日時

目的地

所在地

2012年9月27日

杉水峠(約460m)

石川県加賀市山中温泉杉水町/同)山中温泉今立町

 行動日程

≪往路≫杉水峠(杉水側)入口10:20〜10:30林道終点10:30〜10:35二股10:35〜10:55杉水峠11:05〜11:20林道11:20〜11:40道の大回廊11:40〜11:50杉水峠(今立側)入口

≪復路≫杉水峠(今立側)入口12:05〜道の大回廊〜林道〜12:40杉水峠12:40〜二股〜林道終点〜13:05杉水峠(杉水側)入口

 参考資料

Web情報:国土地理院/基準点成果等閲覧サービス(三角点情報)

      :電子国土ポータル

文献   :

 過去の山行記録

 

地理院地図によるルートマップ

Webサービス by Yahoo! JAPAN

注:この地図はおおよそのルートをトレースしたもので、正確ではありませんので、参考程度にお使い下さい。なお、この地図の登山ルート表示は原則的に下から3番目の縮尺に合わせているため、他の縮尺ではルートと地図にずれが生じる場合があります。地図上の赤線が今回歩いたルートです。

≪注:赤枠で囲った写真にマウスポインターを当てると、ルート表示や説明が現れます。≫

杉水峠は私が峠歩きを始めるきっかけとなった峠だ。この峠には10数年前に何度か足を運んだがその当時は全く人の手が入っていない状態で、荒れ放題の酷い藪道だった。そのような道を苦労して上がって行ったら、突然切り通しの大規模な峠が現れたのでびっくりしたことを憶えている。平野育ちの私がこのような深い切り通しの峠を見たのは初めてだったので、大きな感銘を受けたし、他にもこのような峠を見たいと峠歩きを始めた次第である。その当時、この峠は全く顧みられず、消え去る運命にあるように見えたが、その後地元の方が整備されたと聞いたので、再度行ってみる気になった。

この峠は石川県山中温泉の奥にある九谷ダムから更に奥に入った杉水集落と今立集落を結ぶ峠で、昔は杉水から街に出るためにはこの峠を越えるしかなかったので、非常に重要な峠だった。この峠付近は今でも車で通り抜けられないものの、県道(県道153号我谷今立塔尾線)に指定されている(いわゆる不通県道)。この峠道は昭和40年代初めまで確実に生活道として使われていたので、かなり立派で、ずっとほぼ2m50幅の道が続いている。昔はこの道を守るために、専属の人間がひとりいたというのだから恐れ入る。このような道はモータリゼーションの波と共に歩く人がいなくなり、消え去ってしまった。昭和30年代後半、40年代初めまで生き残った例は稀で、この峠道は歩く道として一番最近まで行政やコミュニティによって保守管理され、使われた例として貴重な存在だと言えるだろう。

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杉水峠(杉水側)入口

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崖崩れ工事中

今回は杉水側から峠に登り、今立側の峠道入口まで降りて、同じ道を帰ってくる計画だ。峠への杉水側入口は杉水集落を過ぎたところにある(九谷ダムのほうから行った場合)。墓地が目印だ。その横から、山に入って行く林道(実際には県道)があるので、そこを歩くことになる。近くに車を停めるところがないので、邪魔にならないよう、路肩に車を乗り上げて駐車した。入口には前回にはなかった、「杉水峠」と書かれた案内板が建っている。ここには林道立杉線の標識もあり、ここから山に入って行く道がその林道立杉線だと思われがちだが、実際には県民の森に向かう立派な舗装道路が林道であり、ここから山の中に入って行く砂利道が県道なのである。しばらく行くと、崖崩れがあったようで、工事が行われていた。重機が道をふさいでいたので、合図をして通してもらった。

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最初は林道歩き

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林道終点

林道(実際には県道)は綺麗に砂利が敷かれており、前回来たときよりも格段にきれいになっていた。十分車でも走れるだろう。10分ほど歩くと橋があり、その先で砂利道はお終いになっている。ここまで車で来ても、1、2台は置けるだろう。

