
PERISH
天使の翼・悪魔の囁き
岩窟王がデュエルに勝利してしばらくしてもう一つのデュエルもあっけなくかたがつき、
Aブロックの第一回戦の最終戦が始まろうとしていた。
この大会はAとBのブロックがあり、16人が8人ずつ分かれている。
シャティはBブロックなのだが・・・
「ごほっ・・・ごほっ・・・」
シャティは急に体調を崩し息が荒くなる。
「シャティ様!?大丈夫ですか!!」
あわててタブリスが駆けつける。
「あ・・・頭が、痛い・・・」
「あぁ、ま、待っててください!今薬を!!」
タブリスは車のトランクに積んである救急箱を取り出し急いでシャティの元に戻ってくる。
シャティの病気は未知の病気で何があってもおかしくない。
完治は今の医療では無理と言われているがその症状の一つ一つは薬で一時的にだが抑えることができるようだ。
タブリスは紙コップに水道から水を注ぐと頭痛薬をシャティに差し出す。
「さぁ、お薬です!」
「あ、ありがとう・・・んっ・・・」
頭痛薬を飲むとタブリスは水の入った紙コップを差し出すとシャティは震える手で受け取り薬を水で流し込む。
「はぁ・・・はぁ・・・とんでもない悪魔だ・・・」
「と・・・言いますと・・・?」
シャティは自分の額に指差す。
「この病気だよ・・・嫌だなぁ・・・今日くらい大人しくしてて欲しいよ・・・」
「まったくですね・・・」
「・・・次のデュエル、始まっちゃってるね」
「少し休んでから見に行きましょうね。」
少し休んでからシャティはデュエルステージに向かった。
そこには少しカジュアルな格好をした女の子と筋骨隆々のタンクトップを着た男が戦っていた。
「リリーで相手プレイヤーにダイレクトアタック!」
"THE ANGEL INJECTION"
「ちょ!まったぁ!!」
ブスッ・・・鈍い音がデュエルステージに響く。
あるく LP:3000
タミフル LP: 600
それを見たシャティは少し顔が青ざめている。
タブリスも若干顔が引きつっている。
「シャ・・・シャティ様、お注射苦手なんですか・・・?顔がこわばってますよぉ〜・・・」
「タ・・・タブリスこそ、怖いんじゃないの・・・?」
二人がそんな話をしている間にあるくのターンは続く。
「更に2枚のカードを伏せ、ターン終了よ」
少女の場にはすでに発動している"神の恵み"と伏せカード2枚に攻撃表示の"お注射天使リリー"が1体。
ボディビルダーのような男の場にはモンスターはいないどころか、伏せカードすらない。
「俺様のターン!」
男は手札をじっくり見ながら作戦を練る。
男の手にあるカードはみんなあちこちに傷があり相当使い込んでるような印象を受ける。
「手札の"キラーザウルス"を墓地に送り、その効果でデッキから"ジュラシック・ワールド"を手札に加える!」
「そして"ジュラシック・ワールド"発動!墓地の"キラーザウルス"をゲームから除外し"ギガンテス"を特殊召喚!」
デュエルステージがジャングルのようになり男の後ろには活火山が現れる。
そして男の前には男の筋肉に負けじ劣らずの"ギカンテス"が姿を現す。
「いくぜ!"ギガンテス"を生贄に"暗黒ドリケラトプス"召喚!」
突如としてジャングルの奥から"暗黒ドリケラトプス"が姿を現しあるくを威嚇する!
「い・・・いきなり攻撃力2700の貫通効果・・・なかなかのタクティクスね・・・でも―――」
「いくぜ!"暗黒ドリケラトプス"で"お注射天使リリー"に攻撃ぃ!」
ドリケラトプスは空中からリリーにまっすぐ襲い掛かる!
「あまいわね!罠カード"ドレインシールド"発動!」
あるく LP:5700
タミフル LP: 600
「くそっ!また回復されたぁ!!」
「まだまだね!」
男はかなり悔しそうな顔をするとカードを1枚伏せてターンを終える。
「私のターンね!・・・神の恵みでライフを回復するわ!」
あるく LP:6200
「そして2体目の"お注射天使リリー"を召喚!そして"レベル制限B地区"を発動!」
効果により"暗黒ドリケラトプス"は守備表示となる。
「リリーの効果発動!2000ライフを払って攻撃力3000アップ!」
あるく LP:4200
お注射天使リリーの攻撃力は3400となり持っていた注射器が巨大化する。
それを見た観客はある意味恐怖を感じた。
「リリーでドリケラトプスに攻撃!!」
"THE ANGEL INJECTION!"
リリーがドリケラトプスに注射器を刺し込んだ瞬間、爆音と共にドリケラトプスは砕け散った。
「これで終わりよ!ライフを2000払ってもう一体のリリーの攻撃力をアップ!」
あるく LP:2200 お注射天使リリー 攻撃力:3400
タミフル LP: 600
リリーの注射器が巨大化する度に男の表情が曇る。
「く・・・くっそぉ!」
「リリーでダイレクトアタック!!"THE ANGEL INJECTION!!"」
『お注射の時間よ!』
ザクッ!
あるく LP:2200
タミフル LP: 0
一瞬デュエルステージが静寂に包まれたかと思うとあるくはそそくさとステージから去る。
そのあと男も悔しそうな顔をしながらステージを去ってゆく。
そしてAブロックの第一回戦目のデュエルを終了しシャティの出番がやってくる。
その前に少しの休憩時間があるようだ。
「今のうちにデッキを調整しましょうシャティ・・・様?」
タブリスはシャティのいたはずのほうを見るとシャティがいないのに気づく。
少し間をおいてタブリスの表情が青ざめる。
「・・・!!(しまった俺としたことがデュエルに見とれてシャティ様を見失ってしまったぁ!!)」
その頃シャティは一人デュエリストの控え室にいた。
シャティは若干汗ばんでおり表情が辛そうだ。
「うぅ・・・(どうしよう・・・次なのに体が熱い・・・!)」
するとどこからとも無くシャティの耳に声が聞こえた。
『どうした、早くデュエルをしろ・・・!』
「だ・・・誰だ・・・!?」
その声はシャティにしか聞こえずその声はシャティの頭の中に響く。
その声がするたびにシャティは苦しみ、頭を抱える。
しかしその謎の声の他にも多くの声が聞こえる。
一つではない、多くの声が聞こえ、スクランブル交差点のど真ん中に立っているようだ。
「ごほっ!ごほっ!・・・タブリス・・・助けて・・・」
「大丈夫ですかシャティ様ぁー!!」
シャティの声が届いたのかタブリスが大急ぎでやってくるやいなや薬を差し出す。
「大丈夫ですか、シャティ様・・・」
「ありがとうタブリス・・・」
謎の声達が気になりつつも、
シャティはデッキを調整すると自分の戦いへと赴くのであった・・・