
| キョン「ミカン食うか?」 |
俺は見た目からして寒い長門の部屋にいるのだが、それはハルヒが引き起こした問題と事後の説明をして貰っている。まあ、いつものようにヒスで始まった閉鎖空間など時間逆行など、うんぬんかんぬん、朝比奈さんの可愛い悶え姿を見れたからよしとする。 キョン「そうか、とりあえずまた世話になっちまったな。何か礼をしたいんだが」 長門「いい」 キョン「あー、そうはいっても、いつも迷惑ばっかかけてるからな」 長門「私は貴方を守ると約束した。だから問題ない」 ヘリュウムのような瞳で見つめられると、コイツが何か目的やしたい事はないのかといつも悩む。総合ナンとかから作られたヒューマなんとかとしても、少しは人間がする楽しい事や何か趣味なことをしても罪はないと思うし、大体人間の社会でも休日があるんだからヒューマなんとかのこいつにだって休日や有給を与えてやれってんだ。 キョン「とりあえず、何か考えておいてくれ。何でも言う事聞くぞ」 長門の液体窒素のような目が俺の荷物に向いてる。 キョン「そういえば、家からミカン持ってきたんだ食うか?」 長門「…」 目の前に出されたミカンを見て長門は不思議そうに見つめている。ん? こいつはミカンをしらないのか試しに手渡しをしてみよう。ほれ 長門「…」ポン! スッ… ミカンを両手で受けとった長門はそのまま口に運ぼうとする。その姿はハムスターのようで面白いのだが、悪い冗談になるので止めておこう。 キョン「タンマ!」ヒョイ 長門「…? 何故ミカンを取り上げるの? 私は今食べようとしているのに」 キョン「長門お前、ミカン食べたことないだろ?」 顔がナノ単位で動いたのを確認した。傍目変わっていないように見えるが、長門顔微細変化見極め永世名誉会長の俺から見れば不思議でたまらないという感じで変化した事は簡単に分かったさ。まさか本当に食べた事ないとは。もっとも、一人暮らしでミカンを買って食うとも思えないし、コイツの常食はカレーだからな。 キョン「お前に知らないものがあるとは、珍しい事もあるもんだ」 長門「…知っている」 キョン「無理しなくてもいいからさ」 長門「…そんな事はない」 キョン「そんな意地にならなくても」 長門「この果実はうんしゅうみかん。漢字では温州蜜柑、学名:Citrus unshiuといい、ミカン科の常緑低木、様々な栽培品種がある。食用として利用され、日本の代表的な果物。冬になれば炬燵の上にミカンという光景がこの惑星でとりわけ日本国の一般家庭に多く見られる。子供がよく冬休みにミカンを食べ過ぎ、みかん病になってしまったというが、あれは柑皮症といいカロテン(ビタミンAの前駆物質)の過剰摂取により、皮膚にこの色素が沈着して黄色くなる状態。症状の現れる場所は手指や手のひら、足の裏、鼻翼などの色調が黄色調となる。これを回復させるには摂取を停止すればいい。ちなみに甘い柑橘ということから漢字では「蜜柑」と表記される。古くは「みっかん」と読まれたが、最初の音節が短くなっ…」 キョン「おい、長門」 長門「?」 キョン「あーん」 長門「…?」カパッ 俺が口を開ける姿に釣られて口を開けたので、皮を剥いて、白い皮も、これなんったか忘れた。も、剥いてやったミカンを口に放り込んでやった。 長門「…」ムシャムシャ… キョン「旨いか?」 長門「美味しい」 キョン「それはよかった。ほれ」 もう一度長門に新しいミカンを手渡ししてやった。すると見よう見まねで、皮を剥いて自分口に運ぶ。旨いだろ? これは俺の爺さんところで作ってるミカンでな特別製だ。ん? またナノ単位で首を傾げているが、どうしたんだ? 長門「美味しいけど、何か違う。そちらを」 キョン「これか? ああ、モノによって甘さとか酸味とか違うからな」 長門「…」マクマク… キョン「どうだ? そっちの方が甘いか。ならこれを…」 長門「…? さっきと食べたのと違う。貴方は何をした?」 んー? 何をと言われてもなぁ、何もしてないんだが? ああ、剥いてやったな。剥いてやったくらいで味が変わると思えんが。 長門「それを私は希望する」 キョン「ん、まあ、かまわんが、ほれ」 長門「…」モクモク… キョン「もう一個か?」 長門「コクン…」 マイクロ単位で頷いたこれには凄く驚いた。 長門「…」モクモク… キョン「まだ食うか?」 長門「コクン…」 長門「…」モクモク… 美味いのかまずいのか段々分からなくなってきたぞ。 キョン「…」 長門「…」 キョン「…」 長門「…」 キョン「…」 長門「…」 キョン「もっとか?」 長門「ええ」 ヒョイ! パクッ! ヒョイ! パクッ! ヒョイ! パクッ! ヒョイ! パクッ! ヒョイ! パクッ! ヒョイ! パクッ! ヒョイ! パクッ! おいおい、長門さんもう20個以上食いましたよ? さすがにお腹壊しちまうぜ。そろそろ止めような。 中々諦めない長門を何とか説得すると少し残念そうに恨めしそうに見ていた。しかしだな、これだけ食えばミカンも喜ぶだろう。 長門「ミカンというものが美味いという事はわかった」 キョン「それはよかった。そんなに気に入ったなら、また持ってきてやるよ」 窒素ガスのような瞳が何か考えているように見えるのは気のせいか? 