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日の当たるところでは草が多い

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二股

ここからは荒れた土道となる。この夏にも峠道の整備がなされたと聞いていたが、最初はそれほど歩きやすい道ではない。樹林帯の中はいいものの、日が当たるところに来ると、道は草だらけで、前回と殆ど変わっていない。やはり、草が収まった時期に来ればよかったと後悔したが、それでも背の高い草は生えておらず、草や薮を掻き分け進むようなことはなかった。草が収まった時なら気持ちよく歩けるだろう。林道終点から5分ほど歩くと、谷が二股になったところが現れた。前回歩いたときから、だいぶ時間が経っているので、どちらに行くのか迷った。記憶がはっきりしないが、右に登って行ったような気がしたので、そちらに進んだ。ここには案内板がほしいところだ。

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つづら折になった道

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ゴロゴロ石の道

そうしたら、すぐにつづら折になった道跡が現れたので、こちらで正解だったことが解かった。ずっと2m50幅ほどの土道が続いていたが、途中一ヶ所だけ、歩きにくいゴロゴロ石の道があった。昔はきちっと整備され、石畳の歩きやすい道だったのだろう。

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土留めのための石垣が残る

そこからしばらく上って行くと、道ののり面に石垣が積まれたところが現れた。そういった箇所が何ヶ所かあったから、昔は重要な道で大事にされていたことが解かる。

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つづら折の道

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同左

峠近くになると急斜面をつづら折に登って行くことが多くなり、道幅は少し狭くなったようだが、それでも2m幅以上の道が続いている。道の傾斜を緩やかにするために、小まめなつづら折の道になっていた。

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峠直下の道の様子

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峠が見えてくる

つづら折の道を何度も折り返していると、平坦で直線的な道に出た。その先を見ると山の稜線がU字にえぐられていたので、すぐにそこが峠だと解かる。峠に至る最後の道は100mほどの距離があるが、殆ど傾斜がなく、道幅も広く立派だ。峠が10m以上掘られているからこのような道を造るのが可能になったのだろう。この辺りは前回来たときは笹が酷く、薮漕ぎ状態だったが、きれいになっていたから、地元の人により草刈がなされたようだ。道は前回に比べれば全体的に随分歩きやすい。

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杉水峠(杉水側から)

 

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杉水峠(今立側から)

このようにU字(またはV字)にえぐられた峠の中で、私が見た限りではこの峠が最大だ。峠部分も2m以上の道幅が確保されている。この近くにある大内峠は、越前と加賀を結ぶ重要な峠道だったが、それでもここの峠より規模が小さい。それは、大内峠の下にトンネル(大内隧道)が掘られ、車が通れる道(国道364号線)が開通したからだろう。大内隧道の完成は昭和36年。この杉水峠の下にもトンネルを掘る計画があったそうだが、実現せず、今もこの峠を車で越えることは出来ない。だから、この峠は大内峠が使われなくなった後も、歩く道として使われていたことは明らかだ。この峠道は全線に渡ってほぼ2m50幅の道が確保されいるから、昭和30年代後半、または昭和40年代初めに、その規格に拡幅されたのかもしれない。

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杉水峠の標識

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太い杉が生えている

「杉水峠」と書かれた標識が落葉の下に埋もれていたので、起こしておいた。前回来たときこの標識はなかった。峠の今立側には大きな杉の木が何本か生えている。その下でしばらく休憩を取り、今立側に降りて行くことにした。

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今立側に降りて行く道の入口

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同峠道

しかし、反対側(今立側)に降りて行く道が見当たらない。こちら側の斜面はかなり急で崖のようになっている。良く見てみたら、右側に崖崩れのような跡があり、その先に道のようなものが見えたから、それが旧い峠道だと解かった。道が解からなくなっているのは最初だけで、すぐに道跡が現れた。杉水側に比べ、道幅が狭いように思えるが、急斜面に造られた道なので、崩れたのだろう。

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倒木の下をくぐる

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草生した峠道

急斜面なので、峠直下は細かいつづら折の道となっている。何度か折り返していると、倒木があり、道はその下をくぐれるようになっていた。この倒木が前回もあったかどうか憶えていないが、この辺りの道は倒木や薮でかなり歩きにくく、旧道を忠実になぞるのが難しいので、旧道の脇を迂回して通った記憶がある。今回は忠実に旧い峠道をなぞることが出来たから、かなり手が入ったことは間違いない。しばらく、行くと日の当たる場所に出たので、草が酷くなってきた。しかし、丈の高い草や潅木は生えておらず、薮漕ぎは不要だった。ここまで歩いてきた峠道の草の上にも足跡らしきものがうっすら残っていた。てっきり、獣が歩いた足跡かと思ったが足跡は忠実に峠道をなぞっていたので、最近この道を歩かれた人がいるようだ。

