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林田 力
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世田谷区パブコメで二子玉川ライズ反対多数

世田谷区実施計画・行政経営改革計画へのパブリック・コメントで二子玉川ライズ(二子玉川東地区再開発)への反対意見が多数寄せられたことが判明した。2011年12月19日の世田谷区議会企画総務常任委員会で明らかにされた。

林田力も「二子玉川再開発は住民排除の上に成り立った計画」などの理由で反対意見を提出した一人である。パブコメには再開発への賛成意見はなく、官僚お得意の両論併記でお茶を濁すまとめ方は封じられた。パブコメで表明された民意を踏まえれば二子玉川東第二地区再開発への補助等による支援は削除となる。

NPO法人「街づくりの仲間たち」が12月4日に開催した「区民参加の計画づくりの進め方に向けた提案―世田谷の未来を共に築くために―」で林田力は住民参加を徹底する方策に関連して以下の趣旨で意見を出した。

「二子玉川ライズ問題では二子玉川まちづくり協議会のワークショップや第二地区再開発への意見書などで既に住民の意見が出されている。本気で住民参加と言うならば改めて住民の意見を聞くまでもない。住民の意見の実現を検討する段階である。

街づくりへの意識が低い住民がいるとの問題意識については、二子玉川ライズのように住民が反対意見や代案を表明しても無視されて開発が進められてしまうために、無意味・無駄という意識になってしまう。住民から出された意見を現実に反映するプロセスを積み重ねることで参加者が増えていくと考える。」

危険だらけの二子玉川ライズ

二子玉川の環境を守る会は2011年11月発行の「二子玉川の環境を守る会NEWS No.30」で二子玉川ライズの危険を特集した。「被害甚大」「多額の税金投入」「環境破壊」をこのままにして「2期事業をはじめさせてはいけない」と訴える。

ビル風による風害、横断歩道の位置が悪い、横断歩道の信号が短い、急カーブで見通しが悪い、住宅街への交通量増加、トンネル内での車線変更があげられる。二子玉川は再開発により安心して歩けない街になってしまった。環境悪化も見過ごせない。風害、騒音、暫定堤防、日影、不要な道路拡張(駒沢通り)である。

二子玉川東第二地区市街地再開発組合事務所で2期工事説明会が12月8日19時、9日19時、10日14時に開催される。これに対してNEWSでは「その前に解決することがあるんじゃない」と問題提起する。二子玉川ライズ2期事業着工の前に解決しなければならない問題が山積みである。

NEWSは二子玉川ライズ2期事業認可取消行政訴訟の口頭弁論の傍聴も呼び掛ける。口頭弁論は2012年1月24日15時半から東京地裁522号法廷で開催される。(林田力)

