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林田力『東急不動産だまし売り裁判』新聞20088

 

新築マンション購入失敗談... 1

眺望阻害マンション裁判の明暗... 2

眺望阻害マンション裁判の倒錯... 5

秋葉原メイドとアロマテラピー酸素バー... 10

マネー... 10

手数料割安のジョインベスト証券... 10

1000円から可能な純金・プラチナ積み立て... 12

ネット銀行大手のイーバンク銀行... 13

毎月金利が払われる住信SBIネット銀行... 14

市民メディア... 16

Oh! MyLifeは市民メディアの進化系... 16

記事が記事を生む好循環... 18

 

新築マンション購入失敗談

新築マンション 東急リバブル 東急不動産

だまし売りは論外だが、トラブルの共有が大切

新築マンション購入失敗体験を報告する。私は20036月に東急不動産(販売代理:東急リバブル)から江東区の新築分譲マンション「アルス東陽町」301号室を2870万円で購入した。

当時、私は江東区内の賃貸マンションに住んでいたが、下記の問題があり、引越しを検討していた。

第1に当該マンションは築年数が古く、窓が少ないため、日当たりが悪く底冷えした。

第2に同じ理由から通風も悪くカビが生えた。

第3に永代通りという大通りに面しており、車の騒音に加え、飲み屋もあって夜間も酔客で騒がしかった。

引越先は賃貸だけでなく、分譲も検討に含めた。賃貸に比べて分譲が経済的に有利かという点は一概に判断できないが、環境の悪い賃貸に居住していると、可能ならば自分の所有している家に住みたいと考えるものである。

東急リバブル販売担当者が勧めた301号室は二面採光・通風が確保されている上、永代通りから一歩奥まったところにあり、賃貸マンションと比べて環境面での好条件が期待できた。加えて販売担当者は東急不動産及び東急リバブルの大企業としての信頼性を強調した。結果的には大失敗であったが、これが東急物件を購入する決め手となった。

301号室の販売価格は3060万円であったが、販売担当者は四半期締めの6月中の契約締結という条件で2870万円への値引きを提案した。私が具体的な話をする前から値引きを持ちかけており、販売価格には二重価格的な意味合いが強かったのではないかと推測する。

青田売りのアルスは20039月末に竣工し、無事に引渡しが終わった。しかし、引渡しから1年にも満たないうちに301号室の窓が接する隣地で建て替え工事が始まり、日中でも深夜のように一面が真っ暗になってしまった。至近距離に壁が接するため、通風も悪化し、冬場は窓枠に結露が生じるようになった。

後日知ったことであるが、隣地所有者は東急不動産側にアルス竣工後の隣地建て替えを伝え、東急不動産側は影響がある住戸の購入者に説明することを約束していた。それにもかかわらず、販売時は都合の悪い事実を隠し、だまし売りした。このため、記者は消費者契約法(不利益事実不告知)に基づき、売買契約を取り消した。その顛末は別記事「東急不動産の遅過ぎたお詫び」に詳しい。

良好な住環境を求めて夢のマイホームを購入したつもりが、闇のマイホームとなってしまった。不利益事実(隣地建て替え)を知らなかったことが原因である。根本的な問題は消費者の信用が第一の大手不動産業者が嘘をつくはずがないと東急不動産を信頼していたことである。東急不動産側からすれば、だましやすい理想的なカモに見えたであろう。

その後、東陽町の隣の南砂町でも過去に同じような紛争があったことを知り、企業の体質的な問題であると実感した。数年前に東急不動産が分譲した南砂の新築マンションで引渡し後、隣地に高層マンションが建設され、日照0時間になった。ここでも東急側は販売時には購入者に再開発計画を説明していなかった。

歴史にIFは禁物だが、南砂の紛争を購入時に認識していれば警戒できたかもしれない。悪意をもって、だまし売りする業者が営業していること自体が問題で、消費者が自衛しなければならない状態こそが本来誤りであるが、過去のトラブルを共有することは非常に大切なことである。

私の購入時と比べると、現在では東急リバブルや東急不動産のトラブル情報がインターネット上を中心として広く流布している。これは好ましい傾向である。私も自身のトラブルを多くの人に伝えるために微力を尽くすことが責務であると考えている。

 

■関連URL

東急不動産&トピー工業に騙された!!『我ら!!日照ゼロ時間マンション購入者』

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Himawari/8712/index-2.html

 

眺望阻害マンション裁判の明暗

マンション 眺望 裁判

ローレルコート難波事件とアルス東陽町事件を比較して

超高層マンション「ローレルコート難波」(大阪市浪速区)購入者が分譲主を訴えた裁判の判決が2008625日、大阪地方裁判所にて言い渡された。近鉄不動産はローレルコート難波の分譲後、当該物件の近接地に高層マンション「ローレルタワー難波」を建設した。これによりローレルコート難波からの眺望が損なわれたとして、ローレルコート難波購入者が慰謝料などを請求した訴訟である。判決は原告の請求を棄却した。

本件は道義的には近鉄不動産が非難されるべきことは明白である。近鉄不動産は生駒山を間近に望む眺望をローレルコート難波のセールスポイントとしていた。ところが分譲から数年後、近接地に高層マンションを建設し、自らセールスポイントとした眺望を破壊する。一生に一度あるかないかの高い買い物をした購入者が怒るのは当然である。しかし、原告敗訴というマンション購入者には厳しい判決になった。

本件と類似の訴訟ではマンション購入者が勝訴した事案がある。東急不動産(販売代理:東急リバブル)が東京都江東区で分譲したマンション「アルス東陽町」では、隣接地の建築計画を説明せずに販売し、日照や眺望が損なわれたために訴訟になった。この裁判において東京地裁は、東急不動産に売買代金の全額返還を命じる判決を出し、購入者の全面勝利となった(参照「東急不動産の遅過ぎたお詫び」)。

二つの事件を比較することで、不動産取引における消費者保護の特徴が見えてくる。本記事では2点ほど指摘する。以下では説明のためにローレルコート難波の事件を近鉄事件、アルス東陽町の事件を東急事件と略称する。

