東急リバブル、虚偽広告でお詫び
売らんかなの姿勢と、基本的な調査不足──東陽町営業所
すこし前になるが、2月中旬、東急リバブル株式会社(袖山靖雄社長)東陽町営業所が、ウェブサイトにお詫びを表示した。東陽町営業所が専属専任で媒介するアルス東陽町301号室(東京都江東区東陽1丁目)の広告表示の誤りについてである。お詫び内容は以下の通りである。
-お詫び-
平
成19年12月28日~平成20年2月15日の間、弊社ホームページ上に「売中古マンション(所在:江東区東陽1丁目、マンション名:アルス東陽町/3階
部分、販売価格3,280万円)」の販売告知を致しましたが、表示内容の一部に誤りがありました。一般消費者の皆様並びに関係者各位に大変ご迷惑をおかけ
致しました。 ここに謹んでお詫び申し上げるとともに、訂正させていただきます。
東陽町営業所長 松本猛
《 誤表示一覧 》
駐車場料金について ※正しい料金は「30,000(円/月)と32,000(円/月)」です。
12月28日~1月4日の間 「空無600(円/月)」と表示。
1月5日~1月7日の間 「空無20,000(円/月)」と表示。
1月8日~2月15日の間 「空無30,000(円/月)」と表示。
間取図について
(1) 北側洋室6畳の北側窓について ※正しい表示は「窓3カ所(2カ所/嵌め殺し窓、1カ所/外開き窓)」です。
1月4日~1月7日の間 窓2カ所(1カ所/嵌め殺し窓、1カ所/外開き窓)と表示。
1月8日~1月10日の間 窓3カ所(2カ所/嵌め殺し窓、1カ所/外開き窓)と表示。※正しい表示
1月11日~2月15日の間 窓3カ所(3カ所/嵌め殺し窓)と表示。
(2) 北側洋室5畳の出入り口の建具について ※正しい表示は「3連の引き戸(扉)」です。
1月4日~1月9日の間 「内開きドア(1カ所)」と表示。
1月10日~2月15日の間 「3連の引き戸(扉)」と表示。※正しい表示
その他の事項
(1) 管理会社名について ※正しい社名は「日本ハウズイング株式会社」です。
12月28日~2月15日の間 「日本ハウズィング株式会社」と表示。
(2)周辺施設(お買い物)の名称について ※正しい名称は「グルメシティ東陽町店」です。
1月6日~1月11日の間 「セイフー東陽町店」と表示。
以上です。
東急リバブルの広告表示の誤りは大きく5点ある。
第1に駐車場料金である。実際は月額で機械式駐車場の上段が3万2000円、下段が3万円である。しかし、広告では600円、20000円、30000円と不正確な表示を繰り返した。
実際よりも安く見せているため、消費者の期待を裏切ることになる(別記事「
東急リバブル、またまた虚偽広告」参照)。
第2に洋室(6畳)の窓の間取り図表示である。実際は窓が3つあるが、広告では当初、2つしか表示しなかった。また、外開き窓をハメ殺しの窓とする誤りも
ある。広告では洋室(6畳)の窓を目立たなくさせようとしているが、その理由としては、窓から数十センチ先に建物ができたために窓からの採光・眺望などが
失われたこと、冬場に発生する窓の結露の被害を隠そうとしたことが推測される(別記事「
東急リバブル、間取り図でも虚偽広告」参照)。
第3に洋室(5畳)の出入り口の間取り図表示である。実物は引き戸であるが、広告では当初、内開きの開き戸にしていた。ちなみに東急リバブルの広告ウェブ
ページではリビングの写真も掲載されていた。これは洋室(5畳)から撮影されたもので、写真上部に引き戸の鴨居が写されている。ここからも洋室(5畳)の
扉が引き戸であることは明らかである。
この写真自体は最初の虚偽の間取り図が掲載された1月4日から掲載されており、東急リバブルは自ら掲載した写真と矛盾する間取り図を作成したことになる。
東急リバブルが引き戸を開き戸に虚偽表示する動機としては以下3点が考えられる。
1.フローリングの洋室には引き戸よりも開き戸が相応しい。
2.引き戸よりも開き戸の方が洋室(5畳)の独立性を示しやすい。とはいえ洋室(5畳)に行くためにはリビングを通る必要があり、見かけ上の独立性に過ぎない。
3.
新築分譲時に配布された図面の中に、すでに実物とは異なり、開き戸になっているものがあった。アルス東陽町では新築分譲時に配布された図面が数パターンあ
り、現実の間取りと異なったものがある。これは青田売り(建物が完成していない状態で販売すること)で販売されたこと、設計変更が複数回行われたことの反
映と考えられる。
相互に矛盾する複数種類の図面集が存在することは301号室の売買代金返還が争われた裁判でも問題になった。また、アルス東陽町では設計通りに施工されていない問題も明らかになっている(別記事「
マンション欠陥施工に対する東急不動産の呆れた説明」参照)。分譲時から無責任・いい加減という問題を抱えていたと言える。
第4に管理会社の社名の誤表示である。名前を間違えるのは失礼極まりない。元々、アルス東陽町では他の東急不動産分譲物件と同じく、グループ会社の株式会
社東急コミュニティーに管理を委託することを条件に分譲された。しかし、東急コミュニティーに問題があったため、管理組合が管理会社を変更した経緯がある
(別記事「
マンション管理会社を変更して、経費削減に成功」参照)。
東急グループとしては面白くない展開である。故意に正確な社名を書かないことなど考えられないが、そうまでしても意趣返ししたかったのではないか、などと個人的には疑いたくなる。
第5に、近隣のスーパーマーケットの店名の誤りである。実際はグルメシティ東陽町店だが、広告ではセイフー東陽町店としていた。新築分譲時はセイフーだっ
たが、セイフーが2006年3月にグルメシティに変更されたため、現在の店名になった。新築分譲時(そのころはセイフーであった)の資料を写したために、
古い店名を書いたものと推測される。媒介広告作成時に調査すれば古い店名を書くはずがない。いかに東急リバブルが現地を調査していないかが分かる虚偽であ
る。
東急リバブルはアルス東陽町301号室の新築分譲時に販売を代理したが、不利益事実(隣地建て替えによる日照・眺望の阻害など)を
説明しなかったため、消費者契約法第4条第2項に基づき、売買契約を取り消された(別記事「東急不動産の遅過ぎたお詫び」参照)。今回、301号室が売り
に出されたのも、新築分譲時の売買契約が取り消されたためである。
その後、東急リバブルがアルス東陽町の別の居室を媒介した際には用途地域、間取り、駐車場料金について虚偽の広告を提示した(別記事「
不動産広告にだまされないように」参照)。
以上の経緯を踏まえれば、東急リバブルとしては間違いがないように細心の注意を払うべき物件のはずである。虚偽内容のなかには、高く売らんがため物件を良
く見せようとするものがある一方で、基本的な調査不足としか思えないようなものもある。しかもアルス東陽町301号室の媒介広告掲載中にも不正確な修正を
繰り返している。
東急リバブルには消費者に正確な事実を伝える意識も能力もないとしか思えない。2007年3月ごろには3000円を越
えていた東急リバブルの株価は今では1000円を切っている。この評価は、サブプライム問題や官製不況(改正建設基準法施行)の影響だけとは言えないと思
う。
●参考URL
東急リバブル東陽町営業所
http://www.livable.co.jp/toyocho/
誤表示一覧
http://www.livable.co.jp/toyocho/20080218.html