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通常実施権

使用者、法人、国又は地方公共団体(以下「使用者等」という。)は、従業者、法人の役員、国家公務員又は地方公務員(以下「従業者等」という。)がその性資上当該使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至つた行為がその使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属する発明(以下「職務発明」という。)について特許を受けたとき、又は職務発明について特許を受ける権利を承継した者がその発明について特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有する(特三五())

これは発明者と使用者の衡平を図るための規定、乃至は使用者に対する最低限の保証とされるが、発明をなすことが職務である場合に、使用者による完成した発明の実施は、従業者が少なくとも黙示的に同意している(と擬制してよい)ことである。これは雇用の場合に限らず、請負や準委任の場合にもあてはまる。従って通常実施権の根拠は許諾による通常実施権と同じく発明者の意思に求められる。

しかしこれだけでは当事者間の債権的関係に過ぎず使用者の地位は不安定である。そのため職務発明の場合は請負等と比べて特に使用者の寄与が深いことに鑑み、法は法定通常実施権として従業者が当該特許権を譲渡した場合や、専用実施権を設定した場合でも登録なしに特許権者・専用実施権者に対抗できるようにした(特九九())。しかし通常実施権の移転・変更・消滅・処分の制限又は質権の設定・移転・変更・消滅・処分の制限は登録しなければ第三者に対抗できない(特九九())

この法定通常実施権は特許権者による訂正審判の請求や特許権の放棄につき、その保有する使用者の承諾を必要とする(特九七()、一二七)。つまり使用者には当該特許権の権利範囲の縮減や消滅により第三者が自由に実施することを防止する機会が保障されている。この点で抗弁権的な他の法定通常実施権と異なり、許諾による通常実施権と共通する。これはこの通常実施権が従業者の意思に基づくからと説明できる。確認の訴えはそれによって現存する紛争の直接かつ抜本的な解決が図れる場合にのみ訴えの利益(確認の利益)が認められるが[1]、使用者の実施権は対第三者的性格が強いため、それ自体単独で確認の訴の利益を認めてよい[2]。法定通常実施権は当事者の意思に根拠をもつが、使用者によるR & Dへの投資を誘引するために法が対世的に保障したものといえる。

通常実施権とは特許発明を業として実施する権利で、専有するものではない点で専用実施権とは異なる。そのため、使用者の実施権限は非排他的なものにとどまり、特許権侵害者に対する差止や損害賠償請求権は認められない(東京地判昭三六.一一.二〇下民一二−一一−二八〇八)

韓国でも「職務発明が完成するまで、使用者が提供した設備、資金、その他の努力等の貢献と従業員の努力等の貢献を調整し、衡平の観念に基づいて特許法は従業員またはその承継人が特許を受けたときには、使用者がその特許について通常実施権を定めている」(特許法39(1))[3]

(一) 範囲

使用者の通常実施権の範囲については議論がある。許諾による通常実施権の場合は契約自由の原則から通常実施権に制限(e.g.場所的、時間的)を付すことも可能である。最判昭四八..二〇判時七〇四−四九も「通常実施権は、実施契約で定められた範囲内で成立するものであって、許諾者は、通常実施権を設定するに当りこれに内容的、場所的、時間的制約を付することができる」とした。

そのため通常実施権の範囲に何らかの制限を加える見解と、何らの制限なく特許権の全範囲に実施できるとする見解が対立する。後者が判例・通説である(東高判昭六〇..二五判タ五七六-九〇)[4]

全範囲とする形式的根拠としては、範囲を限定する法律上の規定のないことがあげられる[5]。実質的根拠としては職務発明について特許を受ける権利の承継契約により特許権を取得した場合との均衡があげられる。

この通常実施権の根拠を使用者に実施させるために完成させたという従業者の意思におくならば、その目的の範囲内でのみ実施させれば十分との見解も成り立ちうる。しかしそれは特許権の実施の現状とはそぐわず、制限なしとすべきである。

先ず場所的制限については、発明の実施を従業者の所属する事業所に限定する等が考えられる。米国のshop rightも作業場で実施する権利の意である。しかし県境はもとより国境すらボーダレス化した時代に一工場のみに実施できる権利は意味をなさない。次に時間的制限についてだが、特許権の存続期間は経済的には発明に要した投下資本の回収を保障するために定められている。従ってそれより短い期間しか実施が認められないならば使用者は開発費を回収できないだろう。それ故、この実施権は特許権の存続期間中存続し、その消滅によって消滅する。

実施態様や商品分野による制限が最も考えられる。特許発明の実施は様々な行為の集合からなっている。即ち「物の発明にあつては、その物を生産し、使用し、譲渡し、貸し渡し、若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。以下同じ。)をする行為」「方法の発明にあつては、その方法を使用する行為」「物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物を使用し、譲渡し、貸し渡し、若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為」である(特二())。そこで例えば発明品の販売のみを事業範囲とする使用者には譲渡についてのみの実施権を認める。

商品分野による制限とは例えば発明がパソコンとテレビに応用できる技術である場合に、テレビについての実施に制限することである。そこで使用者の事業範囲がテレビについてのもののみの場合にはテレビについての実施に限定する。しかしこのような制限は企業の成長の足枷となるものである。ある分野で競争優位を実現した企業が関連分野に進出することは自然なことである。従って優れた技術の開発によりその技術を用いて新事業を立ち上げることも認められ、通常実施権に制限を付すべきではない。

(一) 無償

使用者は無償で通常実施権を取得する。しかし発明が同一の研究材料や設備が与えられたとしても同一のものがなされるとは限らない創造的な活動であり雇用契約の目的となり難いものならば、任務であっても発明を完成させることは使用者が雇用から期待する以上の成果を得たことになる。しかも職務発明の職務は具体的な指示を受けた場合に限らず、事後的にみて発明を期待されていた場合も含む広い概念である。又、使用者の通常実施権は使用者の事業範囲に関わりなく特許発明の全てに及ぶ広範なものである。

従って使用者の実施権を有償とする立法論も十分成り立つ。通常実施権が従業者の意思に基づくとしても、労働関係では労働者は劣位に置かれるため契約自由に任せてはならないというのが労働法の出発点であり、従業者の意思は絶対視できない。

これに対しては使用者が期待する以上の成果を上げた労働者は昇進や昇給で報いられるから十分との見解もある。実際、人事・給与システムは能力評価型から業績重視の成果型に大きく変わりつつある[6]。若手従業員のやる気を高めようと収益をガラス張りにして、自己の技能が収益・報酬にどう結びつくのかすぐわかるようにした企業もある[7]

しかしこれは単なる可能性に過ぎず法的に保障された権利ではない。「どんなに大きな企業でも二〇年後に存続しているかどうか、今や、だれも保証でき」ない時代であり[8]、会社が倒産してしまえば全て水泡に帰してしまう不確実なものである。尤も従業者がこれまでしてきた貢献が会社の倒産によって報いられないのは発明の場合に限定されない。政策的には従業員の評価を総合的という名の恣意的主観的な査定に委ねるよりは、個々の仕事の成果毎に評価する方がgive & takeという近代的な人間関係に相応しいが、法がそこまで規定するのは私的自治に対する過当な干渉になるかもしれない。

象印マホービン「発明考案取扱規定」一〇条は、「特許法第三五条によって会社が実施権を有する工業所有権を実施して利益を得た場合は、第九条(会社が権利を承継した工業所有権の実績補償金の規定 筆者注)に準じて実績補償を行う。

(二) 混同

使用者が特許を受ける権利や特許権を取得すると法定通常実施権は混同により消滅するかは議論がある[9]。使用者が当該特許権を第三者に譲渡したとしても通常実施権が残るとする見解は、特許法三五条一項は全ての第三者を対象としており、かく解することが労使双方の利害の調和を図ろうとする三五条の趣旨に適うとする[10]

しかし特許法が使用者に実施権を認めたのは、従業者の同意を擬制できる使用者の実施を対第三者的にも保障するためである。そのため使用者が従業者から特許を受ける権利を取得したならば最早使用者の実施が妨げられることはないから、実施権を存続させる必要はない。しかも職務発明であるために通常実施権が永久に使用者に付着するならば取引の安全を害する[11]。従って使用者が特許権を承継すれば通常実施権は消滅し、以後の使用者による当該特許権を譲渡は通常実施権の付着していない完全な特許権の譲渡になる。他方、使用者が譲り受けた特許権に専用実施権が設定されていた場合は、第三者の権利の目的となっているため存続する。

