PERISH

続き

  出会い  

デュエルモンスターズ・・・

それはペガサス・J・クロフォードという男が作り出した世界的に有名なカードゲーム。
しかしそのデュエルモンスターズは古代エジプトの闇のゲームを目覚めさせ、世界に旋風を巻き起こしたのであった。

デュエルモンスターズにおいて伝説となった決闘者(デュエリスト)武藤遊戯が決闘王の称号を得て数年後、デュエルモンスターズはもはや世界的に名を残し、老若男女関係無くプレイするものとなったのである。

これはそんな時代の一人の少年デュエリストの物語である。

その少年はある国の森林地帯の奥深く、大きな湖の見える広大な敷地にある屋敷に住んでいた。
名は"シャティ"といい、"ディプレス家"の長男である。
まるで女の子のような容姿で、最初両親ですら間違えるほどである。

屋敷の周りはとても静かで風のそよぐ音や鳥のさえずりが聞こえる。
屋敷のテラスにシャティの姿があった。

「・・・ふぅ」

少し疲れた表情で湖を眺めていると屋敷の中から黒いスーツを着た男が出てきた。

「お疲れですか、シャティ様」

どうやらディプレス家に仕える執事のようだ。
シャティは振り返り、またため息をついた。

「今日はボクの誕生日。でも他の人たちのようにボクは多くの人に囲まれ祝ってもらえることも無い・・・」
「シャティ様・・・」
「ボクは一生この屋敷で、一人死んでゆくのかな・・・」

そういうとシャティは体調が悪いのか急に咳をする。

「外はまだ寒いですよ。部屋にお戻りくださいシャティ様」
「ゴホッ・・・うん・・・」

シャティは体が弱く。
一日の大半を家で本を読んで過ごしている。
両親もそれにはどうにかしてあげたいと思っているのだが、シャティの病気はまだ未知数の病気で、
今はまだ少し体がだるくなったり咳をする程度であるがいつ、何が起きるかわからないのである。
しかし両親ともに遠くの国で仕事をしており、シャティは大きな屋敷に多くのメイドや執事に囲まれ生活しているのだ。

だが多くのメイドや執事と言っても所詮雇い主と召使い、その壁は大きいのもなのだ。
シャティは孤独感で胸いっぱいだった。

そしてその晩・・・

広いリビングでシャティが一人席につきテーブルの上の料理に口を付けず、ジッと窓の外の夜空を見ている。

「シャティ様。セラフ様から贈り物が届いておりますよ」

セラフとはシャティの父親であり、有名なゲーム会社の幹部でもある。
先ほどテラスでシャティと一緒にいた執事が綺麗なリボンが結んである箱を持ってきた。
執事の名は"タブリス"といいシャティが生まれてからずっとシャティの身の回りの世話をしてきた優秀な執事である。

「お父様から・・・?誕生日・・・覚えててくれたんだ・・・」
「当然でございますとも。あなた様のお父様なのですから」
「そうだよね・・・誕生日プレゼント、なんだろうな」

シャティはプレゼント箱を開けると中から見たことも無い機械が入っていた。
数値が表示されると思われるディスプレイに何かを差し込むような穴や窪みがいくつか見える。
箱の底に説明書を見つけた。

「デュエル、ディスク・・?」
「世界的に有名なカードゲーム、デュエルモンスターズを楽しむための機械ですね」
「テレビで見たことあったな・・・これがあのデュエルモンスターズ・・・」

タブリスがそこで何かをひらめいたような表情になると服のポケットから携帯電話を取り出しどこかに連絡をした。

「デュエルモンスターズはそのデュエルディスクを腕につけて40枚以上のカードの束、デッキと呼ばれるものを使って対戦するものです」
「それは知ってるよ、互いのライフを削りあって先に相手を0にしたほうが勝ちなんでしょ?」
「そのとおりでございます。今カードゲームの会社に連絡していくつかカードを取り寄せたので、今度あなた様のデッキを作ってみたらいかがでしょう」

それを聞くとシャティは少しうつむく。

「だれがボクの相手をするの・・・?ボクには・・・」
「私が相手になりましょう!」

タブリスが自信満々に答える。

「君が・・・?君もやってるの?デュエルモンスターズ・・・」
「はいっ!これでも休暇の日には公式の大会にも出場してるんですよ!」
「へぇ・・・じゃあ色々教えてもらおうかな・・・」

こうしてシャティはデュエルモンスターズと出会い、カードに触れ、のめりこむようになったのであった。

ある日の朝。
シャティとタブリスは屋敷の庭で向かい合って立っていた。
二人はデュエルディスクを腕につけていた。

「いきますよ!シャティ様!」

タブリスがそういうと互いにデュエルディスクを構える。
機械音とともにディスクのディスプレイに青白く4000の数値が現れた。
そして互いにデッキからカードを5枚引く。

デュエル!−−−

「では私の先行!ドロー!」
タブリスはディスクにセットされているデッキからカードを引く。

「私はカードを2枚セットし、"切り込み隊長"を攻撃表示で召喚します!」
「さらに特殊召喚か・・・(あれは自分の手札から下級モンスターを召喚できるモンスター・・・)」
「切り込み隊長の効果により、手札から"ブレイドナイト"を攻撃表示で特殊召喚します!」
「・・・(手札が少ないとき攻撃力を上げるモンスター、切り込み隊長を出してその効果で召喚すれば手札を少なくできるわけだね・・・)」
「手札から魔法カード"連合軍"を発動します!」