長門「私が理解するに、貴方に剥いて貰ったミカンが一番美味しい。だから先ほどの礼を決めた」 キョン「ああ。さっきの話か」 長門「これからミカンを食べるとき剥いて欲しい」 キョン「剥くのか?」 長門「そう」 キョン「まあ、長門がそれでいいと言うのなら構わんが、いいのかそんなので?」 長門「いい」 キョン「わかった。今までの借りもあるしな、約束しよう」 長門はそういうがこんなんで借りは返せないな。とりあえずこれはこれで聞く事にして、ほかに何か願いがあればと思った俺は甘かった。 翌日:SOS団部室 人間の習性というのは… それは置いておこう。放課後はいつもどおり部活に向かってしまう。悲しい癖だね。 ハルヒのヤツは何やら用があるらしくて、先に向かえと偉そうなお達しを受けた。しかし、何でいつもアイツは偉そうなんだ? 少しは控えめな乙女の心なんか持った方がいいと思うがな、イヤ、それはそれで気持ち悪いな。想像するのは止めておこう。 そんなこんなで部室の前に着いたが大体、やはり長門が部室の置物のように座っていて『まだ、長門だけか?』に『そう』のお約束になるのだが。 キョン「な、なんだ? これは!?」 長門「この果実はうんしゅうみかん。漢字では…」 キョン「それはいい。何故ここにこんなに大量にあるかを俺は聞いているんだ」 いつも俺が古泉とテーブルゲームなどマイナー過ぎるモノを興じる為に頻繁に使われる長机に大量のミカンが鎮座している。それも尋常な数じゃない。どうやってこんな量を持ち運んだんだ? ダンボール2〜3箱分はあるんじゃないか? 長門「問題ない。移動手段は重力の制御を行い…」 キョン「あー長門。聞いた俺が悪かった」 移動の事など正直どうでもいい、こんな大量のミカンをどうするんだ? 長門「…」アーン キョン「ん、なんだ?」 長門「昨日、約束した」アーン まさか、俺はこの大量のミカンを剥いて長門の口に運んでやらなくてはならないのか? ある意味酷い拷問だぞ。 長門「…約束」アーン キョン「あのな、長門」 長門「…」アーン キョン「…」 長門「…」アーン キョン「…」 了解しましたお姫様。俺が悪かったよ。もう、諦めて皮を剥いては口に放り込み、剥いては口にを繰り返す。 そこに朝比奈さんが現れ、いつものように『どどど、どおしちゃったんですかぁ〜?』なんていってみたり、 古泉の『おやおやこれは』とムカツク笑いを浮かべ『あまり閉鎖空間が出現することは避けて欲しいのですが』と耳打ちした。 近い近い! キモイから耳に息吹きかけるな。 長門「…それに …もぐ 関しては もぐもぐ… 問題ない」アーン キョン「ほれ」ヒョイ! 古泉「何故です? 長門さん。この状況を涼宮さんが見れば明らかに閉鎖空間が生まれます」 キョン「ほれ」ヒョイ! 長門「約束を守る むぐむぐ… のは当然な もぐもぐ 事」アーン キョン「まあ、大丈夫だろう。考えもあるし」 長門「…」アーン 古泉「ほお、それは珍しいですね。どういったお考えですか?」 長門「…」アーン キョン「ほれ。ああ、それはな…」ヒョイ! そして厄災はドアを壊れるくらいの強さで開け突然現れる。 ハルヒ「おまたせー!みんな今日もちゃんと揃ってるわね! って、有希なんで鯉みたいに口を開けてる?」 キョン「まったく、いつも騒々しいな。 …ほれ」ヒョイ! 長門「…まくまく」アーン まあ、確かにこれをみれば鯉に餌付けしたるように見えてしたないな。ハルヒお前も鯉みたいに口がパクパクしてるいぞ? ハルヒ「あ、アンタ達何してんのよ!」 キョン「見たままだが? ほれ」ヒョイ! 長門「まくまく」アーン ハルヒ「有希も止めなさいよ!」 長門「なぜ?」アーン ハルヒ「問題あるからよ!」 キョン「ほれ」ヒョイ! 長門「問… もぐもぐ ない」アーン ハルヒ「もおーーー! 食べるの止めなさい! キョン!! アンタもねぇ!」 長門「…」アーン キョン「ハルヒ?」 長門「…」アーン ハルヒ「何よ!?」 長門「…」アーン キョン「ほれ」ヒョイ! 大きな口を開けているハルヒにミカンを投げ込んでやった。 長門「!?」アーン ハルヒ「!? …もぐもぐ」 キョン「旨いか?」 長門「…!」アーン ハルヒ「お… 美味しいわ ……よ」 長門「…!!」アーン キョン「そりゃ、よかった。もっと食うか?」 長門「!!!」アーン! ハルヒ「う、うん…」 キョン「ほれ」ヒョイ! 長門「!、 !、 !、」ア―――ン!! キョン「おっと! スマン長門ほれ。どうだ美味いか?」ヒョイ! 長門「…美味しい」 ハルヒ「私にも!!」アーン! キョン「わかったから、がっつくなって」ヒョイ! 長門「…」アーン ハルヒ「…」アーン 長門「…」アーン! ハルヒ「…」アーン! 鯉のようなハルヒ&長門。パタパタ走って『すぐにお茶入れますね』と二人を見て楽しそうな朝比奈さん。『お見事です』と目で語るなんやかんやで世話になっている古泉。みんな俺の大切な仲間だ。 二人が競って口をパクパクさせるのをみて呆れるが、まっ、いいかな? なんて思っちまった。だって、ハルヒも長門も可愛いじゃないか。これを見れるなら手がまっ黄色になっても役得ってもんだろ? 長門「…」アーン!! ハルヒ「…」アーン!! キョン「やれやれw」 おわり |