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小さな丸太橋を渡る

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一旦林道に出る

急坂をしばらく降りると、下に林道が見えて来る。林道に降りる少し手前では特に草が酷く、道が不明瞭になるところもあったが、林道に向かって歩きやすい場所を降りて行けば問題はない。一旦小さな沢に降り、丸太橋を渡れば、すぐに林道に出る。ここにも杉水峠と書かれた小さな案内板があった。 

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林道脇の峠道入口

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倒木で歩きにくい

この林道から峠道への入口が解かりづらい。昔はまっすぐ谷のほうに降りて行っていたのだろうが、林道工事で旧い峠道が削られてしまったようだ。旧道を忠実にたどるのは難しく、林道を左側に10mほど進んだ辺りから、右側の谷に降りて行くことになる。草が酷いので解かりづらいが谷を覗き込めばトラバース状に峠道が続いているのが解かるだろう。2mも下に降りれば、峠道の跡が現れる。しかし、この辺りは草や倒木が酷く、非常に歩きにくい。この峠道で一番ここが難所だろう。

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草生した道

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歩きやすい道になる

峠道は谷の斜面をトラバースして進んでいる。しばらくは倒木が多く歩きづらい道が、その道も2、300mで終わり、そこからはまた良く手入れされた歩きやすい道になる。

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良く整備された峠道

前回来たとき、この辺りの道は酷い薮の中だった。潅木を掻き分け、棘がついた草を振り払いながら歩いたのを憶えている。今回は薮が綺麗に取り払われていたので、歩きやすいし、昔の道の感じが良く解かった。この辺りでは林道と見まがうばかりの平坦で、幅広な道が続いていた。

 

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道の大回廊

道はその内、小さな尾根の少し下をトラバースするように進むようになる。その辺りで、尾根を掘り切りで横切る場所が出てきた。掘り切りを通り、尾根の反対側の斜面に出たと思ったら、道はまた180度転換し、ぐるっと廻って、また元の斜面に出て来た。このような峠道を見たのは初めてだ。道の傾斜を緩くする為に普通だったらつづら折の道にするのだが、ここのはそれを更に発展させ、道が360度円を描き、ループ状に上り下りするようになっている。かなり凝ったつくりだ。芸術的といってもいい。道の大回廊と名付けよう。

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堰堤が見えてくる

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峠道終点

そこからしばらく行くと、下に堰堤が見えてくる。その前の小さな沢を渡ると、この峠道も終わりだ。

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峠道終点の広場

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杉水峠の標識

峠道の終点は小さな広場となっており、車が4、5台は置けそうだ。今立側からは舗装された道(林道のようだが実際は県道)がここまで上がってきているから、ここに車を置いて峠に登ることが出来る。今立側から上がってきた車道はこから更に山の奥に伸びているがそれは林道で、先ほども書いたように今歩いてきた峠道が県道なのだ。分岐にも杉水峠の立派な標識が建っていた。

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杉水峠(今立側)入口

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小屋がある

ここから2kmほど降れば今立集落に着き、そこから山中の街や加賀市の平野部に出られる。その道をしばらく降りて行ったら小さな小屋があった。

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水車小屋跡の案内板

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水車小屋跡

帰りも同じ道を通り、再度峠に登って、杉水側入口の近くに置いた車に戻った。往路では写真を撮ったり、休憩したりしたので1時間半掛かったが、帰りはちょうど1時間しか掛からなかった。杉水側入口から県民の森のほうに少し行ったところに、水車小屋跡と書かれた案内板があったので、ちょっと覗いてみた。

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石臼

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昔はここから峠に上っていったか

水車小屋があった辺りには石垣があり、石臼が2基あった。ここは村共同の水車小屋だったそうで、そこで製粉したり、精米したのだろう。地図を見ると、昔はこの辺りから峠に登って行ったようだ。

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県民の森

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杉水集落の様子

帰りに県民の森により、そこで少し休憩し、再度杉水集落を通って家路に付いた。

 

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