去します.流れ関数ψと渦度ωの定義式を圧力項が消去されたNS方程式に代入することで,渦度輸送方程式が得られます.また,連続の式から定義される流れ関数ψを渦度ωの定義式に代入することで,流れ関数ψのポアソン方程式が得られます.これらの2式を連立させ,ψとωについて解き,流れ場を解析することを流れ関数-渦度法と呼びます.
特徴として,


・連続の式を厳密に満足させながら解析を進めることができる
・流れ関数は2次元流れにしか存在しないため,3次元流れに拡張するのに工夫を要する


などがあげられます.数値計算法のアルゴリズムとしては恐らく一番簡単な部類に入るでしょう.


1. 一様流中に置かれた正方角柱周りの流れ
2. 正方キャビティ流れ
3. 一様流中に置かれた円柱周りの流れ




◆フラクショナルステップ法(FS-method)


・ψ-ω-methodでは,圧力項を消去したため,圧力の境界条件が課された場合は計算できません.また,障害物が多い複雑な流れ場では流れ関数や渦度の境界条件を定めるのが困難になります.そこで,NS方程式を元の変数のまま解く方法がしばしば用いられます.これを速度・圧力法と呼び,解き方も何種類かありますが,フラクショナルステップ法もそのうちの1つです.フラクショナルステップ法の手順は,3ステップになります.


 まず,NS方程式の圧力項φを消去した速度のみの変数で構成される式(1)を時間に関して前進差分近似し,次の時間の速度utを求めます.これは次の時間における速度に近いという意味で,中間速度utと呼びます.圧力φを無視して計算した値なのでこの段階では意味を持ちません.次に,この中間速度utを利用して,次の時間ステップの真の速度uを求めるのですが,ここでは圧力勾配の影響を考慮して,陰的に補正する式(2)を立てます.(これら2つの式(1)(2)を足し合わせると元の方程式と一致します.)


 2段階目として,圧力φを得るために,式(2)の発散をとり,圧力φのポアソン方程式を作るのですが,次のステップでの連続の式の誤差を修正するために,∇u(n+1) = 0 とします.すると圧力φのポアソン方程式の右辺は,∇ut/dtとなり,ここで先ほど計算した中間速度utを用いて右辺を求めることができます.


 3段階目は,圧力φのポアソン方程式を解いて得られたφの値を式(2)へ代入して,次の時間ステップでの真の速度uを得ます.


特徴として,


・圧力φのポアソン方程式の計算負荷が小さい
・3次元流れにも簡単に拡張できる(速度・圧力法は全てそうなのですが一応)
・得られた圧力φは連続の式を満たすためのスカラーポテンシャルで真の圧力とは異なる.(傾向自体は大体合っている)


などがあげられます.HSMAC法と同じようにポアソン方程式の優対角化が可能で,シンプルな解法なので,非圧縮流れ解析で近年よく用いられるようです.


1. 正方キャビティ流れ









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