同じ物件が異なる間取り
不動産業者の広告比較


マンションの同じ1室の広告でも、不動産業者によって間取りが異なる広告を出している例があるので、紹介する。
問題の物件は東京都江東区にあるマンション「アルス東陽町」である。アルス東陽町は東急不動産が分譲したマンションで、2003年9月に建築された。この物件の3階にある1室の媒介広告が2008年10月25日現在、ポータルサイト「Yahoo!不動産」に掲載されている。
広告を出しているのは大京リアルド・ネット営業課と三井のリハウス東陽町店営業第1グループの2社である。売り主が複数の業者に仲介を依頼することは可能であり、同じ物件を複数の業者が宣伝することは珍しくない。
問題は同じ物件であるにもかかわらず、業者によって間取りが異なることである。大京リアルドの広告では間取りを1SLDKとするのに対し、三井のリハウスの広告では2LDKとする。
1SLDKは居室が1つにサービスルーム(S)が1つ、リビング・ダイニング・キッチン(LDK)の間取りである。これに対して2LDKは居室が2つにリビング・ダイニング・キッチン(LDK)の間取りである。
相違は部屋の1つをサービスルーム(納戸)と位置付けるか居室とするかにある。ある部屋が納戸(サービスルーム)であるか、居室であるかは建築基準法で規定されており、不動産業者が勝手に命名してよいものではない。同じ物件の広告で1SLDKとするものと2LDKで分かれるということは大きな問題である。
間取りのみならず、広告ページに掲載された間取り図でも部屋の広さが相違する。
第1に北西の部屋「洋室1」が大京広告では8畳であるのに対し、三井広告では8.5畳である。
第2に北東の部屋は大京広告では「DEN(納戸)」とされ、4畳である。これに対し、三井広告では「洋室2」とされ、3.5畳である。この部屋を納戸とするか洋室とカ
ウントするかの違いが、間取りを1SLDKとするか2LDKとするかの相違になっている。
第3にリビング・ダイニング(LD)について大京広告は11.2畳とするが、三井広告では10.8畳とする。
第4にキッチン(K)について大京広告は3畳とするが、三井広告では広さを記述しない。
東急不動産が分譲時に配布した図面集によれば、間取りを1SLDKとする点でも各部屋の畳数も大京広告と合致する。記者は、このマンションの別の住戸を新築で購入しており(その後、消費者契約法に基づき、売買契約を取り消す)、その際の図面集で確認した。
三井広告の値が、どのように算出されたかは不明であるが、実測値ならば反対にこちらが正確になる。いずれにしても同じ物件について矛盾する記載をする2社の広告が共に正しいことはあり得ず、少なくとも一方は虚偽広告である。
実は、このマンションの不動産仲介で虚偽広告が掲載されるのは今回が初めてではない。別の住戸で東急リバブルが虚偽広告を出している。この際は駐車場の料金を実際よりも大幅に安く表示し、深刻な結露が発生する窓を隠すなど悪質であったために公正取引委員会も調査した(後掲記事「不動産広告にだまされないように」「東急リバブル、虚偽広告でお詫び」)。
それと本件を同視するならば異論が生じようが、消費者が正しい情報を得られないという点は同じである。不動産購入に際し、消費者は慎重の上にも慎重を重ねなければならないことを2社の広告は示している。
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