-連合軍-【永続魔法】
効果:自分のフィールド上戦士族・魔法使い族モンスター1体につき、自分の全ての戦士族モンスターの攻撃力は200ポイントアップする。

「これで私のターンは終了します」

タブリスのフィールドには攻撃力が1600となった"切り込み隊長"と攻撃力が2400"ブレイドナイト"そして永続魔法"連合軍"と伏せカードが1枚。
そしてタブリスの手札は2枚。
シャティのターンになった。

「それじゃボクのターンだね」

シャティは静かにカードをドローする。

「・・・モンスターを1枚伏せて、カードを2枚セット。ターンエンド」

シャティの場に裏守備モンスターが1体。そしてセットされたカードが2枚。手札は3枚になった。
まだお互いライフに変動が無い。

タブリスのターン。

「守備型のデッキですかな?ならば都合がいいですね」

タブリスはカードをドローするとすぐさま手札からカードを取り出す。

「それではモンスターを1枚伏せ、"ブレイドナイト"で伏せモンスターに攻撃します!!」

タブリスがシャティの伏せカードを指差すとブレイドナイトは勢いよく切りかかる。

「・・・リバースカードオープン。"攻撃の無力化"発動。バトルフェイズは終了だね」
「やはり戦闘回避の罠でしたか・・・ターン終了です!」
「ボクのターン。ドロー・・・手札から"天空の聖域"発動。そして"智天使ハーヴェスト"を攻撃表示で召喚。」

天空の聖域が発動した瞬間、二人の周りに光が満ち溢れ、シャティの背後に巨大な神殿が浮かび上がる。

「天使のデッキですか、あなたらしい・・・」

タブリスはまだ余裕の表情だ。

「伏せていたモンスター・・・"天空聖者メルティウス"を攻撃表示に変更。"智天使ハーヴェスト"で"切り込み隊長"に攻撃する」

智天使ハーヴェスト 攻撃力1800 VS 切り込み隊長 攻撃力1600

タブリスは相打ちにしてハーヴェストの効果を使うのを察知した。

「そうはいきません!トラップ発動!"炸裂装甲"!」
「あれは・・・(攻撃モンスターを破壊する罠・・・)」

シャティはそのトラップを見るや否や鼻で軽く笑うと手を前に差し出す。

「リバースカードオープン。"魔宮の賄賂"の効果により"炸裂装甲"を無効にするよ」
「なっ!!(あれは相手の魔法・罠の効果を無効にして相手に1枚ドローさせるカード・・・)」

タブリスはしぶしぶドローをする。

「更に、カウンター罠が発動したことにより"天空聖者メルティウス"の効果発動。ボクのライフは1000回復し、相手のカード1枚を破壊する。」
「しまった!"天空の聖域"が発動している時、"天空聖者メルティウス"の第二の効果が発動するのか!」

シャティが手を天にかざすと天空から雷がほとばしり"ブレイドナイト"を破壊してしまった。

「それだけじゃない・・・カウンター罠で相手のカードを無効にした時手札から召喚できるカード・・・」
「な・・・なんですって!?」
「"冥王竜ヴァンダルギオン"攻撃表示で特殊召喚!特殊効果によりタブリスの伏せモンスターを破壊!」

突如としてシャティのフィールドに黒く禍々しいオーラを放つ巨大な竜が姿を現し、タブリスに威嚇する。

智天使ハーヴェスト 攻撃力1800 VS 切り込み隊長 攻撃力1600
切り込む隊長は戦闘に敗北し無残にも砕け散る。
タブリス LP:4000→3800

「"天空聖者メルティウス"でタブリスにダイレクトアタック」

メルティウスの後光がまばゆい光線となりタブリスの体を貫いた。

天空聖者メルティウス 攻撃力1600
タブリス LP:3800→2200

「っ・・・くぅ、やりますね、シャティ様・・・」
「まだ、"ヴァンダルギオン"の攻撃が終わってないよ・・・」
「はっ!ちょっと待ってください!1ターンチャンスを〜!」
「ダ〜メ。勝てる時に勝たなきゃ相手にチャンスを与えてどうするの・・・ダイレクトアタック!」

"冥王葬送"!!

冥王竜ヴァンダルギオン 攻撃力:2800
タブリス LP:2400→0

シャティの勝利が確定するとあたりのモンスターや神殿が消えてゆく。

「うわぁっ!!・・・っ、完敗です。シャティ様。」

タブリスは少し悔しそうな表情を見せるが笑顔でシャティの勝利を喜ぶ。

「これが・・・デュエルモンスターズ・・・」

シャティは"冥王竜ヴァンダルギオン"を手に取ると少しはにかんだ。
それを見たタブリスは胸ポケットからチケットをシャティに手渡した。

「これは・・・?」
「この近くの村で行われているデュエル大会の挑戦チケットです。これで大会に出場してみては?」
「で、でも・・・」
「大丈夫、この私"タブリス・ゼルエル"が責任を持ってお供しますとも!」

それを聞くとシャティは嬉しそうにそのチケットを受け取る。

「ありがとうタブリス。ボク頑張ってみるよ」
「そのいきですシャティ様!」

こうしてシャティの物語が始まった・・・
続き