KAMUI

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  5話・天使(前編)  

カムイは眠れずに朝を迎えてしまった。

昨日のホープの魔法が目に焼きついている。
ホープの放った魔法の威力を考えると詠唱には相当時間がかかるはずなのだ。

詠唱とは魔法使いが魔法を使用際に使う呪文で、世界中に存在する"マギ"という自然界の全てを司る力を術者の元に召喚するための言葉である。
"マギ"を効率よく使用したり召喚する速度は個人差があるがこの"マギ"を術者の体内に取り込みそれを詠唱で実体化させることで初めて魔法の発動となる。
強力な破壊力や高度な技術や遠距離で使用する時には多くの"マギ"を使用しなければならないために長い時間の詠唱が必要なのだ。

これを知らないのは魔法に無関係な奴ら位で、この世界の大体の人間が知ってる基礎知識なのだが・・・
ホープの使用した魔法の距離や威力を考えると最低詠唱に十数秒は必要だ。
だが一瞬であの大容量のマギを召喚してさらに具現化させて魔法を放った・・・

 「くっ・・・(なんなんだあの力は・・・今まで見たことが無い・・・)」


結局ホープのことが気になって授業に集中できなかった、
元々、やる気はないのだろうが・・・
 「あの先輩のこと、先生なら何かわかるかもしれないな・・・」

カムイは休み時間にジャハナ先生のところに行くことにした。

 「職員室・・・あまり入りたくないが・・・」
我慢しながら職員室に入る。

 「3年で氷属性が得意な人?ホープ君のことかしら」

さらりと質問に答えるジャハナ先生。
並みの魔法使いをも超えるような魔法の使い手、先生が知らないはずも無い。
 
 「どんな人なんですか?」
 「1年生のころから成績トップの優等生よ。とっても物静かな子ね」

先生はホープの1年のころの写真を見せてくれた。
1年のころの先輩も相変わらず小柄で幼い顔つきをしている。
3年間ずっとトップの優等生、歴史に名を残す生徒だという・・・

 「先生あの先輩の魔法を見ました。なぜあんなに早く詠唱して魔法を使えるのですか?」
 「あの子は特別なのよ。"エンジェル"って種族の血を引いてて生粋の天才よ」

"エンジェル"太古に存在したといわれる伝説の種族。
その名の通り天界の天使の意味を持っている種族で世界の理を知る種族といわれている。
普通の人間では行う事ができない"詠唱の必要が無い魔法"を行う事ができる唯一の種族といわれる。
この種族の特徴はとても綺麗な青い髪と青い目をしておりとても色白で小柄。
世界で一番の美しい容姿をしていると伝えられている。
とてもひ弱で体力が無いのも特徴で伝説といわれる所以でもある。

今では世界各地に散らばって会う事すらできないといわれる種族である。

 「伝説の種族・・・エンジェル・・・」
 「その血を引いてるからこそマギの召喚を一瞬で行えるのよ」

カムイには理解できなかった、たとえ伝説と言われようが詠唱無しなどと考えていた。
なにか絶対秘密があるに違いないと・・・

 「無詠唱には何か秘密があるのですか?」
 「そうねぇ・・・本人に直接聞いてみたらどうかしら?」
 「・・・そうします」

もしカムイが無詠唱を行う術を身につけたら、強力ないままで詠唱が長くて使いづらかった魔法も瞬時に扱えるようになるだろう。

 「(何が何でも教えてもらおう。そして俺を捨てた奴に・・・)」

あふれ出す憎悪を抑えつつ、
教室に戻るといきなりシデンが現れた。

 「カムイ〜!オレをおいてどっか行くなんてひどいヨー!」
 「・・・あぁ、すまない(うっとうしい・・・いつか燃やす・・・)」

今度学園内で[魔術戦闘試験]という模擬戦闘で点数をつける実技試験がある。
この実技試験で良い成績を出すと魔術学園連盟という連盟の加入校で行われる魔術大会に出場する代表に選ばれる可能性が生まれるのだ、
カムイ自身そんなものには興味は無かったが、普段手を出せない相手を心置きなく倒せる時間ということで乗り気なのだった。

あわよくば大会に出場した時に自分の親も見に来るかもしれないと考えているのだ。

シデンが考え事をしているカムイを察して声をかける。

 「ん?なに考えてるノ?」
 「・・・いや、なんでもない」

カムイは最近実践をしていないから腕がなまっているかもしれない。
詠唱速度は落ちていないものの、標的が動くものになるとだいぶ神経を使うのだ。

 「(まだだ・・・俺の力は、もっと強くなれるはずだ。)」

いつもより少し授業を受ける気になったカムイは、
眠らず授業を受けることにした。

しばらくして今日の授業が終わり、カムイは急いで温室に向かうのだった。
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