(三) 特許付与前

特許法三五条一項は使用者は職務発明が「特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有する」とし、特許を受けたときに通常実施権が発生するように規定する。通常実施権は「特許発明の実施をする権利」だから(特七八)、特許を受ける前の通常実施権は無意味である。しかしこれは特許付与以前に使用者が発明を実施することを禁止するものではない[12]。使用者の実施権は従業者の同意に求められ、それは特許付与前でも、更には当該発明を出願せずノウハウとしたとしても等しく認められる。従って使用者は職務発明の完成時から実施権限をもつ。

東京地判昭五八.一二.二三無体一五--八四四連続クラッド発明事件は「当該発明について特許がされる前、また、特許を出願しなかった場合には、実施権という観念は法律上存在しないが」法定通常実施権を有するとの「規定の理は、この場合にも同様に適用されるべき」とする。出願公告制度廃止前は出願公告によって出願人に仮保護の権利が発生するが、その場合も明文規定はないが使用者にも仮の実施権が認められると解されていた[13]

(二) Shop Right

米国でも従業者の発明は使用者ではなく従業者の財産であるのが原則である(The Joliot Mfg. Co. v. Andrew F. Dice 105 Ill. 649 (Dist. Ct. 1883).)。使用者が発明完成のために必要な資金を提供し、他の従業者の援助を受けてなされたものでも、使用者が当該発明又は特許のtitleを取得するという契約もなく、又、従業者が使用者のために自己の発明能力の限りを尽くすという雇用契約上の義務もなければ使用者の権利は当該発明についてのライセンスの取得にとどまる(Hapgood v. Hewitt, 119 U.S. 226 (1986).)

このライセンスは作業場shopで発明を実施する権利としてshop rightという[14]。これは判例法上認められた権利である。leading caseは、ある者が他の者に雇われている間に使用者の出費で使用者の工場の発明をなし、その結果給与が増額され一切の補償をした使用者に実施を認めたならば、使用者は撤回されることのない実施権を推定されるとした(McClurg et al. v. Kingsland et al., 42 U.S. 202 (1843).)。これ以前は従業者に自己の発明について絶対的な権利を認め、契約なき限り使用者が発明を実施できるのは一般の人がその発明を実施できるようになってからとされた(Pennock et al. v. Dialogue, 19 Fed. Cas. 171 (C.C.E.D. Pa. 1825).)shop rightを主張するためには、使用者は従業者の発明が勤務時間中会社の設備及び原材料を用いて行われたことを証明しなければならない[15]shop rightの要件として従業員の事前の同意を要求した例もある(Aetna-Standard Engineering Co. v. Rowland, 343 Pa.Super. 64, 70, 493 A.2d 1375, 1378, 228 U.S.P.Q. 292, 296 (1985).)

shop rightは変更できない、非排他的、不可譲、無償の権利である[16]shop rightは日本の職務発明による通常実施権に対応するものといえるが、通常実施権と異なり実施できる範囲が制限される。しかし技術革新への対応の必要からその範囲は拡大する傾向にあり、法定通常実施権に接近しているとされる。発明が雇用期間中に使用者の工場で実施され、雛型が製作され、使用者の弁理士により従業者の名で特許を取得した場合に使用者にその特許につき撤回不能な排他的実施権を認めた例がある(Eustis Mfg. Co. et al. v. Eustis, 27 A. 439, 51 N.J. Eq. 565 (Ct. Ch. N.J. 1893).)。しかしこれは例外でありshop rightは非排他的とするのが判例の主流である。

shop right理論は発明者従業員が特許権を取得した時だけでなくトレードシークレットとした場合にも適用される[17]

Cahill v. Regan, 5 N.Y. 2d 292, 298, 184 N.Y.S.2d. 348, 353, 157 N.E. 2d 505, 509, 121 U.S.P.Q. 58, 60 (1959).

これは衡平の原理の適用の結果である。発明は使用者の時間、施設、資材を利用して得られた成果であるから、使用者に彼の財産を具現化した発明を利用する権限を認めるのが衡平に適う。

Gill v. United Stated States, 160 U.S. 426 (1986).

特許権侵害訴訟である。Gillは機械設計工、職工長、製図工としてFrankford兵器廠に雇われた。Gillはこの雇用期間中に発明し、特許された(at 426.)。この発明を実施している政府に対し特許権侵害で提訴した。発明の完成のために特許権者が政府の人的物的設備を利用したことは、政府がその発明を無償で実施することに特許権者が同意し奨励さえしているとみることができる(at 435.)

United States v. Dublier Condenser Corp. 289 U.S. 178, 188, 17 USPQ 154, 158.

従業員が1勤務時間中に、2使用者の設備資材を用いて、3特許を取得した発明を着想し、4完成させた場合、従業員は使用者に発明を実施する非排他的な権利を認めなければならない。

 

承継契約

特許法は使用者に法定通常実施権を認めることで発明者と使用者の衡平を図るが、これだけでは使用者は満足せず発明を独占的に実施したいと思うかもしれない。発明を実施できても競争者を排除できなければ、企業がR & Dに投下した資本を十分に回収することはできないかもしれない。そこで「職務発明について特許を受ける権利は使用者が承継する」「使用者のために専用実施権を設定する」等の契約、勤務規則その他の定めによって使用者は職務発明についての権利を承継することができる。

特許法はこのような契約・勤務規則を積極的に推奨しているわけでなく、このような定めをしたときは従業者は相当の対価の支払いを受ける権利を有するという形で裏から認めているに過ぎない(特三五())。しかし現在では特許出願を行うような企業の大半にはこのような定めがあり[18]、実務では原則と例外が逆転してしまっている。

承継契約の契約締結の方式は自由であり、口頭でも黙示でも成立しうる。しかし一般に証拠が不明確ならば紛争において社会的に力の強い者の意思が通ってしまいがちである[19]。それ故、口頭や黙示の契約の認定には慎重さが求められる。使用者が法定通常実施権以上の利益を欲するのであれば特別の契約をなすべきとするのが法の趣旨だから、従業者の研究に使用者が援助・協力したという事実から承継契約があったとすることはできない[20]

特許を受ける権利の譲渡は重要な財産的契約であり、しかも労働者に不利益をもたらすものだから、立法論としては書面の作成を義務付けるのが望ましい。労基法15条は労働契約締結時における使用者の労働条件明示義務を定め、賃金等については労働者に対する書面の交付を明示方法とする[21]。契約の拘束力の根拠は意思にあり、形式的な要件によって契約の成立を制限するのは契約自由の原則に対する干渉ではある。しかし自然法の洗礼を受けた意思至上主義とされるフランス物権変動の意思主義も[22]、かかりつけの公証人慣行の存在[23]、高額な取引における公正証書の作成の義務付け[24]、書証優越の原則[25]に担保されているという側面もある[26]

(三) 勤務規則

勤務規則は労働法上の就業規則に対応する。特許法の従業者と労働法の労働者が同一ではないように、勤務規則と就業規則も同一である必要はなく、特許法の目的と必要から独自に導き出せばよい問題だが、労働法学が就業規則に向けるほど特許法学は勤務規則を熱心に研究しているわけではない。それ故、勤務規則を考察する上で労働法学の成果を利用することは有益だろう。とりわけ労働者保護は労働法学の御家芸なのだから、就業規則の労働者保護の面は勤務規則にも引き継がれるべきである。

就業規則の法的性格については「契約説」「法規説」「事実たる慣習説」等諸説対立し「十人十色」といわれる状況である[27]。しかし就業規則は私人たる使用者が一方的に作成するもので個々の労働契約に内容を与える単なる契約草案か事実上の基準に過ぎず[28]、個々の労働者がそれに従いそれを取り入れて労働契約を結ぶことにより法的効果を生じる。経営主体・労働者間の労働条件は当該企業の就業規則によるという事実たる慣習(民九二)が成立しているとして就業規則の法的規範性を認めた例もあるが(最判昭四三.一二.二五民集二二-一三-三四五九秋北バス事件)、個別企業の就業規則や企業内労使慣行は契約の両当事者に普遍的な、当該地域・市場で支配的な慣習ではなく、むしろその点にそれらの存在理由があるのだから、それらは事実たる慣習ではない[29]。それ故、勤務規則も労使の合意があってはじめて法的拘束力を生じるのだから、契約として一元的に把握できる。

他方、就業規則は当事者の労働契約に取り入れなくても効力を有する場合がある。労働契約の労働条件が就業規則で定める基準に達しない場合はその契約を無効とし、無効の部分は就業規則の基準の定める基準による(直接(自動)的効力 労基法九三条)。この場合は当事者の意思の媒介を必要とせずに労働条件が決定される。しかし労働条件又は労働者の権利義務は労働者本人の同意に基づいて決定する、という私的自治の原則的立場からは、これらの法規は労働者保護のために私的自治を修正する政策的特別規定といわなければならない[30]

