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「にこたまの環境を守る会 公正な判決を求める原告・支援者の集会」が23日、東京都世田谷区の上野毛地区会館で開かれた。同会会員を中心に約50人が
参加。二子玉川東地区再開発事業の見直しを求める活動の状況を報告しあった。組織に依存するのではなく、住民が自発的に行動する点が印象的であった。
同会は二子玉川周辺の住民を中心に結成され、住環境を破壊する二子玉川東地区再開発事業の見直しを求めて活動中である。同会にとって、現在は一つの節目に 当たる時期である。会員ら周辺住民が原告となって、二子玉川東地区市街地再開発組合(川邉義高理事長)を相手に再開発事業の差し止めを求めた訴訟が1月 28日に結審したばかりだからだ(記事「二子玉川東地区再開発差止訴訟結審」参照)。 訴訟手続きの点では、あとは5月12日の判決を待つだけという状況である。 しかし、「座して待つ」だけとしないところが同会の素晴らしい点だ。会は、現在は二子玉川東地区再開発事業の中止を求めているが、会の目的は「参集する住民の総意で『新たなまちづくりの夢』を語り合い推進すること」(会則第2条)。 判決が出されて終わりではなく、現在の再開発計画の問題・違法性を多くの人々に周知し、地域全体に運動の和を広げ、住民主体のまちづくりを目指す。今回の集会は、そのために各自の活動を報告しあい、お互いに取り組めることを確認しあう場であった。 最初に野崎宏会長があいさつした。結審は1つの通過点だという。自分たちが既成概念にはまってしまっては駄目である、民意を強め、なすべきことをなしていきたい――と。 続いて再開発差し止め訴訟で代理人を務める渕脇みどり弁護士と吉田悌一郎弁護士が「私たちの闘いを振り返り、今後の展望を切り開くために」と題して話した。 渕脇弁護士は、裁判では怒りの対象の具体化を目指したと語る。裁判の過程で真実を明らかにしていくことで、何が問題で何が行われているのかが明確になり、怒りの対象が具体化する。怒りはパワーの源であり、同じ怒りを共有する人々の連帯は一層大きな力になる、と。 吉田弁護士は薬害肝炎訴訟の原告の例を出しながら、「辛い時こそ頑張り時」と強調した。血液製剤「フィブリノゲン」などを投与され、C型肝炎ウイルスに感染させられた患者らが国と製造元の製薬会社などに損害賠償を求めた裁判である。 吉田弁護士は、「原告にとって、大阪高裁の和解骨子案を拒否したときが一番辛かったはず」と語る。 和解骨子案を受け入れれば自分たち原告には和解金が入るが、同じ被害者でも救済されない人々も出てしまう。だが拒否すれば、自分たちも救済されずに終わっ てしまう可能性もあった。それでも原告側は被害者全員の一律救済との原則論を貫き通し、それが世論を動かし、政治決着となった。そこに至ったのは地道な活 動の積み重ねがある――と。 弁護士らの話に続いて、住民から活発な活動報告がなされた。各住民が自発的に行動していることは注目すべき点である。 報告された内容は以下の通りである。 (1)再開発により、洪水時の周辺地域の浸水被害が悪化しないという具体的な根拠の説明を区に要求し、回答待ちの状況。再開発地域は人工地盤で数メートルの盛り土を行う計画だという。再開発地域で雨水がせき止められ、洪水被害が起きやすくなることが懸念される。 (2)会員自身の建設会社での業務経験と、再開発で建設されるマンションの施工会社の工事所長に直接確認した結果から、盛り土の人工地盤が想像以上に高くなると推測される。再開発を推進する側はあいまいな説明しかせず、住民に真実を知らせないようにしている。 (3)世田谷区議会議員に再開発関連予算の見直しを求めるべく働きかけている。活動を始めたころに比べると、再開発に反対する議員が数倍に増えた。 (4)自分の住む地域で再開発見直しを求める署名活動を始め、世田谷区議会に提出した。 報告された住民の活動は、会執行部が指示した結果ではなく、住民それぞれが自発的に動いたものだ。二子玉川東地区再開発事業の見直しを求める運動は決して特定の反対運動家だけが行っている訳ではないことがポイントである。 反対運動にとって組織化は力であるが、反面、組織への依存心も生じやすい。一般のメンバーは「自分がやる」ではなく、「組織がやってくれる」という意識になってしまいがちだ。その結果、活動しているのは役員だけとなってしまう危険性がある。 たとえば、最初の洪水被害が悪化しないことの根拠説明要求では、周辺住民としては関心事であっても、自分で直接、区に問い合わせるのは気が引ける、という人も少なくないだろう。 その結果、自分で問い合わせることよりも、会執行部に「会として区に問い合わせて欲しい」と要望しようと考える人も出てくると思われる。 これを一概に否定するつもりはない。個人ではまともに取り合ってくれなくても、組織の代表者名で問い合わせればそれなりの回答がもらえる場合もある。 しかし、そのような形にしたら織の役員に負荷がかかってしまうことも事実である。 もう1つ、役員のみが活動するという状況は組織にとって不健全である。積極的に活動する役員が何らかの理由で活動を止めてしまえば、全体の活動が止まって しまう。「うるさいのは役員だけ」という誤った印象を開発側に与えてしまう可能性もある。開発側の切り崩し工作によって、役員が地域から孤立してしまう恐 れさえある。 この意味で、守る会は反対運動組織として強い。組織に依存するのではなく、メンバーが自立的に行動している。これには、守 る会が「二子玉川東地区再開発を考える会」、「駒沢通りの環境を守る会」、富士見台や上野毛の住民有志など、さまざまなグループから構成される連合型組織 として発足した経緯も影響している面もある。何よりメンバー1人ひとりの意識が高い。 活発な活動報告に対しては、江東区東陽町から集会 に参加した「スカパー巨大アンテナに反対する住民の会」の門川淑子代表も感心していた。「スカパー~」は電磁波から近隣住民の健康・安全を守るため、株式 会社スカイ・パーフェクト・コミュニケーションズが東陽町に建設するパラボラアンテナに反対している。 しかし、反対運動を進める上で住民の組織化に苦労している面もあり、今回の集会は大いに励みになったと語った。 最後に二子玉川東地区再開発中止を求める決議文を読み上げて、集会を終えた。 決議文では再開発反対の理由を大きく3点にまとめた。 第1に再開発の内容である。再開発は住環境・自然環境を破壊する。 第2に再開発の進め方である。再開発地域の最大の地権者である東急グループ主導で進められ、住民は蚊帳(かや)の外に置かれている。たとえば用途地域が変更され、公園になるべき土地に高層ビルが建てられるようになり、東急グループに莫大な利益をもたらすことになる。 第3に税金の無駄づかいである。世田谷区が財政難・受益者負担と称し、区民の負担を増やすならば、再開発事業への公金投入を先ず止めるべきである。
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