テロとの戦いの現実を描くフランス映画
鑑賞レビュー◇映画『シークレット・ディフェンス』

フランスのスパイ映画『シークレット・ディフェンス SECRET DEFENSE』が2009年3月14日にTOHOシネマズ六本木ヒルズにて上映された。フランス映画の振興を目的とする団体・ユニフランスが主催する、フランス映画祭2009の中での上映である。
上映終了後にはフィリップ・ハイム監督と主演女優のヴァヒナ・ジョカンテさん、日本人ゲストとして犯罪学者の北芝健氏を迎えての豪華トークショーも行われた。また、映画祭に合わせてヒルズカフェを改装したフレンチシネマカフェではハイム監督やジョカンテさんのサイン会も行われた。
「シークレット・ディフェンス」はテロリストと諜報(ちょうほう)部員の終わりなき戦いを、複雑に絡み合う人間模様とともに描くアクション・スパイ映画である。DGSE(対外治安総局)のエージェントとなった女子学生ディアーヌと、テロ活動に救いを見いだそうとするピエールを軸として物語は進む。治安機関とテロ組織という正反対の組織が対立するが、両者のやり方は恐ろしいほど近似している。それは心理的に追い詰められた人間を工作員として利用することであった。
テロを実行する側とテロを阻止しようとする側による、味方までも欺くだましあいは最後までハラハラさせる。トークショーにおいて北芝氏も「シナリオがすごい」と絶賛していた。また、テロリストと国家権力側の戦いを描く映画は星の数ほど存在するが、北芝氏が「エスピオナージュに四つに取り組んだ」と評したように、本作品は複雑な現実を単純化せずに直視している。
本作品はハリウッド映画に典型的なスパイが悪の組織を打破する勧善懲悪的なヒーロー・アクションとは異なる。本作品のスパイはヒーローではなく、人間性を喪失した空虚な存在である。
一方でテロリスト側に軸足を置き、国家権力の腐敗を告発する作品でもない。作品内の字幕で「9.11以降、約15のテロがフランスの諜報活動によって回避されている」と紹介されているように、諜報活動が人命を救った面がある。
また、テロ組織の黒幕アル・バラドはムスリムの諜報部員から「イスラムを政治的に利用しているだけ」と批判され、最後には「イスラムを汚している」と糾弾される。国家権力を善か悪かに決め付ける分かりやすい価値観で描いていない分、重厚な作品となっている。
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『シークレット・ディフェンス SECRET
DEFENSE』
監督:フィリップ・ハイム
出演:ジェラール・ランバン、ヴァヒナ・ジョカンテ、ニコラ・デュヴォシェル、シモン・アブカリアン、ラシダ・ブラクニ、オレリアン・ウィイク
製作:イヴ・マルミオン(UGC)
撮影:ジェローム・アルメーラ
編集:シルヴィ・ランドラ
2007年/フランス/35ミリメートル/カラー/1時間40分