第1に不動産会社の悪意である。東急事件では、東急不動産はアルス東陽町の販売前の段階で隣地所有者から、隣地建物がアルス東陽町竣工後に建て替えられることを聞いていた。つまり分譲時に隣地の建て替え予定を知っていた。にもかかわらず購入者に説明せずに販売した。故に消費者契約法の不利益事実告知に該当する。

これに対し、近鉄事件において近鉄不動産が近接地を購入したのは、原告がローレルコート難波を購入した後である。そのため、ローレルコート難波販売時に近鉄不動産が近接地に高層マンションを建設する計画を有していたとは断言できない。この点を立証しない限り、騙して契約したとの結論にはならない。つまり東急不動産の方が悪意の度合いが高いことになる。

2に重要事項説明に対する対応である。両事件共に重要事項説明で、周辺環境に変化が生じうることを指摘している。東急事件では重要事項説明の場で、購入者(=林田)が「重要事項説明の周辺環境の記述は隣地建物を念頭に置いているのか」と質問した経緯がある。

この質問に対し、東急リバブルの宅建主任者は「特に隣地建物を指しているのではない。一般的な記述です」と回答した。隣地建て替えを知っていた東急側が、重要事項説明の環境変化を「一般的な記述」と説明したことは虚偽の説明をしたことになる。これは裁判において有力な攻撃材料となった。

一方、近鉄事件では購入者は「近鉄不動産は重要事項説明を形式的に読み上げただけで、購入者は内容を理解していない」と主張した。しかし判決は、購入者が重要事項説明について質問せず、異議を唱えなかったと認定して、重要事項説明を了解の上、売買契約を締結したと結論付けた。

確かに重要事項説明は形骸化しており、悪質な不動産業者による責任逃れの口実として悪用されがちな実態は存在する。その意味で近鉄事件の購入者の主張は正当である。しかし、裁判では外形を重んじる傾向があり、「説明されたが、理解していなかった」という主張は通りにくい。この点において、近鉄事件判決は消費者保護の限界を示している。

両事件の判決が明暗を分けた理由をまとめるならば不動産会社の悪質性にある。近鉄事件ではマンション購入者側が控訴しており、控訴審において改めて争われることになる。不動産会社の悪質性を、より強くアピールすることが控訴審における購入者側の一つの課題となるだろう。

 

御質問と疑問について

アルス東陽町騙し売り事件について現に公開されており、かつ、私から申し上げることができるのは301号室についてのみです。私は自分の知っている内容の全てを記事にしている訳ではありません。御質問の回答にならず、申し訳ありませんが、事情を御賢察下されば幸いです。

疑問点については、御主張のように近鉄不動産の方が東急不動産よりも悪質という見方も、誰が損害を与えたかという観点では十分に成り立つと思います。しかし法律家的観点では契約締結時の問題に関心が向かう傾向があります。契約締結時に知っていたのに説明しなかった東急不動産の方が悪質となるのが自然と考えます。

本記事は近鉄事件と東急事件の相違のうち、僅か二点を比較したものに過ぎず、他にも比較すべき点は多々あると思います。一方は消費者が勝訴し、他方は敗訴したという真逆の結論になっており、より精密に比較することは大きな意義があります。

特に御主張の疑問を前提とすると、東急事件で消費者勝訴、近鉄事件で消費者敗訴という結論を一貫して説明するために考えるべきことが多数生じます。御意見を踏まえまして改めて整理したいと思います。他にも疑問点が御座いましたら、コメントお寄せください。

因みにローレルコート難波事件同様、同じ不動産会社がマンションを建設したために眺望が悪化し、損害賠償が認められた例も存在します。このケースも含めて再検討してみたいと思います。

 

アルス騙し売り事件について

先のコメントは丁寧に回答しようとしたあまり、コメントにあるような表現となりましたが、そのために意図が何一つ伝わらなかったようです。過去にも婉曲的な表現をしたあまり、意図が伝わらなかった失敗例がありました。御認識には全面的に誤りがあります。

私の責任において公表できる紛争は301号室のみです。他の住戸の方が何一つ文句も言わず住み続けているわけではありません。ただ詳細は私からは申し上げられません。

共有部の欠陥施工については、管理組合との間の問題になっています。「マンション欠陥施工に対する東急不動産の呆れた説明」を御参照ください。

また、「文句を言わない」と「住み続ける」は同義ではありません。実際のところ、売却されて住人が変わった住戸もあります。

アルス東陽町301号室の売買代金返還請求訴訟では、東京地裁平成18830日判決が東急不動産に売買代金2870万円の返還を命じました。これを勝訴と説明しております。これが勝訴でないと主張するならば勝訴判決に該当するものは、ほとんどなくなります。

その後、控訴審(東京高裁)において訴訟上の和解が成立したことは「東急不動産の実質敗訴で和解」に説明したとおりです。

実質勝訴云々は控訴審後に初めて言えるのであって、本記事で言及している東京地裁判決について実質勝訴と表現するのは失当の極みです。

以上、申し上げたとおり、認識には完全な齟齬があります。過去にも誤った前提によって批判されたことがありましたら、初めから悪意に解釈することしかしないならば何とでも発言できます。このようなやり取りばかりならば、小牧みどり記者のように毅然として回答を拒否する態度が賢いということになります。

 

眺望阻害マンション裁判の倒錯

眺望 マンション 裁判

不動産会社の悪質さと狡猾さ

記者は「眺望阻害マンション裁判の明暗」という記事を執筆した。そこでは分譲後に隣接地の建築によって眺望が阻害されたマンション購入者が売主の不動産会社を訴えた2つの裁判を比較した。

一方はローレルコート難波購入者による近鉄不動産への損害賠償請求事件で、大阪地裁判決で購入者が敗訴した(近鉄事件)。他方はアルス東陽町301号室購入者(記者)による東急不動産への売買代金返還請求事件で、東京地裁判決で購入者が勝訴した(東急事件)。

記事では類似ケースながら勝訴と敗訴に分かれた理由を東急の悪質性にあると分析した。これに対し、行雲記者は近鉄の方が悪質という見方も成り立つのではないかとコメントした。行雲氏の論理は以下の通りである。

東急事件では隣接地の建て替え主体は東急とは別の第三者である。一方、近鉄事件では同じ近鉄不動産が近接地に高層マンションを建設した。眺望を「売り」にしておきながら、自ら眺望を阻害した近鉄は、より悪質ではないか、と。

