KAMUI

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  4話・天才(後編)  

放課後の部活の時間が終わってカムイはとりあえず菓子を買って寮に戻った。
この学校の売店は普通の売店ではなくまさにデパートやスーパーのようで大体のものがそろっている。
それに深夜まで営業しており、生徒なら全商品を格安で買うことができる。

 「広い校舎も困りものだ・・・」

この学園は全寮制で学校全体が雪の結晶のような複雑な形になっていてその周りに寮がある。
寮は大きい塔のようになっていて、各寮の名前は魔法を使う上で大事な属性を司る精霊の名前が使われている。

カムイは学園の東南に位置する[サラマンダー]という名前の寮で生活してる。
他に[ウィンディーネ][シルフィード][ノーム]といった生徒の寮があり、
同じ形をした塔で実験室や魔術で使う薬品などを保管する倉庫がある[シェイド]という塔がある、普段は[実習塔]と言われてこれを知る生徒はあまりいない。
また、シェイド塔と正反対の方向に職員室や事務室、学園長室など教職員のための施設がある[ウィスプ]という塔がある。

ちなみにカムイの寮の金や食費は父親代わりで学園の教員をしてる[ヘル]という男が出してくれている。
油断なら無い男で、世間で言う[悪い大人]という感じである。

 「それにしても・・・」

カムイは寮のエレベータの前に張ってある紙を見る。

"故障中"

塔のようなこの寮は生徒の数も多く約25階まであり、階段は螺旋階段なのだ。
しぶしぶカムイは螺旋階段を上り始める。

しばらくしてようやく自分の部屋にたどり着いた。
しかしカムイは深くため息をつくと部屋の扉を開ける。

 「おォ!帰ってきたカ!」
 「あぁ・・・」

寮の部屋は二人一部屋でペアはくじ引きで決まってしまう。
一度ペアになってしまったら留年か退学が無い限り3年間一緒なのだ。

とりあえずカムイは買ってきた菓子を自分の机に置く。
部屋は世界一の学園らしく太っ腹なつくりになっている。
二人で生活するには勿体無いくらいの広さで二段ベッドじゃなくきちんとしたベッドが二つ用意され、バスルームとトイレつきでキッチンもあり、電話も外にかけられて電話代がかからない。
光熱費も水道代も電気代もすべて学園が負担してくれるがそこまでしてくれるのに部屋数増やして一人部屋にしてくれないところだけが実に不思議だ。

いきなりシデンがカムイに声をかける。

 「もう部活決めたのカ?」
 「まぁな・・・」
 「おォ!!教えロ教えロ!」

シデンは少しはしゃぎ気味で鼻息を荒くする。
何でもかんでも聞いてくるシデンの性格はカムイにはただうっとおしいだけなのだ。
質問に答えるまでしつこいのでカムイはしぶしぶ口を開く。
 
 「魔法花研究部・・・」
 「へェ!カムイが花だなんて珍しいナ!花燃やすなヨ?」
 「わぁってるよ・・・」

買ってきた菓子をつまみながらトランプを取り出す。
徐にカムイはフリーセルをはじめた。

バラバラに並んだカードをフリーセルと呼ばれる4つのスペースをうまく活用して、
全てのカードをホームセルと呼ばれる場所に片付けるのが目的なのだが。

一見つまらなそうだが暇つぶしには丁度良い。

しばらく時間を潰していると外が少し騒がしいことに気づく。
 「・・・(なんだこんな遅くに)」

カムイが窓から外を覗き込むと明らかに不審者と思われる者が教員数名から逃げている。

 「泥棒かなんかか・・・」
しばらく見ていると不審者の走る先に数人の生徒の姿が見える。

 「あれは・・・」

ホープだ、生徒数名いる中で一番前に立っている。
不審者を止めるつもりなのだろうか。
遠くから見ても体格差は明らか、魔法を使わない限りとめられないだろう。

 「・・・部長のお手並み拝見するか」

その矢先。
まばゆい光が辺りを一瞬だけ包み込む。
そしてその光が肌にビリビリきたのだ。
空気中の水分が一瞬で凍りつき外壁や窓ガラスに霜が現れた。

一瞬のまばゆい光でカムイは目を閉じてしまったが・・・
不審者がどうなったか確認する。

不審者は完全に氷付けになっており青白く透き通った厚い氷に閉じ込められていた。

 「あの一瞬であんな力を・・・」

しかもホープは手をかざしただけであった。
この距離で詠唱や声が聞こえないのはわかるが、明らかに詠唱スピードが速すぎる。
高い威力の魔法を扱うには大の大人の魔法使いでも最低15秒はかかるのだ。

 「(あの部長・・・ただ者じゃないな・・・)」

 「あの生徒強いナー!!」

いきなり真横からシデンが現れる。

 「うっとうしい・・・」
 「カムイ冷たいゾ〜、炎も消えちゃうゾ〜・・・」
 「あぁ冷たいさ、悪かったな」

あそこまで強い力を持っているとすれば普通に先生の間でも一目置かれているのだろう。
カムイは明日にでもジャハナ先生にホープのことを聞こうと思った。

 「氷の魔法・・・はじめてみたな・・・」
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