『めーさくいつもの風景』

 

 

  紅魔館の門前、門番である紅美鈴は一人暇をもて余していることを良い事に、ジャッキー・●ェンの物まねをしていた。

  具体的にはというと、どこから持ち出したのかヌンチャクを振り回して「ホワァァァ」などと奇声を上げていた。
どこからそんな知識を得たのだか。

 そんなサボタージュもすぐ見つかってしまう訳で、シュッという風を切る音とともに美鈴の持っていた
ヌンチャクがナイフによって壁に突き刺さる。

  「こら、中国。」

  「ご、ごめんなしゃい咲夜さん…。」

  美鈴の前には、眉をピクピクと震わせながら笑顔で十六夜咲夜が立っていた。

  「全く、いつもあなたは…。」

  ため息をつきながら、梁つけられた美鈴の服に刺さったナイフを抜いて
「次サボっていたら、体に刺すからね」と言うと、美鈴は生唾を飲み込んだ。

  「でもですね、ジャッ●ーは熱い魂を私に与えてくれたんですよ!」

  反省するかと思ったら、ジャッ●ーについて語り始めた。やれやれと思いながら咲夜は
適当に相手をすることにした。

  「…で、ですね。ジャンプして蹴るあのシーンなんか凄いんです!」

  話をし始めると、熱が入り始めたのか、時々身振り手振りが入ってくる。
咲夜は適当に頷いているのに、相当話したかったようだ。

  その身振り手振りだが、パンチをする度に胸が揺れ、キックをすると黒いパンツがチラリと見える。

  「…たゆんたゆん」

  あしらっていた咲夜だったが、流石にアクションをする度揺れる胸に目がいってしまい思わず、
そのような擬音語を口から溢した。

  「たゆん?」

  「う、ううん。なんでもない。」

  咲夜が続きを促すと、また熱が入ったように話し始めた。

  そして

  「…なんですよー。って咲夜さん聞いてます?」

  「え、あ、あぁ聞いてるわよ。」

  「もう、絶対聞いてくれてない…。んんっ?咲夜さん私のおっぱいがどうしました?」

  と美鈴は自分の胸元に視線をやった。

  「べ、別に見てないわよ!」

  咲夜は慌てたように否定していたがそれを全く意に介さず

  「あれれ〜本当ですかぁ?」

  ニヤニヤしながら顔を近づけようとしたところで―――

  メリッという音がして、パンチが美鈴の顔にめり込んだ。

  「ごふッ。…い、痛いですよー!思わず、バトル漫画の背景に書いてある変な音みたいなのが
口から出てきちゃったじゃないですか!」

  「勝手に解釈して顔を近づけるからよ、もう。」

  手をぽんぽんと、はたきながらそっぽを向いた。

  そんなやりとりをしているところで、レミリアが現れた。

  「二人とも、こんなところで何をしているの。」

  事情を美鈴が話すとレミリアはふんふんと頷いた。そして

  「まぁ、それは仕方ないことよ。」

  「お、お嬢様!?」

  ガーンというような音が出そうなくらいに、咲夜は落ち込んだ。

  「そうよね、ないのよね…。」

  「まぁまぁそんなの気にする必要ないですよ。『貧乳はステータスだ!希少価値だ!』と言われるぐらいですし。」

  「あなたに言われるとムカつくわね…。」

  人差し指を立てて、ニッコリとして言う美鈴に対して、イライラとしていた咲夜の手をレミリアが
そっと取り美鈴の胸へと持っていき、

  フニッ

  「ひゃうッ」

  「や、やわらかい…」

  思わずその柔らかさに惚けていたが「はっ!?」と気づき、慌てて咲夜は手を離した。

  「お嬢様何やってるんですか?」

  「いや、羨ましいのなら触ってみるのがいいんじゃないかしらと思って。」

  「べ、別に羨ましくなんか…」

  「咲夜さんツンデレだ〜」

  「あなたは黙ってなさい。」

  ピシャリと美鈴を黙らせた咲夜であったが

  「そういえばこの前珍しくアリスがパチュリーのところに遊びに来ていた時の会話で
チラリと聞いたんだけど、揉んでもらうと大きくなるらしいわね。」

  おそらく、その二人は共謀して(魔理沙に)魅力的に見せるための会議をしていたのであろう。
その会話の一部がレミリアの耳に入ったのに違いない。お嬢様の情操教育上悪いのだから、
今度アリスが来たときに注意しなきゃと咲夜は心の片隅にそのことを置いておいた。

  それを聞いた咲夜は恥ずかしげに顔を赤らめて両手で胸を隠すような仕草をした。

  「私が揉んであげましょうかー?うへへ…」

  中年のおじさんのように下品な手つきで手をわしゃわしゃさせて美鈴が迫ってきたが、
問答無用で咲夜はそれをぶっ飛ばした。

  「もう…この変態!」

  「咲夜、まぁ中国は頭に行くハズの栄養が胸に行っちゃってるのかもね。」

  そのまま二人はどこかへ飛んでいった美鈴を気にすることなく、紅魔館へと戻っていった。