記者も、誰が眺望阻害という損害をもたらしたかという観点に立つならば、行雲氏の見方に同意する。この場合、問題が生じる。価値判断では東急事件よりも近鉄事件の方が悪質であるのに、裁判では東急事件では購入者が勝訴し、近鉄事件では敗訴した。より救済の必要性の度合いが高いローレルコート難波購入者が救済されないという倒錯した結果になる。これは真剣に検討すべき問題である。

先ず法的観点からは売買契約締結時の事情が問題になる。マンションをめぐる購入者とデベロッパーの関係は売買契約で規定される。購入者とデベロッパーの法的紛争では一次的には売買契約が問題になる。この点で契約締結時に不利益事実を知っていた東急不動産(販売代理:東急リバブル)と、近接地の建設計画を有していたとは認定されていない近鉄不動産を比べるならば、東急が悪質という結論は動かない。

それでは契約締結後に自らセールスポイントとした眺望を破壊するような背信的な行動を取ることは許されるのか、という問題が生じる。これについては先例がある。

分譲マンション「大通シティハウス」の購入者が、同じ売主が別のマンションを建設したことにより、眺望が阻害されたとして、住友不動産と住友不動産販売に計約2000万円の損害賠償を求めた例である。札幌地裁平成12331日判決は、住友不動産に眺望を阻害しないように配慮する義務があったとして計225万円の賠償を命じた。

この先例に従うならば近鉄事件でも幾らかの損害賠償が認められて良さそうなものである。それが否定された背景には近鉄の狡猾さがある。ここで重要事項説明の表現が問題になる。

近鉄事件も東急事件も重要事項説明で、周辺環境に変化が生じうることを指摘する点は同じだが、表現が異なる。近鉄事件では「この環境について売主および関係者に対し何ら異議を申し立てないこと」という文言が付されている。これは近々、周辺に建設予定があるのではないかと警戒を抱かせる文言である。

この文言があるにもかかわらず、購入者が重要事項説明に同意したという点に裁判所が購入者敗訴の結論を導いた一因がある。一方、重要事項説明で周辺環境に変化が生じうるという記述は、ほとんどの物件で書かれる一般的なものである。一般的な記述で購入者を安心させ、だましたところに東急の悪質さがある。

しかし、これも見方を変えれば逆の価値判断を下すことができる。形骸化した重要事項説明で予め異議を封じさせてしまう近鉄こそ消費者の不注意に乗じた悪質な手法と位置づけることもできる。近鉄の用意周到さこそが、予め隣接地の建設計画を有していたことを推認させるのではないかとの疑いも生じる。

不利益事実不告知という消費者契約法の明文に違反した東急リバブル・東急不動産にはコンプライアンス上明らかに問題があるが、近鉄の狡猾さが支持できるわけではない。今回の裁判では勝訴したとしても、このような裁判を起こされること自体が長期的には会社のイメージを低下させ、勝訴で得られるものよりも大きなものを失うことになる筈である。

 

粗末な売主ほど景観で勝負

景観を売り文句から禁止することは一つの考えであると思います。実際のところ、自社の物件に自信のない不動産会社ほど建物のスペックでは勝負できないため、立地の良さばかりをアピールする傾向にあります。本記事で取り上げたアルス東陽町301号室が、そのような物件でした。

騙し売りによる売買代金返還請求訴訟において、原告は以下のように断言しました。「アルスには日照・眺望・通風以外には目立った利点はない(後述)。即ち、アルスは日照・眺望・通風を強力なセールスポイントとしたマンションであり、それらが失われれば社会経済的にもさして価値のない建物になる」(甲第14号証「原告陳述書」)。

 

東急リバブル東急不動産の悪質さ

近鉄不動産の狡猾さとは『ナニワ金融道』的な法の網の目をくぐる狡猾さを念頭に置いています。これは消費者を尊重する誠実な業者の在り方とは離れており、記事本文で批判した通りです。但し、歪んだ形であっても遵法精神は有しています。だからこそ、法の網の目をくぐろうとします。

これに対し、アルス東陽町301号室を騙し売りした東急リバブル・東急不動産は平然と消費者契約法(不利益事実告知)に反しています。被害者が協議を求めても、東急不動産の課長は無反省にも「文句があるならば裁判でもどこでも好きなところに行って下さい」と言い放ちました。

ここには法を無視しても、消費者は泣き寝入りをするからという発想しかありません。法の網の目をくぐろうという程度の遵法精神すら持ち合わせていません。故に東急リバブル・東急不動産こそ極めて悪質であると考えております。

 

砂肝、ネギマ、温泉玉子は好物のオンパレード

アルス東陽町301号室事件は消費者契約法による契約取消しを根拠とした売買代金返還請求訴訟です。東急不動産は根拠なく、売買契約を黙殺し、売買代金返還を拒否し続けたため、遅延損害金が発生します。従って訴訟上の和解に基づく和解金が売買代金2870万円を上回ることは正義に合致します。

 

東急不動産の対応は不誠実

ご指摘の点は本記事の問題意識に近いものがあると感じました。本記事のサブタイトルは「不動産会社の悪質さと狡猾さ」です。ここには東急不動産の悪質さと近鉄不動産の狡猾さを対照させる意図を込めています。よって御指摘のように感じられたならば、恐らく執筆意図を正しく伝えられたと思います。

実際のところ、東急不動産の担当者と名乗った人物は、狡猾とはお世辞にも言えない愚鈍な人物でした。いかにもペーペーという感じで、社会人としての最低限のマナーもできていません。

また、裁判でも東急不動産は逃げ回っているばかりで、まともな反論をしようとしませんでした。それも相手との決定的な対立を回避したいために主張を控えるのではなく、反対に原告本人尋問を当日になって代理人弁護士の私事で延期させたり、原告の年収を暴露したりと、原告を怒らせることばかり繰り返しました。

愚鈍な人物を担当者としたことも含め、東急不動産の対応は不誠実としか形容できないものですが、それが東急不動産の利益になったかは疑問です。騙し売りの被害者への嫌がらせは、その態度を硬化させることには成功しましたが、それは裁判を遂行する上で東急不動産の利益になってはいません。その程度の計算もできない東急不動産には狡猾さがないと言ってよいと思います。