就業規則は作成・変更について当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない(労基九〇)。又、就業規則は常時作業場の見易い場所に掲示・備え付ける等の方法によって労働者に周知させなければならない(労基九〇)。これらの規定を訓示規定にとする見解もあるが、労働者本人が自らの労働条件の決定に主体的に参画することで労働者の人間らしい生活を保障するのがこれらの趣旨だから効力発生要件である。電気事業法二〇条も約款に拘束される需要家がその内容を周知できるように、一般電気事業者に供給約款の常時公表を義務付けた[31]。就業規則は当事者が契約に取り込むことで効力を生ずるが、上記の要件が欠ければたとえ契約で取り込んだとしても効力は生じない。

就業規則に法的規範性を認めるためには周知性を要するとし、「就業規則が周知性を備えるためには、その事業場の労働者の大半が就業規則の内容を知り、又は知ることのできる状態に置かれていることを要する」(東高判H12.8.23判時1230-152労働契約関係確認等請求事件)

(四) 発明取扱規定

多くの企業では発明取扱規定を制定してそれに基づいて処理している。慶大「発明取扱規則」では「目的」「義塾に帰属する発明」「発明の届出」「特許出願」「特許出願の維持・管理」「運営委員会への報告」「発明者の協力」「秘密の保持」「費用の負担」「対価の配分」「規則の改廃」について規定する。その他「発明の認定」「対価の支払方法、時期」「死亡者の取扱い」「他社派遣従業員の取扱い」について規定する例もある。

(五) その他の定め

その他の定めとして労働協約があげられる。労働契約が労働者と使用者を当事者とするのに対し、労働協約は労働組合と使用者(又はその団体)が当事者となる。工場労働者が経営陣に対する交渉力をつけるために組織化できたのに対して、新しい知識労働者の場合、技能の多様性によって労働に対する標準的価格の設定が不可能であるため、集団交渉のための組織化は困難である[32]。ために労働協約で定められる例は実際上は少ない。

実際、労働者の利益を守るべき労働運動も日本では首切り反対や賃上げ・政治闘争には熱心だが、発明者のような専門的な才能を用いる労働者の利益には関心が低く、使用者は組合の圧力を感じることなく従業者発明を搾取できた企業別組合という特殊日本的状況においては研究者・技術者の声は中々組合に反映されないからである。知的営為の成果を使用者の搾取から守るという問題はルーチンワークの繰り返しである大多数の労働者の共感を必ずしも得るものではなく、組合にとっては首になった一人の労働者の組合員権を奪う方が交渉の実力を維持するために有利だろう[33]。従って労働運動の基盤である連帯の精神に過度に期待をかけることはできない。

労働契約が労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する場合は無効となり、無効となった部分は基準によって定められる(労組一六)。従って労働協約も当事者の意思の媒介を必要とせずに労働条件を決定するが[34]、同じく労働者保護更には労働協約を締結した労働組合に対する助成を目的として私的自治を修正する政策的特別規定である。労働協約違反や就業規則に達しない労働条件を定めた労働契約は無効とされ、それらによって定められることになるため、多くの場合、職務発明の扱いは企業毎に画一的になる。

(六) 一方的意思表示

その他の定めに使用者の一方的意思表示をも含める見解がある。権利譲渡等の方法が契約に限定されるならば、従業者が当該契約の締結を拒否したら使用者としてはもはや権利承継を求める方法がなくなってしまい、使用者にあまりに不利とする[35]。使用者が一方的に定めを置くことで特許権等を取得できるようにし、R & Dへの使用者の投資を促す必要があるという[36]

しかし職務発明であっても発明者の財産とする以上、他人の一方的意思表示によって財産を剥奪するのは財産権不可侵、意思自治の原則から乖離する。又、労使の力関係を考えれば契約を締結させることは困難なことではない。しかも勤務規則がある場合に使用者がその定型と異なる特別の合意をすることは実際問題稀である。従って一方的意思表示による承継を否定するとしても使用者の地位は十分保障されている。

(七) 承継契約の性質

権利承継や専用実施権設定の定めは契約であるが、その性質として停止条件付譲渡契約、一方の予約、片務予約が考えられる。停止条件付譲渡契約は発明の完成と同時に特許を受ける権利が使用者に移転する(大阪地判昭五四..一八特企一二八−四九)[37]。一方の予約ならば使用者の予約完結権の行使が必要であり、それによって権利が使用者に移転する。片務予約ならば使用者による予約完結権の行使により従業者の応諾義務が生じ、その承諾によって移転する[38]

特に絶対的な効力を認めない限り予約とし、発明完成後更に本契約を結ばなければ権利移転の効力を生じないとする見解がある[39]。又、基本的には当事者の意思解釈の問題としながら、不明確な場合は従業者が発明完成の通知をした時点か、使用者が権利取得の意思表示をした時点で移転するとする見解もある[40]

しかし契約自由の原則から何れの方式によるかは自由であり、その性質は当事者の契約内容によって決定すればよい[41]。権利を使用者に譲渡しなければならず、相当対価と同時履行の関係にもないため、その時期が遅かれ早かれ従業者の利益には関係ない。

契約文言としては「職務発明の特許を受ける権利は会社に帰属する」「会社に譲渡しなければならない」とするもの等がある。慶大「発明取扱規則」二条も「特許を受ける権利は、義塾に帰属する」とする。特許を受ける権利の原始的な帰属者は発明者であり、それは発明という事実行為によって発生し契約で動かせるものではないから前者は問題がある。しかしこれは発明者に発生したものを承継すると表現したにすぎず無効とするほどのことではない[42]。この場合は文理解釈から停止条件付譲渡契約と判断できる。

これに対して後者は文言だけでは上記の何れにもとれる。しかし承継契約は職務発明が完成したときには直ちに使用者が自己の選択により、自己の名義で特許出願等必要な一切の法的手続をとることができるように予め定めておくためになされるものと考えられる[43]。先願主義の下では出願は時間との争いであり、停止条件付譲渡契約が当事者の合理的意思に合致することが多いだろう[44]

停止条件付譲渡契約の場合、従業者が特許を受ける権利を第三者に譲渡すると、特許を受ける権利は発明完成と同時に使用者のものになっているから第三者の譲渡は無効になってしまい不都合とする見解もあるが[45]、これは対抗問題であり先に対抗要件を備えたものが完全な権利を取得する[46]。他方、共有に係る特許を受ける権利・特許権の持分の譲渡、又は共有に係る特許権につき専用実施権の設定には他の共有者の同意を必要とするから(特三三()、七三)、他の共有者の同意を得る余地を事前に残すため片務予約とするのが望ましい[47]

(八) 取締役

取締役はその地位を利用して会社の犠牲において私利を図る危険があるので、取締役・会社間の取引には取締役会の承認が必要である(商二六五)[48]。株式会社に限らず、合資会社(商七五)、合名会社(商一四七)、有限会社(有三〇)もこれに準ずる。取締役が会社に損害を与えた場合は民事責任を負い、責任を追及されるという脅威が取締役の適正な職務執行を担保するが[49]、事後的な損害賠償責任追及では手遅れな場合も多いため事前規制を課した。そのため取締役のなした職務発明の権利の会社への譲渡や専用実施権を設定する場合にも取締役会の承認が必要である[50]

譲渡を受けること自体は会社に利益を与えることが多いが、会社の利益になる取引について取締役会の承認を不要とすると、取締役会の承認を求められるのは会社にとって不利益な取引だけになり、会社に不利益な取引を取締役会が承認する筈ないから、取締役会が承認すべき取引はなくなってしまう。一般・抽象的な性質としては利害が背反する取引の中にも、個別・具体的な内容としては会社に有利なものも不利なものもあり、それら全てを取締役会にかけて有利なものだけを承認するというのでなければ商法二六五条の存在意義はない[51]。取締役会の承認を経ずしてなされた取引は当事者間では無効だが善意の第三者には無効を主張できない(最判昭四六.一〇.一三民集二五--九〇〇)[52]。又、本条は会社保護が目的だから取締役や第三者からの無効主張も認められないと考える。つまり本条は発明者保護のために契約自由に制約を加える従業者発明法とは異質の規定である。

他方、会社に対する取締役の無償贈与や、普通取引約款に基づく取引には二六五条は適用されない[53]

東京地判昭五八.一二.二三無体一五--八四四連続クラッド発明事件は取締役会の承認を不要とはしていないが、かなり緩く解している。即ち特許出願に関する事項につき、事実上の判断権限を有し、最高責任者である担当取締役が出願準備中である旨の報告をし、これに対し何らの異議も他の取締役より述べられなかったことから、承認を推認している。

