KAMUI -3話・天才(前編)-

KAMUI

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  3話・天才(前編)  

重いドアを開く。
開くとムワっとした生暖かい湿気が顔に吹き付ける。

少し進んだところに公園のような広い空間にベンチや噴水がある場所があり、屋根つきの公園のようだ。
しかし周りに人の気配はまるで無い。

「(今日は部活やってないのか・・・?)」

辺りを見渡しても花ばかりで誰もいない。
湿っぽい空気が満ちたこの空間は少しながら五感を鈍らせるようだ。

 「何・・・!!」

いきなり後ろから殺気を感じ取ったカムイは即座に後ろに振り向き様子を伺う。
するとそこに見えたものは・・・


花だ。

見たことも無い花が大きい花びらを広げている。
怪しげな水玉模様の気持ち悪い花は辺りに紫色の液体を滴り落としてカムイの方に花を広げている。

 「みつけた・・・」
 「・・・!?」

カムイの真後ろから人の声がした。
さっきまで人の気配がしなかった。今もその気配はしない。

カムイが振り向くとそこには女子生徒がいた。
非常に小柄で青い髪のその生徒はゆっくりと殺気を放つ花に近づく。

女子生徒が手をかざすと辺りが青白い光に包まれる。
その瞬間殺気を放っていた花は凍りつき粉々になってしまった。

見た目によらず強い魔力を持っているようで、カムイは少し警戒する。
普段は力を抑えているのか魔法を放つときだけ今まで感じたことが無い力を感じたカムイは温室の暑さで出た汗とは違う気持ち悪い冷や汗を感じた。
女子はカムイのほうに振り向くとニコッと微笑む。

 「驚かせてしまってごめんなさい。大丈夫ですか?」
 「あぁ・・・」

女子はカムイの顔を見るとちょっと不思議そうな顔をした。

 「あの・・・入部希望の方ですか?」
 「え?・・・まぁ・・・」

少し間の抜けた声で返事をしてしまったカムイ。
大して花になんて興味の無いカムイだがどこへ行ってもどうせ幽霊部員になるしどこでもいいかと安易な考えをしてしまった。

 「ボクは魔法花研究部の部長、ホープです。よろしくね」
 「え・・・?」

 「部長ですか、じゃあ3年生・・・(今ボクって言ったような・・・もしかして男か?)」
 「はい、そうですよ♪」

ホープはカムイの反応を見て大体の考えていることがわかったように微笑んだ。

 「ボクは男だよ。女子だとおもったかな?」
 「まぁ・・・」
 「みんなそうなんですよね、そんなに女の子っぽいかなぁ」
 「いえ・・・」

とにかく不思議なのはホープから人の気配がしないのとこの温室に人の気配がまったく無いことだ。
部員はホープだけだからなのか、それ以前に目の前にいるのに気配がまったく無いのもカムイには非常に気になっていた。

 「どうしたの?なにか考え事?」
 「え・・・いや別に・・・(なんか変わった奴だ・・・)」

この学園にいるのはこういうのばっかなのかと思え、少しカムイはため息をつく。
無駄に広い温室に二人だけの部活。

どのくらい黙っているのだろう。
ただ噴水の水の音と鳥のさえずりだけが聞こえる。
非常に静かだ、カムイにとって普段うるさいのが一人いるせいか静寂が懐かしく感じる。
 「(久しぶりの感覚だ・・・たまには、こういうのも悪くないかな。)」

少し羽根を伸ばすように力が抜けて顔の力も少しゆるくなる。

 「ふふ・・・」
 「ん・・・?(こいつ笑ってる・・・?)」
 「(何か面白いことでもあったのか?
  それより部活といってる割にはなにもしてないし・・・)」

 「さっき・・・」
 「ん・・・?」
 「少しだけど優しい顔になれたね」

ホープはカムイの顔を見て微笑んでいる。
 「(優しい顔・・・?
  何を言ってるんだ・・・?)」

 「この空間はどんな人も優しく包み込んでくれる・・・」
 「この空間が・・・?」

ホープは花壇のところまで歩くと目を閉じて安らかな顔をする。
その姿はまるで人間なんていう生物と感じさせない神々しさと優しさを感じる。
まるで天使のようだ。

 「ボクはね、君みたいな人を待ってたんだ」
 「え・・・」

部長はこちらに振り向くと俺の方に歩いてくる。
花壇の方を見るといつの間にか水をあげた跡はある。
部長は俺の手を包み込むように握る。そしてうつむいてしまった。

 「部活の名前的にもっと科学的とかそういう考えで来る人が多いんだ」
 「・・・そうだな」
 「この部活の目的はね、花の研究もそうだけど・・・」
 「だけど・・・?」


 「人を、癒すことを目的に活動してるんだ」

 「・・・(人を癒す?この温室の花々で人間を癒すのか?
  さっきからだがこの部長、なんか不思議な奴だな・・・)」

 「なんで俺なんだ?」

カムイは気になった。

(なんで俺なんだ?こんな俺よりもっとやる気ある奴がいるんじゃないのか?)

 「どうしてかな・・・そう感じたんだ・・・」

 「はぁ・・・そうですか・・・(・・・なんだか混乱してきたぞ。
  部長は第六巻でもある不思議ちゃんかなんかか・・・?
  とりあえずここで断ったら後がめんどくさそうだしな・・・)」

結局行く場所も無いと思いカムイはとりあえず入部届けを受け取る。

 「じゃあ入部、希望します」
 「そっか、これからよろしくねカムイ君♪」

いきなり自分の名前を言われてカムイは驚く。

 「名前なんで知ってるの?って顔だね」
 「まぁ・・・」

部長はまた優しげな笑みを浮かべる。

 「君はいろんな意味で有名だもん」
 「はぁ・・・」

この不思議な雰囲気を持つ謎多き先輩[ホープ・ディプレス]の存在が後に大きくカムイに影響していく事になる。
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