記事本文で申し上げたとおり、企業が消費者に対して狡猾であることを支持しません。しかし、その種の狡猾さすら有していない東急不動産は冷静な取引ができず、狡猾である企業以上に厄介です。騙し売り被害者にとって売買契約を白紙化して縁を切る以外に有益な選択はないと言えます。

 

東急不動産敗訴

アルス東陽町301号室事件において原告は消費者契約法(不利益事実不告知)による契約取消しに売買代金の支払いを求めて東急不動産を訴えました。東京地裁平成18830日判決は東急不動産に売買代金の支払いを命じました。原告の請求が認容されたわけですから、紛れもなく勝訴判決です。

東京地裁判決は以下のようにまとめております。

「消費者契約法42項は、事業者が当該消費者に利益となる旨を告げ、かつ、当該消費者の不利益となる事実を故意に告げなかったことにより、当該消費者が当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたことを要件としているところ、前記認定事実によれば、原告は、被告による利益の告知がなされ、かつ、被告から本件マンション完成後すぐに北側隣地に3階建て建物が建築されるといった不利益な事実を故意に告げられなかった結果、本件マンション完成後すぐにその北側隣地に3階建ての建物が建築されることはないものと誤認し、被告に対し、本件売買契約の申込みの意思表示をしたものというべきである。」

 

東急不動産は非道で冷酷な企業

本記事で申し上げた近鉄の狡猾さとは、法律の枠内で消費者を出し抜くズル賢さです。この意味の狡猾さは東急不動産には見られないと思います。そもそも東急不動産は遵法精神を持ち合わせておらず、法律を守ろうとも思わないため、法律の枠内で立ち回ろうとする発想自体が欠けているためです。

つまり本記事で対照させた近鉄と東急の相違は価値観の相違です。前者が法律を利用して利潤を追求するのに対し、後者は法律を無視して利潤を追求します。このため、東急不動産こそが悪質と申し上げました。

私が愚鈍と形容したのは、担当者個人に対してです。無権限の愚鈍な人間と接しなければならない騙し売り被害者にとっては親しみが覚えられる筈がありません。社会人としての最低限のマナーを有しておらず、非人間性を感じました。人間的な親しみを覚えるどころか、騙し売り被害者の人間としての尊厳を損なうものでした。

しかも、問題なのは、そのような無能な人物を担当者にアサインしたところに、東急不動産の明確な悪意があります。原告の調査により、この担当者はアルス東陽町の建設時には一切、関与していないことが判明しました。アルス東陽町とは無関係な、苦情処理のための人物に過ぎないと裁判では主張しました。

愚鈍な人物に苦情処理を押し付け、真の責任者は逃げているのが東急不動産の実態でした。騙し売り被害者が「このような無能な人間と話しても無駄」と絶望して泣き寝入りをすることを狙ったものと判断しています。現実に裁判まで行う消費者が少ないならば、東急不動産の戦術には合理性があります。

従って法律を守るための狡猾さを有していなくても、明らかな法律違反があったとしても、騙し売り被害者を泣き寝入りさせるための狡猾さはあります。その狡猾さが却って原告の怒りを増大させたことは既述のとおりですが、東急不動産は人間的な親しみどころか非道で冷酷な企業と受け止めております。

 

騙し売りの真相

騙し売りの真相を知っていた今から振り返れば、重要事項説明に何が書かれていようとも、東急リバブル・東急不動産からマンションを購入すべきではなかったと考えております。この点については一点の疑いも揺れも存在しません。だからこそ、消費者契約法に基づき、売買契約を取り消しました。

よって仮定の質問に対しては、購入しなかった可能性が高いという回答になります。純粋に仮定した上での回答を期待されているものと思いますが、現状認識から完全に自由にはならず、どうしても影響を受けてしまいます。

アルス東陽町301号室の重要事項説明に、記事本文で示したローレルコート難波の重要事項説明と同様の文章が存在したならば、文意を質問した筈です。別の記事「眺望阻害マンション裁判の明暗」で申し上げたとおり、実際の重要事項説明でも「重要事項説明の周辺環境の記述は隣地建物を念頭に置いているのか」と質問しており、この点は仮定の場合でも変わらない筈です。そこで東急リバブルの宅建主任者が虚偽の説明をして消費者を納得させたならば、東急リバブル・東急不動産の違法性を根拠付けられます。

実際、アルス東陽町301号室事件の最も大きな点は、隣地が建て替えられることを知っていたにもかかわらず、説明しなかったことです。この点が存在する限り、重要事項説明に何が書かれていようと、泣き寝入りすることにはなりません。「何ら異議を申し立てないこと」は正しい説明がなされて初めて意味があるもので、前提となる説明に問題があれば異議を主張する権利は当然に存在します。

問題意識に応えるために改めて執筆した本記事で自説に戻ってしまうのは申し訳なく思いますが、やはり契約締結時に建てられることを知っていて説明しなかったという点で東急リバブル・東急不動産が悪質という結論に落ち着きます。

 

 

秋葉原メイドとアロマテラピー酸素バー

東京・秋葉原といえばメイドである。「メイフット」(千代田区外神田)ではメイドがリフレクソロジーを提供する。黒服白エプロンという正統派メイドがフットケア(足もみ)やハンドケア(手もみ)などをしてくれる。私は2008831日に知人と一緒にメイフットでアロマテラピー酸素バーを体験した。

「メイフット」は昌平橋通り沿いの雑居ビルの3階にある。入口でメイドが出迎え、靴を脱ぐ。壁には足の裏の図が掲げてあり、本格的なリフレクソロジーの雰囲気を醸し出している。日曜の午後ということで盛況で、フットケアは順番待ちであったが、酸素バーはすぐにできた。最初にアンケートに回答する。このアンケートで書いた名前が後でポイントカード作成に利用される。

それからメイドの誘導で酸素バーの席に座り、装置の使用法の説明を受ける。酸素バーはアロマを通した高濃度酸素により、頭がすっきりし、疲労が回復する。装置を鼻にあて、鼻から酸素を吸い、口から吐き出す。アロマにはオレンジやグレープフルーツなど複数種類有り、自分で任意に装置を切り替えることができる。