(九) 共同研究

技術の複雑・高度化は技術革新の担い手を個人発明家から企業内研究所にシフトさせたが、更なる技術の発展は研究開発費を天文学的なものとし、一企業が単独で負担する限界も超えてしまった[54]。そこで研究開発費のリスク分担・技術開発上の時間的制約のために共同研究開発が活発化している。例えば日本の製薬会社は遺伝子の基礎研究を共同で進める連合体consortiumをつくる方針という[55]。相互補完がうまくいく場合は単独出願よりも共同出願の方がメリットが大きいとする見解もある[56]

共同開発契約はこれから開発することになる仮想の技術を対象として取引条件を定めることになるため、その交渉は厄介で時間がかかる。共同開発の本契約締結前に、協定書や覚書が作成されることも多い[57]。共同開発についての協定を締結したが、被告企業が担当分野の開発が出来ず、本契約締結に至らなかった場合に、契約締結上の過失として原告企業の開発費用の損賠責任を認めた例がある(東京地判平一〇.一二.二一判時一六八一−一二一運転シミュレータ事件)

そのため共同研究により生じた発明の帰属も問題となる。一般に共同研究の連合体は法主体ではないから、使用者は個々の企業になる。()国際ロボット・エフ・エー技術センターIMSセンター「知的財産権の取り扱い指針(1992)」はプロジェクトの下で研究者が研究の過程で行った発明に係る特許を受ける権利は当該発明を行った研究者の所属する参加者(e.g.企業、大学、研究機関)に帰属すると定める[58]

東海大学とベンカンの共同研究では「特許や実用新案、意匠権などの工業所有権の取り扱いは別途協議する」「実験成果を第三者に開示する場合は相手方の同意を得る」と知財権の問題を予想してはいるが、緩やかな契約内容になっている[59]。これは共同研究自体がパイロット的で試行錯誤の段階だからと思われる。

自社の従業者が社外の研究者と共同研究してなされた発明を承継する場合は、使用者が取得するのはその従業者の持分である。

アメリカ

米国では発明は発明者たる従業者に原始的に帰属するが、使用者との利害調整は私的自治・契約自由に委ねられている[60]。そのため従業者発明についての契約解釈やその有効性について判例法が発達している。日本でも紛争が生じた際に承継契約・勤務規則の解釈や有効性が問題となることが少なくないから、米国の議論は参考になる点が少なくない。

コモンロー上、従業者発明はその雇用関係によって特別発明雇用specific inventive employment、一般発明雇用general inventive employment、非発明雇用non-inventive employment3分類される。特別発明雇用は特別に発明をするために雇われたか、特定の発明をするように命じられた場合である。一般発明雇用は基本的に前者と同じ職種の従業員だが、特定の発明をすることを予期されていない場合である。非発明雇用は発明的活動が何ら期待されていない場合である[61]

 

(一〇) 特別発明雇用

特別発明雇用による従業員の発明は原則として使用者の財産となる。

 

Solomons v. U.S., 137 U.S. 342, 346, 11 S.Ct. 88, 89, 34 L.Ed. 667, 669 (1980).

ある器械を完成させるために雇われた者は、自分が完成したその発明の権利をその使用者に対して主張することはできない。それを完成させるために雇われて給与を支払われているのだから、発明は使用者の財産である。

 

従業者は予め自己の能力・技術・知識を使用者に売り渡しており(Quaker State Oil Refining Co. v. Talbot, 174 Atl. 99, 315 Pa. 517 (Sup. Ct. 1934).)、雇用期間中その分野に関し自己のための発明をなす権利はなく、そこから生じた発明のequity上の権利は使用者に帰属するという(Joseph Anin v. George Wren & William Wren, 44 Hun. 352 (N.Y. 1887).)。他方、これを黙示の契約の一例として説明する見解もある[62]

技術的知識に乏しい発明者が一般的発明思想を具現化する装置を完成させるために技術者を雇った場合に、使用者に特許を受ける権利を認めた例がある(Larson v. Crowthen, 1 F. 2d 761 (D.C. Cir. 1924).)

当該従業者の職務が使用者のために発明能力をはたかせるというためには、従業者の受けている報酬はその発明をなすための労働の対価であることを示す証拠が必要で、自己の勤務時間を研究開発のために用いるという契約のみでは不十分である(Howard et al. v. Howe, 61 F. 2d 577 (7th Cir. 1932).)。会社が当該従業員の発明を実施するために設立されたならば、従業者の会社内における任務が発明をなすことにあったと言えるだろう(Vesicol Corp. v. Hyman, 90 N.E. 2d 717, 405 Ill. 352 (Sup. G. 1950).)

発明目的の雇用には当初からその様な職務を与えられていた場合のみならず、配転によりその職務を与えられた場合も含む(Barlow & Seeling Mfg. Co. v. Patch, 268 N.W. 577, 232 Wis. 220 (Sup. Ct. 1939); U.S. v. Houghton 20 F. 2d 434 (D.D. Md. 1927).)。特定の課題を解決すべく使用者から指示を受けた従業者はあたかも雇用契約によって特定の課題解決のために雇われているのと同様だからとされる(Goodyear Tire & Rubber Co. v. Miller 22 F. 2d 353 (9th Cir. 1924))

White’s Electronics, Inc. v. Teknetics, Inc., 67 Or. App. 63, 677 P. 2d 68 (1984).

従業員が過去において使用者に発明を命じられていたことから、従業員が雇用期間中にした発明は使用者に命じられたものと認定した。

United States v. Dubilier Condeser Corp., 289 U.S. 178 (1933), amended by 289 U.S. 706 (1933).

製造工程の設計、建設、考案は発明のために雇われたのとは異なるとして、研究所で働く従業員の発明は従業員に帰属するとした(at 178.)Stone判事の反対意見は、応用科学の研究のために研究所に雇われたならば、その研究から発明がなされることを通常予期できる(at 211.)

 

非発明的雇用による従業員の発明は従業員の財産となるのが原則である。たとえ勤務時間中に使用者の資材を用いて発明を完成させたとしてもである(但し使用者にはshop rightが認められよう)。一般発明雇用の場合も基本的に非発明的雇用と変わらない。但しこの場合はshop rightがより容易に認められやすいし、発明の使用者への譲渡契約の合理性も肯定しやすい。製造方法を設計・構築・考案する職務は発明のために雇われた場合とは異なるとして、従業員を発明の所有者とした例がある(Cahill v. Regan, 5 N.Y. 2d 292, 184 N.Y.S.2d. 348, 157 N.E. 2d 505, 121 U.S.P.Q. 58 (1959).)

 

一般発明雇用と特別発明雇用の境界が不明確であるため、そこからは生じる発明の帰属の不確実性を避けるため、更には恐らくコモンローが認めるよりも多くの従業者発明の権利を使用者が取得するために予め従業者のした発明の権利を使用者に譲渡する契約が締結されることが多い[63]

米国企業でR & Dに従事する研究者はInvention Assignment Agreementにサインするのが一般である。そこでは「研究者の雇用から生じる発明は企業が承継する」等と規定されている[64]。発明の譲渡に対して補償が法的に義務付けられてはいないが、出願時に一律定額の褒賞金を払う企業が多い。発明の対価支払が法的保障されていない分、成果主義人事による昇給・昇進で補っている。

明示の契約により従業者発明を予め譲渡することは有効とされ(Valley Iron Works Mfg. Co. et al v. Goodrick, 78 N.W. 1096, 103 Wis. 436 (Sup. Ct. 1899).)、それは確立した判例とされる(Crown Cork & Seal Co. v. Fankhanel 49 F. Supp. 611 (D.D. Md. 1943).)。もしその種の契約が無効ならば、会社は研究に投資しないだろうし、そうなれば社会全体はその発明についての利益を失うことになる。他方、会社は従業者に給料・知識・発明をなす機会・実験施設を与えているのであり、会社がその利益を保護しようとすることは妥当とされる(Hulse et al. v. Bonsack Mach Co., 65 F. 864 (4th Cir. 1895).)

従業者発明に関する事前の契約も約因があり、かつ公序public policyに反する事由なき限り有効であり、多くの企業では雇用契約中に将来の従業者発明の帰属に関する条項を設けている[65]M.Barrett, Intellectual Property (West Publishing Co. 1995) 83.は使用者の事業と発明に合理的な関係があり、雇用期間を過度に超えて拡張するのでない限り有効とする。従業者のなす特許能力ある全ての発明は使用者のためになされるのであり、使用者はそれに対して五百ドル支払うという雇用契約に従って処理した例もある(Continental Windmill Co. v. Empire Windmill Co. Fed. Cas. No. 3142 (c. c. N. D. N. Y. 1871).)

