「秋には秋の。」

 

 

 

 紅葉も見頃を過ぎ、鮮やかな赤で染まっていた木々も、次第に茶色に焦げ抜け落ち始め、博霊神社もただでさえ閑散としているのに、余計に寂しく感じてしまう。そんな寂しさをわかってか、わからずか霊夢が落ち葉を呑気にかき集めていた。

 そんなところに魔理沙が暇つぶしのためにふらふらと神社をあたかも第二の家としているようにやってきた。

 「周りの木の葉がないとさらにシケているように見えるなぁ」

 「うるさいわねぇ」

 来て早々に軽口を叩く魔理沙を適当にあしらいつつ、箒を動かす手を止めなかった霊夢であったが

 「落ちている葉が全部お賽銭だったらよかったのにな」

 (お・さ・い・せ・ん…)

 魔理沙が言った「お賽銭」というワードをリフレインさせながら不覚にもそのような光景を想像してしまい、止めた手から滑り落ちた箒の音でハッと現実へと戻り、

 「いやいやいや、それならいいかもしれないけどっ。」

 慌てて赤くなりながらも否定した。

 「霊夢、ヨダレ垂れてるぞ。」

 「へっ!?」

 慌てて口元を拭おうとした霊夢であったが

 「嘘だよ。」

 「もう、魔理沙!ってそれよりもっ!その箒で落ち葉集めるのを手伝いなさいよ!」

 「いやだね。私はイモを食う係なんだぜ。」

 歯を見せながら笑う魔理沙に霊夢は、息をつきながら

 「はぁ…やっぱりそのつもりで来たのね。落ち葉を集めるのは私がやっておくから、火をつけてイモを焼く仕事はあなたがやりなさいよ。」

 「あいよー」

 すぐに返答をするあたりどうやら、面倒な仕事をやりたくないだけらしい。

 

  ◇ ◆ ◇

 

 霊夢が集めた落ち葉を燃やし、その中に芋を入れて焼いている間、魔理沙は陽気に鼻歌を歌いながら芋を焼く仕事を全うにこなしていた。

 「やっぱり焼き芋には緑茶が合うなー」

 「そうね」

 縁側に座って、焼きたての芋を緑茶をすすりながら二人は座っていた。

 「でもまぁ一人で食べるより二人で食べるほうがおいしいよな。」

 「そりゃあね。」

 「それに、一人で二人分食べると太――――」

 「なぁに…?魔理沙……?」

 「い、いや…なんでもないんだぜ…?」

 呑気に焼き芋をほお張っていた魔理沙の笑みは消え、霊夢は笑顔であったが、目に見えぬ怒りを発していた。

 (んもう…デリカシーがないんだから)

 「お茶も一人で飲むより二人で話しながら飲むほうがおいしいだろう。それに、霊夢が入れるお茶好きだし。」

 ムスっとしていたところで、魔理沙の屈託のない笑顔がやけに眩しかった。霊夢は赤くほうっとしている。

 「そ、そう…ありがとう。」

 そんなことを知ってか知らずか、魔理沙は白い歯を見せ、

 「まぁ次はアレだ。秋刀魚でも焼こうぜ。」

 魔理沙も十分食欲あるじゃない。と心の中で突っ込みつつ

 「七輪とか炭は魔理沙が用意しなさいよ。」

 「あぁいいぜ。秋刀魚はにとりに用意してもらうか。」

 「にとりって…川で秋刀魚は獲れないわよ。河童に任せたらアユとかヤマメになっちゃうじゃない。」

 「あぁそうだった。」

 「もう…」

 とぼける魔理沙に対してさっきの照れた表情を隠すように、

呆れながらも笑っている霊夢だった。