酸素バーにはDVDプレーヤーが置いてあり、酸素吸引中にメイドのオリジナル映像を見ることができる。メイドが歌ったり踊ったりしているものであった。他にはメイドの絵日記が置いてあった。それから恐らくメイドで読む人がいるのだろう、マンガ『銀魂』のコミックスが置かれてあった。

酸素吸引が終わったら、冷たいお茶を一杯飲ませてくれた。料金支払い時にポイントカードを受け取る。入口でメイドが靴を出してくれ、エレベータまで見送ってもらった。短時間であるが、癒された気持ちになる一日であった。

 

マネー

 

手数料割安のジョインベスト証券

時間的な分散投資が重要

私が株式取引に利用するインターネット取引専門証券会社(ネット証券)のひとつにジョインベスト証券がある。ジョインベスト証券は証券業界最大手の野村ホールディングス傘下であるが、野村色は薄い。

私がジョインベスト証券に口座を開設した直接の動機は、20079月に発表された、「口座開設+5万円入金で5,000円プレゼント」キャンペーンがきっかけである。長期的には資産運用を積極的に取り組もうと思っていたためである。

この頃、長年続いていた東急不動産株式会社とのマンション紛争が一段落した。売買代金の返還により、住宅ローンの負担もなくなったため、資産運用に目を向ける余裕ができた(参照「東急不動産の遅すぎたお詫び」)。

ジョインベスト証券では投資信託やFXも扱っているが、私が取引しているのは現物株式のみである。長期的な投資をするつもりはないため、投資信託は避けた。また、信用取引のリスクは負いたくないために現物に限定している。

ジョインベスト証券の魅力は手数料の安さである。株式は購入しても売却しても手数料がかかる。従って利益を出すには売買の手数料以上の差益を出さなければならない。手数料が低ければ利益を出すためのハードルは低くなる。

ジョインベスト証券では約定代金が10万円以下の場合僅か100円である。他の証券会社と同様、注文毎の約定代金で計算する「そのつどプラン」と、1日の約定代金合計で計算する「まとめてプラン」がある。「そのつどプラン」がデフォルトだが、私は1日に複数注文を出すことが通常なので、「まとめてプラン」としている。

「まとめてプラン」の場合、手数料が最終的に確定するのは1日の取引が終了した後である。そのため、取引中は厳密な手数料計算ができないが、「そのつどプラン」よりは安くなっているので問題ない。

ジョインベスト証券の取引画面は背景色を白としており、落ち着いていて見やすい。どの画面でも右横のバーは同じで、メニュー内容のカスタマイズも可能である。私が良く見るのは「約定のお知らせ」欄である。ここでは注文が約定されると、その約定内容が表示される。買い注文が約定されれば、対応した売り注文をすぐに出したい人にとっては便利である。

「約定のお知らせ」欄で「一覧」ボタンをクリックすると、注一覧画面が表示される。注文一覧画面では「注文状況の列」で「注文中」と「約定済み」が区別して表示されるため、約定を確認することできる。大量の注文を出している場合、約定注文だけを見分けることは容易ではない。約定注文だけを確認したい場合、約定一覧画面を表示する。

約定一覧画面では、その日に約定した銘柄毎の平均約定単価のみが表示される。同じ銘柄で複数の注文が約定した場合、個々の約定金額は不明である。これは注文一覧画面から約定した注文をクリックして詳細画面を開かなければ確認できない。私は同じ銘柄に対し、成行と指値で複数の注文を出すことが多いため、この点は少し不便である。

私が株式取引を始めた頃は世の言説に従い、複数銘柄による分散投資を心がけた。しかしながら、ちょうどサブプライム問題とぶつかったこともあるが、下がる時は多くの銘柄が下がるため、リスクの分散にならなかった。それよりも時間的な分散投資を心がけるようにしている。

つまり同じ日に資金の大半を費やしてしまうのではなく、毎日、売買していく。これによって高値づかみのリスクを低減する。ドル・コスト平均法に近い形である。近時の日本株はニューヨーク株式市場や為替相場に連動して日々、上下するような状況が続いており、日々取引を続けることが重要であった。

買い注文では確実に購入でするための成行注文と、割安で買うための指値注文を併用した。成行で購入した銘柄の株価が上がれば売却する。株価が始値から一本調子で下落しても、割安の指値注文が約定するので、ナンピンで利益を出すことができる。

私にとって株式投資で怖いことは購入した株式が売れずに投資資金が底をつき、取引する資金がなくなってしまうことである。「今が底値で買い時」と思っても、資金がなければ購入できない。その種の悔しい経験をしてきたため、時間的な分散投資を行うことで、取引を続けられるようにしていきたい。

 

1000円から可能な純金・プラチナ積み立て

元手のかからない長期的投資

私は長期的な資産運用として純金及びプラチナの積み立てをしている。積み立てには田中貴金属の「G&Pプランナー」を利用している。

「G&Pプランナー」に口座を開設した直接のきっかけは2007年に行われた「「TANAKAの夏トクキャンペーン」である。これは新規口座開設者に商品券がプレゼントされるキャンペーンである。この時期は過去記事「東急不動産の遅過ぎたお詫び」で説明した東急不動産とのマンション紛争が一段落し、資産運用に目を向け始めていた。

短期的な投資として株式の売買を行う一方で、長期的な投資として貴金属の積み立てを選択した。余裕資金を株式の売買用に回したため、元手のかからない積み立てという形で投資できる点が魅力的であった。

「G&Pプランナー」はインターネット上で貴金属の積み立てができるサービスである。キントンとプラトンという、それぞれ金とプラチナを象徴する豚がマスコットになっている。レートの確認や積立金額の変更がオンラインで可能である。また、積み立てた貴金属の売却やスポットでの買い増しもできる。

ネット証券のシステムのようにユーザーインタフェースが洗練されていたり、多彩な機能が満載されていたりするわけではない。そもそも自動的に貴金属を積み立てるサービスであり、複雑な操作をする必要はない。

「G&Pプランナー」では月々1000円から積み立てできるため、気軽に始められる。但し購入には手数料がかかり、積立金額が大きいと手数料が割安になる。積立金額が2000円以下の場合の手数料率は5.0%であるのに対し、50000円以上では1.5%にまで下がる。年会費や保管料、売却手数料は無料であるが、売却代金の銀行口座への振込み手数料がかかる。