 

Ingersoll-Rand v. Ciavatta, 110 N.J. 609, 627, 542 A.2d 879, 888, 8 U.S.P.Q.2d 1537, 1543 (N.J. 1988).

合理性があれば雇用契約終了後にされた発明の譲渡契約を有効とする。使用者が合理的に必要とする範囲を越えたもの、発明者の転職を妨げるもの、公序に反するものは合理性がなく無効である。

 

しかし契約は時間的・対象的に合理的な制限を設けなければならず、従業者の将来の全発明を譲渡せしめる契約は従業者の頭脳を予め担保に取ってしまうことになるから無効である(Aspinwall Mfg. Co. v. Gill, 32 F. 697 (C.C.D.N.J. 1887); U.S. Collaid Mill Corp. v. Myers et al., 6 F. Supp. 263 (D.S.D.N.Y. 1934).)

従業者の将来の全発明のうち、過去使用者が製造しえたものの譲渡(Hevi-Duty Electric Co. v. Weiser, 6 P.Q. 224 (D. Ill. 1930).)、従業者に与えられた職務に関連のある発明の譲渡(Paley v. DuPont Rayon Co., 71 F. 2d 856 (7th Cir. 1934).)、使用者が今までに関係していた業務と関連のある発明の譲渡(Guth v. Minnesota Mining Co.)、使用者の機械に関係する設計・特許・意匠の譲渡(Portland Iron Works v. Wilett, 89 Pac. 421, 48 Ore. 483 (Sup. Ct. 1907).)は有効とされる。又、発明が職場外(Parker Rust-Proof Co. v. Allen, 203 N.W. 890, 231 Mich 69 (Sup. Ct. 1924).)、勤務時間外でなされた場合(Thompson v. Automatic Frier Protecting Co., 211 F. 120 (2d Cir. 1914).)でも譲渡する旨の契約も有効である。

他方、従業者発明に関する契約は衡平なものでなければならず、厳格に解釈しなければならない(Gas Tool Patents Corp. v. Mould. 133 F. 2d 815 (7th Cir 1943).)。雇用期間中なした特許能力ある発明を会社に譲渡するという契約は、会社で製作されているものに応用できないものにまでは及ばないとして契約を厳格に解釈した例がある(Triumph Electric Co. v. Tullen, 225 F. 293 (D. E. D. Pa. 1915).)。米国では職務発明・非職務発明の区別はないが、契約解釈によって非職務発明の予約承継を無効とする日本法に接近した結論となっている。

(四) 黙示の契約

従業者発明に関する契約は黙示でも成立しうる。黙示の契約implied contractは自己の勤務時間を研究開発のために用いるという契約のみでは不十分であり、第一に当該従業者の職務が使用者のために発明能力をはたかせるものであり、第二に従業者の創造的労働の結果は使用者に帰属するということを使用者・従業者の双方とも理解している場合に認められることが必要である(Howard et al. v. Howe, 61 F. 2d 577 (7th Cir. 1932).)。発明者たる従業者に権利が帰属するのが原則だから、黙示の契約が存在することの立証責任は発明又は特許の譲渡を主張する使用者にある(American Stay Co. v. Delaney, 97 N.E. 911, 211 Mars. 229 (Sup. Jud. G. 1912).)

使用者・従業者の双方が従業者の発明が使用者に帰属することを理解していたということは、その企業における当該従業者と同じ立場の従業者が発明を使用者に譲渡する慣行があり、当該従業者もそれをよく知っていたという事実から導き出す。会社の製品と関係ある発明を会社に譲渡する旨の、会社内では周知の慣行があり、かつ当該従業者は既に適当な対価でその特許を会社に譲渡している場合に明示の契約なくして譲渡契約を認めた例がある(Livers v. Farles Mfg. Co. et al., 82 F. Supp. 564 (D.S.D. Ill. 1948).)

使用者が従業者の発明を自己に譲渡すべき旨の黙示の契約があると信じ、自らの資金・資材を投じて当該発明を完成せしめたとしても、それだけでは譲渡すべき旨の黙示の契約を認定できない(Fuller & Johnson Mfg. Co. v. Bartletta, 31 N.W. 747, 68 Wis 73 (Sup. Ct. 1887).)。従業者が過去に発明を使用者に譲渡していたということは黙示の契約を認定する有力な証拠になるが[66]帰属が争われた発明の完成以前に、当該使用者によりなされた全ての発明が使用者に移転されていたとしても、それだけでは黙示の契約を認定する決定的証拠とならない(Pressed Steel Car Co. v. Hansen 137 F. 403 (3d Cir. 1905).)

(一一) 州法

米国特許法は連邦法であり、特許法に基づく請求(e.g.侵害訴訟)の第一審は連邦地裁の専属管轄に服するが(28 USC 1338)が、契約上の請求については州裁判所がjurisdictionを有するのが原則である[67]

州によっては州法で承継契約に規制が加えられている。カリフォルニア州労働法Cal. Lab. Code 2870条は雇用契約により譲渡できる発明を限定する[68]。発明が完全に勤務時間に使用者の資源を用いてなされ、発明が使用者の業務に関係があるが、従業員の職務の結果なされたものである場合に、発明を使用者に譲渡する契約条項は有効である。

更に同法二八七二条は以下のように規定する。

「雇用契約書における従業者に対する通知書、従業員に関する立証責任

一九八〇年一月一日以降に作成された雇用契約書にその従業者が行った全ての発明に関する従業者の権利を雇用者に譲渡若しくは譲渡するよう申し入れることを規定する条項を包含する場合には、雇用者はその契約書の作成時に、労働法二八七〇条の規定に属する発明には適用しない旨を述べる書面による通知を雇用者に提出しなければならない。」[69]

この書面を限定除外通告書limited exclusion notificationといい、二八七〇条に示された「自由発明」の譲渡を使用者が要求しないということを従業者に書面で明らかにするものである。

F. H. Foster & R. L. Shook, Patents, Copyrights & Trademarks (John Wily & Sons 1989).

使用者にshop rightが認められる場合でも従業員は特許発明を実施できるし、他者にライセンスすることもできる。実務的観点からは発明の帰属は予め書面による契約で定めておくべきである(at 50.)。発明者が将来の発明を譲渡する契約も有効である。雇用契約には従業員がトレードシークレットを他者に開示せず、私的利益を図るために使用してはならないと約束する条項を含めるべきである(at 52.)。尤も契約内容によっては無効とされることもあるので、特許・営業秘密・契約法に精通した弁護士に相談するとよい。

本書が例示したEmployment Agreementでは従業員が雇用期間中に単独又は共同で着想又は完成した発明で、勤務中又は使用者の設備資材を利用して着想又は完成した発明、及び使用者の事業に関連した発明は使用者の排他的財産とすると定める(at 53.)

(一二) 小括

米国では従業者発明の問題は原則として主として契約の問題として扱われ、契約解釈或いはその有効性について判例法が積み重ねられてきた[70]。使用者の道具や設備を使用し勤務時間中に発明した場合は使用者にshop rightが認められ、発明目的で雇用された場合の権利は使用者に帰属するが、それも根拠を辿ると合意にいきつく。労働者保護は単に公序という形で考慮されるに過ぎず、判例は厳格に解釈するように努めてはいるが、法制上は日本法の方が進んでいる。

しかし米国企業は能力・成果主義を採用する企業が多く、優れた発明をして企業に貢献した従業者には昇進・昇給によって直ちに報いている[71]。又、会社が従業者を相手取って発明・特許の譲渡を請求するケースも多く、これは発明者本人でなければ出願できないという法制にもよるだろうが、米国の従業者が会社の言いなりになって自己の発明を安易に手放してしまうような会社に従属した存在ではないということを示している。

そこには発明家が企業に依存することなく自己の発明を有効に活用するための基盤が整っていることも挙げられよう。それにはよくいわれるような個人主義精神の尊重だけでなく、資本の大なるものに搾取されないための法的な発明者保護もある。U.S. Intellectual Property and Communication Omnibus Act of 1999, section 4101-4103は発明をプロモートするビジネスを行うプロモーターは発明者と契約する前にプロモーターの実態・実績を発明者に開示し、伝えなければならず、虚偽の情報によって被害を受けた発明者は裁判所に起訴できるとする[72]

このように日米では労働者の意識や状況が異なるため、安易にアメリカの制度を日本に持ち込むべきではないが、契約を限定的に解釈する手法は日本でも大いに参考となろう。

国際従業者発明法

globalizationは世界的レベルで資本・技術・付加価値を巡る市場競争を激化させる[73]。その結果、企業は新しい市場と生産機会をこれまで以上に海外に求めるようになり[74]、外国特許取得もより重要になっている。日本人の発明は改良発明が多く、外国出願に値する独創性の高い発明は少ないといわれたが[75]、そのような傾向は反省されている。中小企業にとっては海外への出願は時間的にも経済的にも中々手が回らないのが実情だろうが、ボーダレス化を考慮すれば研究段階から外国特許権の取得を意識することは決して大げさなことではない[76]

