PERISH

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  茶番決闘  

『続きまして、一回戦第二試合、岩窟王(オーガ・ロック)VSシルファ・サブラル。繰り返します―――』

あの殺戮劇のごとき決着を迎えた開幕戦は何事もなかったかのように、次の試合が始まる。

「試合も後のほうだし、観戦に徹するかな。」

しかし、シャティはこの選択のせいで見るも無残な、デュエル史に残る傑作な茶番を見ることとなる―――。


「「デュエル!!」」

いや、この掛け声も本人達は至極真面目かつ、全力で誇らしげにやってることなのだろうが正直自分の番でもやるのか・・・などとシャティが考えてるうちに

「カードを1枚セット。裏守備モンスターを出してターンエンドだ。」

あっさりと先攻、岩窟王のターンは終わる。

ちなみにいかつい名前に反して線は細い。だが、言い知れぬ底の深さとよくわからなさを持っている。

「俺のターン、ドロー。」

(ふむ・・・《サイバー・ドラゴン/Cyber Dragon》《死霊騎士デスカリバー・ナイト/Skull Descovery Knight》《冥府の使者ゴーズ/Gorz the Emissary of Darkness》。かなり初手はいいな。手札から考えて「サイカリ」の布陣で行かない手はない。当たればライフの半分以上をえぐれるのだからな。だが畏れるべきは《聖なるバリア−ミラーフォース−/Mirror Force》。アドバンテージを奪われるだけではなく、裏守備モンスターを処理できなくなる。《抹殺の使徒/Nobleman of Crossout》のも来てねぇ。だが、手札にゴーズがいる以上、万が一ミラフォだった場合はターンを明け渡し、反撃を食らう⇒ゴーズ召喚の流れでいけば・・・)

思考すること2分近く。

シルファが動く。

「手札から《サイバー・ドラゴン》を特殊召喚。続けて《死霊騎士デスカリバー・ナイト》を通常召喚。バトルフェイズだ。」

【スタンダード】。

いつの時代もトーナメントシーンから姿を消すことなく、安定した戦績を残してきたデッキである。

一口にスタンデッキなどと言ってもその選択肢は決して狭いものではない。

【ハイビート】【アサイカリバー】以前ならば【カオス】。

どれも【スタンダード】と言われるデッキである。

また、【光と闇の竜】にも【スタンダード】のような型が存在する。

その中でもシルファのデッキは【サイカリバー】。

デスカリによる効果封殺と、切り開かれた戦場を貫くサイドラの攻撃。

後攻第一ターンからライフの半分を削り、一撃による射程権におさめるほどの「致命傷」を与えることを得意としていながら、柔軟性と対応力に富んだデッキである。

が、

「デスカリバー・ナイトで攻撃!攻撃力1900の剣で叩き斬れぇ!」

「リバース罠発動。《モンスターBOX/Fairy BOX》。コインは表を指定だ。」

(ミラーフォースじゃねぇが・・・場合によっちゃ致命傷を食らうのはこっちだぞ―――!!)

岩窟王がコインを静かに爪で弾く。独特の金属音。宙を舞うコイン。手の甲に堕ちる。空を見上げるは・・・表。

「コイントス成功。よって攻撃力は0だ。攻撃力1900の剣は叩き斬られたな。」

攻撃力を0にする罠。それは防御だけではなく、時として凶悪な反射ダメージとして牙を剥く。

「残念だが裏守備モンスターは《アステカの石像/Stone Statue of the Aztecs》だ。」

アステカの石像 守備力2000VS死霊騎士デスカリバー・ナイト 攻撃力0

「反射ダメージは2倍となる。」

岩窟王LP:4000
 シルファLP:0000

【アステカ】。



言うまでも無く《アステカの石像》をフィニッシャーにしてしまうデッキである。

その昔、アステカの民30万人は征服者コルテス率いる僅か900人のスペイン軍に滅ぼされた。

それも近代兵器を用いた大量虐殺でもなんでもない。

だがアステカの民30万人はなす術も無くひれ伏したのだ。

いったいなぜだろうか。

その昔、古代アステカ人は太陽神を最高神として崇めていた。

太陽神は人間の血と心臓をエネルギーとしていた。

そのため、アステカの民は毎日一人ずつ、生贄を捧げていた。

そして、アステカの民は太陽神の対極の神も崇めていた。

文明の神ケツァルコアトルである。

だが、この神は生贄をひどく嫌った。

やがて、アステカの民の中にこんな伝説が生まれた。

「『一の葦の年』にケツァルコアトルが来て、太陽神を追い出し、大いなる災いをもたらすであろう。」

そして、『一の葦の年』と予言された日に、スペイン人が来たのだ。

スペイン人は生贄の風習を嫌った。

そしてアステカの民はこう思ったのだ。

「ケツァルコアトルが来た。」と。

そしてアステカの民は神には抗えないとひれ伏した。

しかし、そんなアステカの民の僅かな抵抗の気持ちも集めれば力となる。

それこそが、究極の反撃の力《アステカの石像》なのだ。



『そ、そこまで!勝者、岩窟王!』


第二戦、。それはアステカの民の返り咲く戦場―――
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