積み立ては営業日レベルでのドル・コスト平均法で行っている。毎月、積立金額が銀行口座から引き落とされるが、特定の日に全額分を買い付けるのではなく、営業日に分散して買い付ける。これによって日次の価格変動リスクにも対応する。

先月末に引き落とした積立金額を営業日で分け、日毎に買い付けていくため、買い付けた貴金属は日々微増していく。また、引き落とされた積立金額と、ある時点での貴金属の買い付け金額が完全に一致するわけではない。

私が積み立てを始めてから間もなく1年が経とうとしている。現時点で所有する金は約17グラム、プラチナは約9グラムである。現時点の小売価格で計算したところ、純金もプラチナも時価は、今まで積み立てた金額よりも数千円ほど少なかった。これは直近まで純金やプラチナが高騰しており、割高な購入をしていたためである。

投資1年目では赤字という結論になってしまったが、純金・プラチナ積み立ては長期的な投資という位置付けであり、今後も継続するつもりである。

 

田中貴金属の純金&プラチナ積立 GPプランナー>

http://gp.tanaka.jp/

 

ネット銀行大手のイーバンク銀行

「持たざる経営」の強みと弱み

私が口座を開設しているネット銀行の一つにイーバンクがある。オーマイニュースの市民記者登録時に指定した口座もイーバンクの普通預金口座である。

口座開設のきっかけは、あるアフィリエイト報酬の振り込み先口座とするためであった。そのアフィリエイト・システムではイーバンクと別のネット銀行からしか選択できず、口座維持手数料が無料のイーバンクに口座を開設することにした。

アフィリエイト報酬の受け取り用として開設した口座であるが、既に開設していた都市銀行の口座よりも様々な面で便利であったために、徐々にシフトしていった。

1に預金金利が都市銀行よりも0.01%以上高かった。2007年時点の普通預金金利は0.35%であった。ネット専業銀行は支店維持のコストや人件費が少なくて済むため、その分、金利で還元できる。

2にセブン銀行のATMと連携しており、24時間いつでも無料で入出金できた。セブンイレブンは自宅や勤務先の近くにあるため、非常に便利であった。

3に振込み手数料が割安であった。他行宛振込み手数料は一律160円であった。

4にネット証券口座への入金のし易さがある。私が開設していた都市銀行でもオンラインバンクはあるが、ネット証券口座への入金時はパスワードだけでなく、暗証カード記載の情報との照合が必要であった。これに対し、イーバンクはパスワードだけで入金できた。

これはイーバンクのセキュリティの弱さを意味し、本来はデメリットとして位置付けるべきものである。しかし、入金の度に暗証カードを持ち出すのは面倒である上、暗証カードの紛失のリスクもある。一般論としてセキュリティは厳重であるべきだが、手間隙というコストとのトレードオフになる。

このようにイーバンクは便利であったが、イーバンクに傾斜する契機は別にあった。私は東急不動産から新築マンションを購入する際、販売代理の東急リバブル提携で、その都市銀行から住宅ローンを借りた。住宅ローンの金利優遇を受けるため、都市銀行口座を給与振込み口座に指定するなど囲い込まれている状態であった。

しかし、実は東急不動産のマンションは不利益事実(隣地建て替えなど)を隠して、だまし売りされたものであった。引渡し後に真相を知った私は消費者契約法に基づき、売買契約を取り消した(参照「東急不動産の遅すぎたお詫び」)。

数年に渡る裁判闘争を経て、売買契約は白紙化され、住宅ローンも消滅した。これにより、都市銀行にこだわる必要がなくなった。とはいえイーバンクとの蜜月も長続きしなかった。イーバンク側のサービス条件変更によって、私にとってのメリットが薄れたためである。

1に預金金利が低下した。2008910日現在、普通預金金利は0.25%である。これは他行と比較し、それほど有利ではない。但し定期預金の預入単位が一口10万円から1万円以上に下がった点は便利である。

22007121日から入出金が有料化された。月数回の所定回数までは無料で、それ以降の利用は210円の手数料がかかるようになった。その後、200831日からは3万円以上の入金手数料は無料になった。

3に他行宛振込手数料が2008922日から値上げされる。3万円以上の振込は手数料が250円になる。

条件変更の中で最も衝撃的なのは入出金の有料化である。それまでイーバンクでは預金口座新規開設キャンペーンを積極的に展開しており、口座開設の囲い込み後の有料化として感情的な反発も生じかねないタイミングであった。とりわけ入金にまで手数料を払うことは利用者には受け入れ難く、その後の見直しにつながったと考える。

一方、イーバンクの立場で考えると、イーバンクはセブン銀行のATMを利用しており、銀行間で支払う利用料が発生する。そのコストを預金者にも負担してもらいたいということなのであろう。

ネット銀行は人件費や支店維持コストなどが少なくて済む「持たざる経営」が強みである。しかし、ATMを他行に依存するイーバンクでは「持たざる経営」の意外な弱さが露呈した。現金という物を流通させる必要がある限り、ネット銀行が「持たざる経営」の強みを完全に発揮することには限界があることを示している。ネット間の取引に使う上では便利であり、現在でもネット証券口座への入金用及びネット証券口座間の資金移動にイーバンク口座を活用している。

 

毎月金利が払われる住信SBIネット銀行

新しいネット銀行

住信SBIネット銀行は20079月に開業したばかりの若いネット銀行である。開業当初、新規口座開設者に現金1000円をプレゼントするキャンペーンが行われた。私が口座を開設した直接の契機はキャンペーンであるが、非常に便利な銀行である。

1に金利が他行と比べて優遇されている。普通預金金利が開業当初はキャンペーンで1%であった。現在でも100万円未満で0.35%100万円以上で0.4%である。定期預金も、しばしば行われるキャンペーン時の金利は1%近くなる。現行のキャンペーン(2008928日まで)では1年の定期預金の金利が1%である。

2に普通預金の金利は1月毎に支払われる。1か月分の金利は大した額ではないが、毎月少しでも着実に増える点は精神的に嬉しい。低金利時代に久しく忘れていた貯金の意義や楽しさを思い起こさせてくれる。