日立製作所は「カム形状」の発明を日本、米国、英国、西独、フランス、オランダ、スウェーデン、カナダに出願した[77]

二〇〇〇年二月にPCTに基づく国際出願の件数が五〇万件に達した。PCT出願の受理が開始(一九七八)から二五万件になるまで一八年間かかったが(一九九六年二月)、わずか四年間で倍の五〇万件に達した[78]。このようにPCT制度は近年急速に発展している。一九九八年に公開された国際出願は約六万件で、一〇〇件以上出願した出願人の数は四四であった[79]

ワシントンとミュンヘンに現地研究法人担当の知的財産部員を駐在させる企業もある[80]。雑誌『発明』九六巻一〇号(一九九九)の巻末には日本だけでなく、韓国、中華民国、タイ、ヴェトナム、インドネシアの法律特許事務所の広告が掲載されている。

発明権という実体的権利を観念するとしても、世界各国に特許出願する場合にはその国の特許法に基づく法的評価の下に個別的に特許を受ける権利が認められ、例えば英国特許を受ける権利の譲渡というように処理される[81]

(一三) 国際裁判管轄

国際裁判管轄の配分については逆推知説、管轄配分説、利益衡量説、新類型説等の諸説が対立する[82]。最判昭五六.一〇.一六民集三五−七−一二二四マレーシア航空事件は管轄配分説を説きながら、逆推知説を採用している。この立場は基本的には逆推知説を採りつつもそれに柔軟性をもたせようとしたものと評される[83]

日本で裁判を行うことが当事者間の公平、裁判の適正・迅速を期するという理念に反する特段の事情がある場合を除き、民訴法の定める裁判籍の何れかが日本国内にあれば原則として国際裁判管轄は認められる(最判平九.一一.一一民集五一−一〇−四〇五五ファミリー事件)。特段の事情として例えば同一原告による外国訴訟の先行があげられる(東京地判平三..二九判時一三九〇−九八)

登録制度を前提する特許権の付与・登録・有効性等に関わる紛争は保護国法の属地的適用範囲に属し、保護国裁判所によって判断されるのが適当との理由から、保護国に専属管轄を認めるのが伝統的通説である[84]

英国には外国著作権に基づく侵害訴訟につき、自国の裁判管轄を否定した例がある(Tyburn Productions Ltd. v. Conan Doyle, (1990) 3 W.L.R. 167.)。これは訴訟を局地的localと浮動的transitoryに区別する伝統的枠組みに従い、知的財産権全般に関する訴訟を前者の典型とされる外国不動産に関する訴訟と同一視したためである[85]。しかしこれに対しては不動産関係事件との相違や区分自体への疑問から批判された。そしてオランダ国内の行為に対するオランダ著作権の侵害訴訟において控訴院はブラッセル条約二・六条を根拠にイングランド裁判所の管轄を肯定するに至った(Pearce v. Ove Arup Partnership, (1999) 1 AllER 769.)

 

著作物が日本で創作された物であるとしても、日本以外の国における当該著作物の利用に関しては当該国の著作権法に基づく著作権法が問題となり、その権利の所在地が日本にあるとはいえない(東京地判平一一..二八判時一六八一−一四七円谷プロ事件)

 

法例一〇−二

船舶の所在地法は船籍のある旗国地法又は登録地法(小型船舶)とするのが通説・判例である(松山地判平六.一一.八判時一五四九−一〇九)

自動車は広範囲に移動することを予定した動産であって、登録地への復帰可能性が事実上消滅したと見るべき事情がある等特段の事情がない限り、自動車が本来の使用の本拠として予定している一定の中心的場所即ち登録地を所在地とする(東高判平一二..三判時一七〇九−四三カールスエーエ事件)

 

特許権は国家に行為として独占権を認め、その侵害に対しては刑罰法規と私法上の救済方法の双方を認めているため、国際私法上その位置づけをめぐって議論がある[86]

特許権については属地主義の原則から保護国以外の裁判所に提訴することはできず、準拠法決定の問題は生じる余地がないとする見解がある。東高判平一二..二七判タ一〇二七−二九六は日本国内における行為に対する米国特許権に基づく差止請求に対してこのような判断を下した。しかし全ての国際民事事件について国際私法を適用して準拠法を適用しなければならないとするのが国際私法の通説である。属地主義に縛られることはglobalizationに不適合である。

特許権についての問題の準拠法は保護国法とするのが通説である。日本国内で行われた行為が米国特許権の侵害行為として提訴された事件につき、差止等の準拠法を米国特許法とした例がある(東京地判H11.4.22判時1691-131 FM信号復調装置事件)。この準拠法ルールを特許権の実施や譲渡等の全ての問題に適用する見解がある[87]

 

差止請求についても損害賠償請求と同じく法例一一条を適用すべきとする見解もある[88]

 

特許権侵害による損害賠償は不法行為と性質決定され、法例一一条が適用される(東京地判昭二八..一二下民集四−六−八四七「満州国」特許事件)

 

実務では承継契約によって全世界での特許を受ける権利を承継させる企業がほとんどである。しかし外国出願をするものは発明の質が高いとして、出願国数を対価額の加算要素と位置づける企業や、国内での出願補償とは別に、外国出願・登録に対する補償を制度化している企業も多い[89]

米国では特許権の帰属は州法が適用される。例えばIllinois州で発明した人にはIllinois州法が適用される。日本で成された発明に対しては日本法が適用される[90]

安全保障上の理由からマレーシアに居住する者residentの発明はマレーシアに最初に出願することが必要(最先出願義務)という法制もある(マレーシア特許法(ACT291)23A)[91]

場所は行為を支配するLocus regit actumという法諺がある[92]

外国特許出願も職務発明については特許法三五条により規律されるとする見解があるが[93]、日本特許法に基づく対価の支払いは日本国の特許を受ける権利の対価だから、それだけでは使用者は外国特許を受ける権利を承継できない。そのため外国の特許を受ける権利を自動的に使用者に承継せしめる定めを無効とする見解もあるが[94]、当該国の従業者発明の法制を準拠法とすべきである。外国出願の承継については特許法三五条の対象外とする見解もある。

それ故、外国特許法も職務発明につき日本特許法と同様の規定とした場合、使用者が外国の特許を受ける権利も承継したいならば、外国の特許を受ける権利も承継するための契約を結び相当な対価を支払わなければならない。発明者は一つの発明から内国特許を受ける権利と外国の特許を受ける権利の両方の対価を請求できることになるが、これは二重取りにはあたらない。特許権は属地的効力しかもたず、それに基づいて対価も算定されるからである。

外国出願の場合は当該国の従業者発明法が準拠法となるが、準拠法の発明従業者保護水準が日本法より低い場合は、強行規定によって労働者保護を図るという日本特許法の目的が実現されなくなる。この問題には強行法規の特別連結理論が参考になる。これは当事者が特定国の準拠法を選択した場合でも、それがなければ客観的に設定されたであろう準拠法otherwise application lawを設定し、その強行法規が当事者に与える保護を奪ってはならないとする理論である。労働者のそれは常時労務給付地、それが複数の場合は労務給付の対象たる事業地the place businessの法がそれにあたる(EC契約準拠法条約六条)[95]。国際私法立法研究会「契約、不法行為等の準拠法に関する法律試案一」民商一一二−二(一九九五)二九一も「消費者契約、労働契約その他当事者の一方に特別の保護を与えるべき契約について、その保護に最も重大な利害を有する他の強行法上の保護を奪うものではない」とする。

発明従業者についても労務給付地国法たる日本法の強行法規が与える保護を奪われるべきではないから、準拠法の発明者保護水準が日本法より低い場合は日本法を適用すべきである。

フランスのホテルチェーンの株式売買契約につき、仏国内で契約が締結された点、対象となったホテルが仏国内に存在する仏法人である点、契約書が仏国内で仏人によって起案されている点、代金がフラン建である点、仏大蔵省の許可を取引条件とする点、仏国の取引慣行が用いられている点から仏法を準拠法とする黙示の意思を認めた例がある(東京地判平一〇..三〇判時一六八五−一一七)

結語

特許権を取得するためには出願して登録されなければならず、それには複雑な手続を経る必要がある。特許権を維持するためには特許料を納付しなければならず、それは個人にとっては決して安い金額ではない。実際、研究者に特許出願は億劫という意識がないわけではない[96]。更に従業者自身が生産設備を有していることはないから(もっていたら労働者にならない)、特許権者となったとしても発明を実施することはできず、収入はロイヤルティによるしかない。そのため職務発明の特許を企業が取得し従業員は対価で満足するのは合理的とする見解も成り立つ。

