ネット銀行大手のイーバンク銀行
「待たざる経営」の強みと弱み
私が口座を開設しているネット銀行の1つにイーバンクがある。オーマイニュースの市民記者登録時に指定した口座もイーバンクの普通預金口座である。
口座開設のきっかけは、あるアフィリエイト報酬の振込先口座とするためであった。そのアフィリエイト・システムではイーバンクと別のネット銀行からしか選択できず、口座維持手数料が無料のイーバンクに口座を開設することにした。
アフィリエイト報酬の受け取り用として開設した口座であるが、すでに開設していた都市銀行の口座よりもさまざまな面で便利であったために、徐々にシフトしていった。
第1に預金金利が都市銀行よりも0.01%以上高かった。2007年時点の普通預金金利は0.35%であった。ネット専業銀行は支店維持のコストや人件費が少なくて済むため、その分、金利で還元できる。
第2にセブン銀行のATMと連携しており、24時間いつでも無料で入出金できた。セブンイレブンは自宅や勤務先の近くにあるため、非常に便利であった。
第3に振込手数料が割安であった。他行あて振込手数料は一律160円であった。
第4にネット証券口座への入金のしやすさがある。私が開設していた都市銀行でもオンラインバンクはあるが、ネット証券口座への入金時はパスワードだけでなく、暗証カード記載の情報との照合が必要であった。これに対し、イーバンクはパスワードだけで入金できた。
これはイーバンクのセキュリティーの弱さを意味し、本来はデメリットとして位置付けるべきものである。しかし、入金の度に暗証カードを持ち出すのは面倒で
ある上、暗証カードの紛失のリスクもある。一般論としてセキュリティーは厳重であるべきだが、手間暇というコストとのトレードオフになる。
このようにイーバンクは便利であったが、イーバンクに傾斜する契機は別にあった。私は東急不動産から新築マンションを購入する際、販売代理の東急リバブル
提携で、都市銀行から住宅ローンを借りた。住宅ローンの金利優遇を受けるため、都市銀行口座を給与振込口座に指定するなど囲い込まれている状態であった。
しかし、実は東急不動産のマンションは不利益事実(隣地建て替えなど)を隠して、だまし売りされたものであった。引き渡し後に真相を知った私は消費者契約法に基づき、売買契約を取り消した(参照「東急不動産の遅すぎたおわび」)。
数年に渡る裁判闘争を経て、売買契約は白紙化され、住宅ローンも消滅した。これにより、都市銀行にこだわる必要がなくなった。とはいえイーバンクとの蜜月も長続きしなかった。イーバンク側のサービス条件変更によって、私にとってのメリットが薄れたためである。
第1に預金金利が低下した。2008年9月10日現在、普通預金金利は0.25%である。これは他行と比較し、それほど有利ではない。ただし定期預金の預入単位が一口10万円から1万円以上に下がった点は便利である。
第2に2007年12月1日から入出金が有料化された。月数回の所定回数までは無料で、それ以降の利用は210円の手数料がかかるようになった。その後、2008年3月1日からは3万円以上の入金手数料は無料になった。
第3に他行あて振込手数料が2008年9月22日から値上げされる。3万円以上の振り込みは手数料が250円になる。
条件変更の中で最も衝撃的なのは入出金の有料化である。それまでイーバンクでは預金口座新規開設キャンペーンを積極的に展開しており、口座開設の囲い込み
後の有料化として感情的な反発も生じかねないタイミングであった。とりわけ入金にまで手数料を払うことは利用者には受け入れ難く、その後の見直しにつな
がったと考える。
一方、イーバンクの立場で考えると、イーバンクはセブン銀行のATMを利用しており、銀行間で支払う利用料が発生する。そのコストを預金者にも負担してもらいたいということなのであろう。
ネット銀行は人件費や支店維持コストなどが少なくて済む「持たざる経営」が強みである。しかし、ATMを他行に依存するイーバンクでは「持たざる経営」の
意外な弱さが露呈した。現金というものを流通させる必要がある限り、ネット銀行が「持たざる経営」の強みを完全に発揮することには限界があることを示して
いる。ネット間の取引に使う上では便利であり、現在でもネット証券口座への入金用およびネット証券口座間の資金移動にイーバンク口座を活用している。