3にセブン銀行のATM24時間365日、入出金無料である。日中、銀行に行く時間のない身にとって非常に便利である。

金利の優遇とATM手数料無料については、先行するネット銀行であるイーバンクも似たようなサービスを行っていた。しかし、2007年末以降、ATM利用手数料がかかるなど、イーバンクのサービス条件が悪化した(参照「ネット銀行大手のイーバンク銀行」)。

このため、私は余裕資金を住信SBIネット銀行にシフトするようになった。私と同じような人は少なくない筈で、住信SBIネット銀行は絶好の時期に開業したといえる。一方、ネット上の取引ではイーバンクでなければ対応していないサイトもあるため、棲み分けが成立している。

住信SBIネット銀行の親会社は住友信託銀行とSBIホールディングスであり、銀行名に両社の商号を受け継いでいる。大手信託銀行が親会社であることは信頼感を与えてくれる。大手行がバックにいるためか画面も派手さはないものの、落ち着いた感じである。住信SBIネット銀行もイーバンクも画面背景色は白だが、タグやアイコンの色が住信SBIネット銀行では青、イーバンクではオレンジを基調としており、印象がかなり異なる。

両銀行ともログイン後のトップ画面には残高が表示されるが、イーバンクの残高欄は画面上部を占め、大きい字で表示されており、一目で分かる。これに対し、住信SBIネット銀行は画面上部にキャンペーンバナーがあり、残高欄は画面下部に、他の文字と同じ大きさのフォントで表示される。あまり目立たないが、バランスは良い。

もう一つの親会社であるSBIホールディングスは金融サービス会社である。グループ内にはSBI証券(旧SBIイー・トレード証券)があり、証券口座開設者には連携したサービスを提供する。例えば銀行の預金残高が証券買付余力されるSBI ハイブリッド預金などがある。

普通預金の金利が1月毎に払われるのは銀行では珍しいが、証券会社の口座に入金すると自動的に買い付けたことになるMRFMoney Reserve Fund)は毎月配当が行われる。住信SBIネット銀行には証券業的な発想があるものと思われる。

住信SBIネット銀行の金利が、他の銀行に比べて高めであるのも説明がつく。市場から資金を調達することを考えれば、金利1%での資金集めは割安である。高コスト体質の既存の銀行の運用方法では預金者に1%を支払った上で運用益を上げることは難しいかもしれない。しかし、様々な金融事業で鍛えられたSBIグループのノウハウがあれば十分な運用益を得る自信があるのだろう。

金利の高さとセブン銀行のATMが利用できる利便性から、私は親にも口座開設を勧めた。実家は都市銀行の支店がある最寄り駅までバスで行かなければならないところにあり、近所のセブンイレブンで入出金や残高照会ができるのは便利である。親の世代(60代)ではネットのサービスには抵抗があったが、今では重宝している。

 

市民メディア

Oh! MyLifeは市民メディアの進化系

オーマイニュース Oh! MyLife 市民メディア

自立した市民を育成する試み

市民メディア・オーマイニュースは200891日に、より生活に密着した情報を発信するOh! MyLifeに大幅リニューアルする。これは日本の市民メディアにとっても一つの事件である。オーマイニュース市民記者の一人としてリニューアルの意義を考察したい。本稿は記者の管見を表明するものであり、編集部の見解とは無関係である。

記者(=林田)が市民記者となった動機は自身が経験した東急リバブル・東急不動産によるマンション騙し売りを多くの人に知ってもらいたかったためである。記念すべき初記事「東急不動産の実質敗訴で和解」に始まり、多くの記事で言及してきた。

私が記事に書いた内容は多くの人にとっても意義のあるものだと確信している。とはいえ、私個人の経験が出発点になっていることは事実である。「身近な発見や驚き、感動こそがニュースである」というマスメディアとは異なるスタンスが編集部にあったからこそ、記事となった。

市民メディアの意義はマスコミュニケーションの場で情報の受け手に徹していた市民が記事の発信者となったことにある。市民記者だからこそ書ける記事を掲載することが市民メディアの存在理由になる。その意味で消費者視点の体験報告を中心としたOh! MyLifeへのリニューアルは市民メディアの方向に沿ったものと評価することも可能である。

ジャーナリズムの公共性や社会性を重視する立場からは、リニューアルは後退に見えるかもしれない。しかし、「人々の興味がマクロからミクロ、そしてパーソナル(my news)へとどんどんシフトしている」という編集部の現状認識が重要である。

これは一時的な傾向というよりも、日本の社会的な特性と捉えるべきである。西洋文学を摂取した近代の文学青年は私小説という日本独自の文学形態を生み出した。私小説を小説の社会性を捨て、私という殻に閉じこもる内向きの傾向と批判する立場もある。

しかし、個性を抑圧する自我の未熟な日本社会においては、何よりも先ず「私」を掘り下げることが重要であった。偉大な文豪である夏目漱石でさえもイギリス留学により個人主義の洗礼を受けたものの、日本社会を舞台とした小説で自我のある個人を描いても必ずしも幸せにすることはできなかった。

『坊つちやん』の主人公の言動は痛快だが、教師を失職し、社会的には敗者である。『こゝろ』では先生は自分のエゴに正直に行動したために、友人を自殺に追い込み、希望を実現できたにもかかわらず、罪悪感で鬱々と暮らすことになる。

権利の上に眠るものは保護されず、主張しなければ享受できないのが近代市民社会である。しかし、『草枕』の冒頭に「意地を通せば窮屈だ」とあるとおり、個性を抑圧する日本社会では自己主張をすれば窮屈になってしまう。

そして絶筆となった『明暗』では「則天去私」の境地を描こうとしたとされる。これを自我にとらわれない一段上の境地と解釈する立場があるが、そのように解釈するならば結局のところ、個人を否定する特殊日本的村社会との妥協とも読めてしまう。文豪でさえ、そのような状況であるため、世代的に漱石よりも後になる作家達が救いがたい日本社会に正面から向き合うのではなく、「私」に特化する私小説を選択したことは首肯できる。

韓国で誕生したオーマイニュースも、日本で展開する以上、日本社会の問題意識に対応した変化は免れない。個性を抑圧し、自我の未熟な日本社会では、社会的なオピニオンは権威的な言説や無根拠でも民族的な自尊心をくすぐる主張に同調しやすい。消費者の実体験に裏打ちされた記事こそが、日本においては市民記者だから書ける記事になり得る。