特許権は従業者が保有するには不向きという主張は、特許権は大多数の国民には無縁の権利である、というのに等しい。国民の大多数には無関係で一部の企業のみが利用する法制度は存在意義が問われてしかるべきである。勿論、分業は各分野を発達させ、該分野についての知識をほとんどもたない人にも該分野の恩恵をもたらす。従って特許法を全国民の関心事とする必要も全ての国民が特許権者になる必要もないし、そうでないからといって特許法の存在意義が否定されるわけでもない。

但し制度が利用希望者を排除するように構築されているならばそのような制度は見捨てられて当然である。特許制度が一個人に利用しにくい制度ならば個人でも利用しやすい制度に改めるのが筋であり、これを根拠に企業が職務発明の権利を承継することを正当化するのは本末転倒である。出願意欲は特許制度を利用する機会費用の増加・減少によって減少・増加するとされており[97]、特許制度の機会費用が個人にとって負担ならばそれを減少させなければならない。第一五回三極特許庁長官会合「京都行動計画」(一九九七.一一.一三、一四)でも特許取得コストの削減の必要性が認識された[98]。会社設立の法的コストである登記にかかる登録免許税も、経済活性化を図るために軽減する方針という[99]

現状では発明者個人が特許権のライセンシーや売却先を探すのは困難だが、その困難性は特許流通市場の環境整備によってかなり緩和できる。例えば特許情報へのアクセス容易性、特許流通・技術移転での契約というスタイルの社会への浸透等である[100]。特許庁も特許流通促進を重点的に推進する施策に挙げており、具体的には特許流通フェアの開催や特許情報のインターネットでの提供等である[101]。このような取り組みによって個人でも有用な特許権にしていくべきである。特に近年は特許という言葉が身近になり、特許に関心を持つ人が増加し、今後も一層増加することが予測される[102]

権利は企業が承継し従業者は対価を受ける枠組みを当然視することはできず、現行法がそれを許してしまっているならば立法論も視野に入れる必要があるだろう。全ての権利を企業が承継したとしても他人にライセンス可能な法定通常実施権を従業者に認めるという規定を設けること等を検討すべきではないだろうか。

(一) 競業避止義務

従業者には発明の実施能力がないのが普通だが、仮にその能力があったとしても、労働契約で競業避止義務や兼業禁止義務が課せられていることが多い(福岡地判昭四七.一〇.二〇判タ二九一−三五五、東京地決昭五七.一一.一九労民集三三−六−一〇二八小川建設事件)[103]

このような義務は職務に専念させること、及び職務の公正を担保することを目的とし、その限りで合理性が認められる。特に一般の従業者の場合は取締役等と異なり前者の要素が色濃く、労務の提供に支障を来さなければ禁止される二重就職に該当しないとした例もある(名古屋地判昭四七..二八判時六八〇−八八橋本運輸事件)。従って人に実施許諾してロイヤルティ収入を得ることは禁止される兼業にはあたらないと考える。

(二) 公務員

公務員には私企業からの隔離(国公法一〇三、地公法三八)や他の事業及び事務への関与の制限が定められている(国公法一〇四)[104]。しかし産業技術力強化法は国公立大の教官や国公立試験研究所の研究員に、研究成果を事業化する場合、企業の監査役に就任する場合、TLOの取締役に就任する場合に限り、人事院の承認に基づき兼業を認める[105]。最初はCGや人口結晶の研究者のベンチャー企業の取締役就任等が認められた[106]



[1] 中野貞一郎・現代民事訴訟法入門新版(法律文化社一九九八)五一(徳田和幸)、石川明・はじめて学ぶ新民事訴訟法(三嶺書房)六五(永井博史)

[2] 紋谷暢男「職務発明に基づく使用者等の法定通常実施権についての若干の考察」成蹊法学一三(一九七八)二四〇

[3] 陶斗亨「韓国における職務発明と営業秘密の保護」AIPPI 45-11(2000)695

[4] 滝野文三・使用人発明権論(中大出版会一九六六)二二一

[5] 斎藤瞭二・意匠法概説(有斐閣一九九一)三一一

[6] 稲葉康生「サラリーマンのビッグバン」賃金実務八五六(二〇〇〇)五〇

[7] 林隆男他「21世紀に伝承する技能・ものづくり」『地域産業政策大賞』論文集(中小企業都市連絡協議会二〇〇〇)

[8] 「現役時に分割支給」読売新聞二〇〇〇..(田之上宏)

[9] 飯島英雄「わが国の従業者発明の課題をさぐる二」特管二五−七(一九七五)七三八

[10] 紋谷暢男「職務発明に基づく使用者等の法定通常実施権についての若干の考察」成蹊法学一三(一九七八)二四三、吉藤幸朔=熊谷健一・特許法概説一二版(有斐閣一九九七)二三八

[11] 大矢睦夫「職務発明」井上一男・特許管理(有斐閣一九六八)一四二、江夏弘・わが国における被用者発明制度の沿革とその法的解釈(第一法規一九九〇)五三四

[12] 橋本良郎・特許法三版(有斐閣一九九一)一七五

[13] 兼子一他「発明の成立に伴う法律問題九」ジュリ三一九(一九六五)七四(吉藤幸朔)

[14] Koenig, G.K., The Shop Right, J. of the Patent Office Society (Sep. 1967) 658. See Sondrock, Evolution and Modern Application of the Shop Right Rule, 38 Bus. Law. 953 (1983). See Stedman in Neumeyer, The Employed Inventor in the United States (1971) Chap. 2.

[15] Kintner, E.W. & Lahr, J.L. =有賀美智子・アメリカ知的所有権法概説二版(発明協会一九八七)六三

[16] M.Barrett, Intellectual Property (West Publishing Co. 1995) 83.

[17] M.Barrett, Intellectual Property (West Publishing Co. 1995) 83.

[18] 石井良知「発明補償制度の改革」NBL六二四(一九九七)

[19] 渡辺洋三・法というものの考え方(岩波一九五九)三六

[20] 品川澄雄「職務発明における契約の解釈」特許判例百選二版(一九八五)三五

[21] 小宮文人「労働契約・就業規則法制」法セミ五二五(一九九八)四八

[22] 好美清光「Jus ad remとその発展的消滅」法学研究三(一橋大一九六一)三〇九、吉野悟「所有権の完全性と絶対性」日本法学六二−一(一九九六)四五、鎌田薫「フランス不動産譲渡法の史的考察四」民商六六−六(一九七二)七六、池田真朗「ボアソナード「自然法講義(性法講義)」の再検討」法学研究五五−八(一九八二)

[23] 鎌田薫「フランスにおける不動産取引と公証人の役割一」早稲田法学五六−一(一九八〇)三一

[24] 七戸克彦「対抗要件主義に関するボワソナード理論」法学研究六四−一二(一九九一)二〇七

[25] 徳田和幸「書証優先主義」フランス民事訴訟法の基礎理論(信山社一九九四)一二九

[26] 前田美千代「スペイン民法債権譲渡論序説」法学政治学論究四三(一九九九)七六二

[27] 深瀬義郎「就業規則の制定と変更」ジュリ三〇〇(一九六四)三六六

[28] 金子征史=西谷敏・基本法コンメンタール労働基準法四版(日本評論社一九九九)三一三(清水敏)

[29] 三宅正男「企業内の労使慣行は当事者間の権利義務にどのような影響を与えるか」法教二期六号(一九七四)一〇三

[30] 三宅正男「企業内の労使慣行は当事者間の権利義務にどのような影響を与えるか」法教二期六号(一九七四)一〇三

[31] 資源エネルギー庁公益事業部・電力構造改革(通商産業調査会二〇〇〇)一二六

[32] Strange, S.=櫻井公人・国家の退場(岩波一九九八)九三

[33] 高橋悠治「労働者文化の創造」企業と労働(有斐閣一九七九)二六六

[34] 清水一行「労働協約の有利原則」法教二期六号(一九七四)一六二

[35] 中山信弘・工業所有権法上(弘文堂一九九三)八五

[36] 田村善之・知的財産法(有斐閣一九九九)二七七

[37] 盛岡一夫・工業所有権法概説(法学書院一九八五)四八、青柳ヤ子「職務発明二」牧野利秋・工業所有権訴訟法(青林書院一九八五)二九三

[38] 紋谷暢男・注釈特許法(有斐閣一九八六)三五(紋谷)