実際、編集部は体験レポートに「体験を通じて自分は何を学んだのか。体験を通じて自分はどう変化したか」を求めている。編集部は単なる体験談以上の内省を市民記者に求めている。他人とは異なる自分独自の体験からの成長を期待している。

これは集団主義的な日本において真の意味で自立した市民を育成する試みにもなる。日本社会を変革するには小さな一歩であるが、市民メディアの目指す理想に合致した一歩である。市民メディアの発展を願う一人として、Oh! MyLifeへのリニューアルに期待したい。

 

拙記事の論点

拙記事はOh! MyLifeにリニューアルする意義を考察したものです。日本の社会状況を踏まえ、リニューアルは市民メディアの目指す方向に合致すると結論づけました。従ってリニューアルを「市民メディアの進化系」と考えているか否かという御質問は肯定で回答します。その論拠は、本文記載の通りです。

拙記事の論点はリニューアルが市民メディアの目指す方向と合致するかです。リニューアルを既存のオーマイニュース市民記者が支持するか否かは別問題です。その点について拙記事は肯定するものでも否定するものでもありません。市民記者の多くがリニューアルに失望しているという事実があるとしても、それは拙記事の否定論拠にはなりません。

また、リニューアルが社会的に成功するか否かについても拙記事の論点とは別問題です。オーマイライフに期待が持てるかという御質問は拙記事の対象外です。この点についてはOh! MyLifeの成功要因という形で別記事で言及しました。掲載待ち状態でしたので、近々に掲載されると思います。

 

個人的な思い

私個人はオーマイニュースで100件以上の記事を執筆してきました。それはオーマイニュースに肯定できるものがあったためであり、如何なる理由があろうとも、それがなくなることは残念と感じています。その意味でリニューアルに失望されている市民記者の方々の気持ちも共感できます。

但し私はオーマイニュースの本質は市民メディアと考えています。恐らく本質をニュースサイトと捉えられているために、ニュースの文字を削除することに衝撃を受けていると思います。しかし、ニュースがなくなったとしても市民メディアとしての本質が失われるものではないというのが管見です。むしろ無条件にリニューアルを肯定しているのではなく、最後に残った市民メディア性は擁護したいという気持ちがあります。

 

市民記者の自治

オーマイニュースの運営や姿勢について少なからぬ市民記者が不満を抱いていることは承知しております。それらには共感できる点も少なくありません。それらの多くは市民メディアの理想に近づけたいという善意からのものとも理解しています。

ただ他の市民メディアと比べてもオーマイニュースは市民記者の声を聞いている方と思います。私は東急リバブル東急不動産という顧客無視の企業による最低な対応を経験したために甘いのかもしれませんが、体質を酷評されるほどのものとは思いません。

オーマイニュースは市民記者の自治によって運営されるサイトではありません。この点で限界があります。この点の自覚が薄いために不満とストレスが残る結果となっているのではないかと愚考します。市民記者が満足するための解決策は、市民記者が集まって市民記者の自治により運営する市民メディアを立ち上げることではないかと感じております。

 

リニューアルについて

オーマイニュースは先行するJANJANと比較すると個人的な記事も積極的に掲載してきました。また、ソフトバンクが出資したということで当初からビジネス色も強かった筈です。だから今回のリニューアルは方向性としては意外ではなく、リニューアルと称することに抵抗はありません。

 

記事が記事を生む好循環

オーマイニュース Oh! MyLife 市民メディア

Oh! MyLifeへの期待を込めて

渡辺亮記者によるマンガ『リングにかけろ2』レビュー記事が掲載された。マンガをレビューした拙記事を読まれた渡辺記者が「自分でも書いてみよう」と思われたことが執筆の動機という。読者が記者になる市民メディアならではの展開である。これはオーマイニュースからリニューアルするOh! MyLifeにおいても参考になる出来事と考えるので、考察したい。

私がマンガのレビュー記事を書いてきたのは、書評記事があるならばマンガのレビューもあってよいという発想からであった。加えて、マスメディアの報道をニュースと捉える傾向への違和感もあった。

リニューアルが告知された現在において、後出しジャンケンのように聞こえるかもしれない。しかし、身近な見聞を出発点にしている拙記事の傾向から理解してもらえる筈である。記事を書き続けることによって、他の記者も参考にする一つのスタイルが形成される。記事が記事を生む好循環となったと自負している。

翻ってオーマイニュースを見ると、市民記者から運営方法に対する注文が多かったという印象を受ける。まるで市民記者の自治により運営することが求められているかのようであった。市民メディアは市民が記者となって記事を発信できる媒体であるが、それは市民記者の自治によって運営する媒体であることに直結しない。

しかし、これは市民記者が媒体に対して完全に無力であることも意味しない。市民記者が市民記者たりうるのは記事を書くからである。これまで掲載されていなかった類の記事が掲載される。これが市民メディアに対する市民記者の力である。

もちろん、全ての記事が掲載されるわけではない。地道な積み重ねが市民メディアを形成していく。編集部にストレートな提言を出し、受け入れられなかったから絶望するというのは少し急ぎすぎているように感じられる。

さて、Oh! MyLifeでは消費者の商品・サービス体験レポートがメインになる。記者は前から自分が購入した商品の報告記事を書いていた。そのためにOh! MyLifeの試験的記事と誤解されることもあった。しかし、拙記事からOh! MyLife的な記事を選択するならば、純粋な商品紹介記事よりも、新幹線と飛行機を乗り比べた「新幹線と飛行機、どちらを選ぶ?」やポイントサービスについて述べた「イトーヨーカドーの商売上手」を挙げたい。

両記事ともサービスそのものの説明よりもサービスを体験して発見したことを前面に出している。両記事ともコメント欄では「自分は○○している」と自分に置き換えたコメントが寄せられた。

商品・サービスの体験談で終始するのではなく、体験による気付きを含める。それが共感や異論を呼び、新たなコメントや記事が生まれ、サイトが盛り上がる。このような好循環をOh! MyLifeには期待したい。

Oh! MyLifeでは誰もが関心を持ち、何気なく読んでしまう所謂「ニュース」では勝負しないという、あえて厳しい選択を行った。読者である他の市民記者の心を動かすような記事が集まるか。これがOh! MyLifeの成功要因の一つになると考える。