[39] 滝野文三・発明権の法的形成(中大出版部一九七二)七二

[40] 川口博也・特許法の構造と課題(三嶺書房一九八三)七五

[41] 豊崎光衛・工業所有権法新版増補(有斐閣一九八〇)一六四

[42] 兼子一他「発明の成立に伴う法律問題八」ジュリ三一八(一九六五)一〇一(鈴木竹雄)

[43] 牧野利秋・特許・意匠・商標の基礎知識(青林書院一九九六)六九(安江邦治)

[44] 中山信弘・工業所有権法上(弘文堂一九九三)八七

[45] 織田季明=石川義雄・増訂新特許法注解(日本発明新聞社一九七二)二二四

[46] 中山信弘・工業所有権法上(弘文堂一九九三)八九

[47] 紋谷暢男・特許法五〇講四版(有斐閣一九九七)四二(紋谷)

[48] 喜多了祐=吉田直・商法の要説五訂版(中央経済社一九九九)一七六、酒巻俊雄=庄子良男・手形法・小切手法(青林書院一九九六)一一二(正亀慶介)

[49] 宮島司=来住野究「自由民主党『企業統治に関する商法等の改正要綱案』の検討」法学研究七二-一一(二〇〇〇)

[50] 中川善之助=豊崎光衛・実用法律辞典(第一法規一九七二)四八(紋谷暢男)

[51] 倉沢康一郎・会社判例の基礎(日本評論社一九八八)一四六、宮島司・会社法概説(弘文堂一九八八)二五〇

[52] 梶山純=川村正幸・現代商法三版(中央経済社一九九六)七二(吉田正之)、前田重行他・手形・小切手の法律入門新版(有斐閣一九九三)七八(前田)

[53] 山本為三郎・会社法の考え方(八千代出版二〇〇〇)一八〇

[54] 松行彬子「戦略的提携における知識連鎖と相互浸透」三田商学研究三九−一(一九九六)一〇九

[55] 「共同で遺伝子研究」朝日新聞二〇〇〇..一四

[56] 佐藤富徳「特許四八手物語」知財管理五〇−六(二〇〇〇)八四六

[57] 藤田寿夫「共同開発契約における契約締結上の過失」知財管理五〇−六(二〇〇〇)八三〇

[58] 大川晃「IMSと知的財産権の保護下」パテ四六−八(一九九三)五五

[59] 森野進「大学構内に企業の研究室、東海大学とベンカンの新しい産学連携」発明九六−一〇(一九九九)五一

[60] Cf. N. Orkin, The Legal Rights of the Employed Inventor in the United States in J. Phillips (ed) Employees’ Inventions (1981); F. Harter, Statutorily Decreed Awards for Employed Inventors (1971/2) 42 IDEA 575.

[61] Gullette, State Legislation Governing Ownership Rights in Inventions Under Employee Invention Agreements, 62 J. Pat. Off. Soc. 732, 733 (1980). See V. Slyke & Friedman, Employer’s Rights to Inventions and Patents of Its Officers, Directors and Employees, 18 AIPLA Q.J. 127 (1990); Witte & Guttag, Employee Invention, 71 J. Pat. & Trademark Off. Soc. 467 (1989); Baker & Brunel, Restructuring the Judicial Evaluation of Employed Inventor’s Rights, 35 St. Louis L. J. 399 (1991).

[62] Leonard, J.W., The Protected Rights of the Employee Inventor in His Invention, J. of the Patent Office Society (May 1969) 357.

[63] M.Barrett, Intellectual Property (West Publishing Co. 1995) 83.

[64] 高橋甫=畔上隆治「発明者へのインセンティブ」知財管理五〇−一(二〇〇〇)四〇

[65] Forester, L.M., Patents — Validity to Assign Employee’s Future Invention to Employer, 41 Mich. L. Rev. 102, 107 (1942); National Industrial Conference Board, Employee Patent and Secrecy Agreement (1965) 12.

[66] 中山信弘「従業者発明における発明者の地位二」法協九一−六(一七七四)九一

[67] 松本直樹「特許権の権利期間についての日米比較」本間崇還暦 知的財産権の現代的課題(信山社一九九五)二八三

[68] Gullette, State Legislation Governing Ownership Rights in Inventions under Employee Invention Agreements, 62 J. Pat. Off. Soc. 732 (1980).

[69] 飯田幸郷「企業トップの知的戦略四」発明九七−六(二〇〇〇)九〇

[70] 中山信弘・工業所有権法上(弘文堂一九九三)七三

[71] 吉藤幸朔=熊谷健一・特許法概説十二版(有斐閣一九九七)二四二

[72] 服部健一「米国特許制度に早期公開、当事者系再審査、特許期間17年保障制度導入される」発明九七−二(二〇〇〇)八一

[73] 日経新聞社・日本経済(同一九九五)二三、奥村昭博「企業革新と革新のリーダーシップ」慶應経営論集一三-(一九九六)二六、中村芳子「マルチメディア時代の金融コミュニケーション」週刊ダイヤモンド(一九九六..二六)九六

[74] 高島忠義「米・ECの独禁協力協定について」法学研究七二−十一(一九九九)一〇四、Drummond, D.L.「日本の中小企業のグローバリゼーションと政策」三田商学研究三八-(一九九五)九六、鶴見良行「海外の日本企業と日本人」企業と労働(有斐閣一九七九)五二

[75] 会誌広報委員会=三原裕三「特許流通促進策について」知財管理四九−九(一九九九)一二一〇

[76] 大嶋洋一=早川朋一「半導体IPの動向八」発明九六−一〇(一九九九)七三

[77] 小野耕三=渡部温・実際の知的所有権と技術開発(日刊工業新聞社一九九五)二二四(小野)

[78] 下道晶久「PCTに基づく国際出願五〇万件を達成」発明九七−六(二〇〇〇)五四

[79] 下道晶久「PCT出願人ベスト15」発明九六−一〇(一九九九)二八

[80] アイシン精機株式会社「わが社の特許活動」知財管理四九−一(一九九九)一一五

[81] 兼子一他「発明の成立に伴う法律問題三」ジュリ三一三(一九六五)一二七(染野義信)

[82] 石川明他・国際民事訴訟法(青林書院一九九四)三一

[83] 石川明「判批」発明九七−七(二〇〇〇)一〇五

[84] 中野俊一郎「著作権関係事件の国際裁判管轄」平成一一年度重要判例解説三一二

[85] 斎藤彰「米国特許権に基づく製造禁止請求等の可否」平成一一年度重要判例解説三〇〇

[86] 道垣内正人「国際司法判例の動き」平成一一年度重要判例解説二九五

[87] Wolff, M., Private International Law, 2nd ed. (1962) 547.

[88] 渋谷達紀「知的財産権法判例の動き」平成一一年度重要判例解説二六〇

[89] 高橋甫=畔上隆治「発明者へのインセンティブ」知財管理五〇−一(二〇〇〇)三八

[90] 浅村皓=Wegner, H.C.・アメリカ特許制度の解説増補(発明協会一九九〇)七四

[91] 特許委員会第一グループ第一小委員会「アジア諸国での特許取得上の留意点二」知財管理四九−九(一九九九)一二五二

[92] 滝沢正・フランス法(三省堂一九九七)二八一

[93] 杉林信義「職務発明に於ける対価に関する考察」日本法学六〇-(一九九四)七六

[94] 江夏弘・わが国における被用者発明制度の沿革とその法的解釈(第一法規一九九〇)五六六

[95] 木棚照一他・国際私法概論三版(有斐閣一九九八)一二三(松岡博)、石黒一憲・国際私法(新世社一九九四)八五

[96] 持永芳文「私の発明手法」発明九五−九(一九九八)九一

[97] Griliches, Z., Patent Statistics as Economic Indicators, 18 Journal of Economic Literature 1661 (1990).

[98] 特許庁「三極特許庁長官会合」発明九五−二(一九九八)五三

[99] 「登録免許税を軽減」読売新聞二〇〇〇..二八

[100] 稲谷稔宏「特許流通促進事業の現状について」知財管理五〇−三(二〇〇〇)三三三

[101] 伊佐山建史「就任挨拶」発明九五−八(一九九八)一三、特許庁工業所有権総合情報館「特許流通フェアの開催を振り返って」発明九五−六(一九九八)一二五

[102] 浅野雄一郎「個人から多くの発明が発掘できれば」パテント五三−一〇(二〇〇〇)五九

[103] 田村善之「労働者の転職・引抜と企業の利益下」ジュリ一一〇三(一九九六)一〇六

[104] 塩野宏・行政法V(有斐閣一九九五)二三五

[105] 山崎貴史「学の成果 産で拡大」読売新聞二〇〇〇..一二

[106] 「第113人を承認」読売新聞二〇〇〇..