首都圏交流サロンで二子玉川ライズ問題を報告

景観と住環境を考える全国ネットワークの首都圏ネットワークは2011年11月7日、「マンション紛争・都市問題首都圏交流サロン」を東京都千代田区の富士見区民館で開催した。林田力は世田谷区玉川の二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)と江東区新砂のスカパー巨大アンテナに反対する住民運動について報告した。
配布資料は二子玉川の環境を守る会「二子玉川の環境を守る会ニュース第29号」「二子玉川再開発シンポジウム案内」、林田力「税金たかりの二子玉川デジタル・コンテンツ問題」「東急不動産だまし売り裁判チラシ」、スカパー巨大アンテナに反対する住民の会チラシである。
最初に二子玉川の問題を報告した。二子玉川の住民運動は11月にパブリックコメントの応募とシンポジウムに力を入れている。世田谷区では11日まで実施計画・行政改革素案へのパブリックコメントを受け付けている。これは区政全般に渡るパブリックコメントという珍しい形態であるが、内容的には前の熊本区政を踏襲したものが多い。
たとえば保坂展人新区長は大型開発の見直しを掲げたが、実施計画素案には二子玉川再開発への補助も下北沢の道路建設も実施すると記載されている。開発問題以外でも「高齢者や障がい者の声、医療・介護・福祉の現場の声を直接聞きます」との公約を掲げながら、素案では「国民健康保険料等の現年度の徴収強化」と貧困者に厳しい政策が登場する。
ここには一朝一夕で変わらない世田谷区政の現実の壁が現れている。これに対して保坂区政に期待した住民の意見を反映させるため、幅広い層に意見提出を呼びかけている。素案の内容に利害関係を有する人ならばパブコメを提出可能である。世田谷区のウェブサイトからも提出できるため、是非とも意見提出お願いする。
次にシンポジウムである。二子玉川の環境を守る会は世田谷自治問題研究所と共催で11月19日に世田谷区奥沢の奥沢区民センター集会室でシンポジウム「二子玉川再開発その検証と私たちのまちづくり」を開催する。パネラーは岩見良太郎・埼玉大学教授に、玉野和志・首都大学東京教授、世田谷自治問題研究所の中村重美氏である。
岩見教授は二子玉川再開発の裁判で意見書を提出し、二子玉川ライズに公共性が欠けることを立論した。玉野教授も二子玉川再開発の裁判で意見書を提出し、社会学の見地から二子玉川ライズの問題を指摘しました。中村氏は世田谷区の財政問題を論じる。福祉切り捨て、開発優先からの転換を展望する。是非とも御参加下さい。
続いてデジタル・コンテンツ問題を取り上げる。これは世田谷区の税金の無駄遣い、不祥事である。世田谷区は二子玉川にデジタル・コンテンツ産業を集積させる計画を掲げていた。それを民間主導で進めるとして、NPO法人ディジタル・コンテンツ・インスティテュート(DCIn)を推進事業者に選定し、2千万円もの補助金を交付した。
ところが、DCInは補助金を受け取った直後に資金難を理由に事業から撤退した。DCInは総務省からも補助金を受けていたが、システム開発経費の過大計上やDCInの理事が役員になっている企業に発注するなどの不透明な契約関係を指摘された。補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律による立ち入り検査まで受けている。
このデジコン問題は、よくある税金の無駄遣いにも見えるが、二子玉川再開発という開発利権とも無縁ではないと考えている。二子玉川にデジタル・コンテンツ産業を集積させる構想は経済産業省から出ている。経済産業省は2007年からNPO法人ディジタルシネマ・コンソーシアム(DCCJ)に委託して検討させているが、このDCCJは問題のDCInと足並みを揃えて活動していた。DCInが補助金を受け取ることは、お手盛り的な要素が強い。
二子玉川にデジタル・コンテンツ産業を集積させる計画自体に再開発の尻拭い的な面がある。再開発ビルの床が売れないために、図書館などの公共施設を入居させる手法は失敗再開発の常とう手段であるが、市民の目の厳しい近年では難しくなった。そこで補助金を使って民間企業を誘導する。税金の無駄遣いには変わらない。
このデジコン問題に対しては「住民監査請求が行われてもおかしくない」との意見が出された。林田は「区議会が熱心に追求している。第三者検証委員会も作られ、そこでの追及されることになる」と答えた。また、「二子玉川にデジタル・コンテンツ事業を誘致する必然性はあるのか」との質問も出された。林田は以下のように答えた。
「世田谷区は区内に映像関連の拠点があることを挙げている。成城の東宝スタジオや八幡山の円谷プロ、砧の東京メディアシティである。また、渋谷や都心へのアクセスの良さも理由にする。しかし、世田谷にある事業所は全て二子玉川から離れている。渋谷や都心へのアクセスの良さも渋谷や都心そのものには劣ることになる。二子玉川とする合理性はなく、二子玉川ライズありきの発想である」。
「デジコン問題について精力的に情報発信しているが、反応はどうか」との質問も寄せられた。林田は「開発反対の当事者はビル風などの現実の被害に直面しており、ピンとこない面もある。やはり税金の無駄遣い、癒着、利権という観点から関心が寄せられる」と答えた。
この後にスカパー巨大アンテナの問題を報告した。これは衛星放送のスカパーが江東区新砂に東京メディアセンターを建設しようとする問題である。屋上には衛星送信用の巨大パラボラアンテナと受信用パラボラアンテナを設置する計画である。2006年に建設計画が発表された。周辺は住宅街であり、建設地はマンションに隣接している。電波の送信方向にもマンションがある。
アンテナから発生する電磁波は、近隣住民の健康被害を引き起こす懸念があるために隣接するマンションを中心に住民の反対運動が起きている。2007年にアンテナ設置差し止め請求訴訟を東京地裁に提起した。現在も一審が続いている。住民が申請した電磁波の専門家の証人尋問が行われたばかりで、次回は反対尋問が行われる。電磁波の健康被害という点から携帯電話の基地局の建設反対運動などとも連携し、運動を進めている。
首都圏交流サロンでは他に大田区大森の投資用マンション建築紛争や飯田橋駅西口地区再開発、川崎市のミニ開発などの問題が報告された。大森の投資用マンションでは太陽光発電設備を購入しているため、日影になることで経済的な損害も被る近隣住民もいるという。飯田橋西口再開発に対しては敷地周辺の歩道が狭いままであるため、歩行者の安全のために周辺住民が歩道の拡大を求めている。
飯田橋西口再開発では高さ156メートルのビルが建設されるためにビル風が懸念されるが、現実に建ってみなければ分からないことから具体的な対策を求める動きにはなっていない。事業者側は敷地周辺に樹木を植えるとしているが、高さ156メートルのビルには無力と意見が出された。
林田は二子玉川ライズの風害被害を踏まえて以下のように述べた。
「二子玉川ライズでは一期事業が竣工したために風害が現実化した。被害が現実化したために反対の声が高まった面がある。二子玉川で問題が深刻化している理由は多摩川からの風が増幅されるという地理的な特殊性もあるが、住民がいるという点が大きい。六本木などの高層ビル街でも風害は指摘されており、雨の日はビル風で傘がオシャカになるなどの被害は出ている。ただ、勤務先や買い物の場として過ごす場合と、住民が生活する場合のインパクトは異なる。飯田橋でも通勤者にとっては『こんなもの』でも住民には深刻な被害になる可能性もある」。
意見交換では開発業者にインパクトを与える反対運動の進め方について話し合われた。同じ業者の他のマンションの販売現場で、ここでは問題が起きているなどの情報提供のアイデアが提案された。景観と住環境を守るネットワークはマンション建設反対運動関係者を中心とした全国組織であるが、個別の反対運動の限界から建築基準法改正など制度改正への志向が見られる。しかし、今回のサロンでは細部の要求を幅広く行うよりも、地域に不釣り合いな高層建築への反対に注力し、問題の本質を浮き彫りにすべきとの意見が出された。反対運動の原点を再確認する集まりであった。

二子玉川ライズのグッドデザイン賞受賞に疑問

「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」の2011年度グッドデザイン賞受賞は疑問である。グッドデザイン賞は、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する総合的なデザインの推奨制度であるが、二子玉川ライズの受賞は歴史ある賞の価値を損ねる。
「受賞対象の概要」では「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」を「構想から約30年で実現し始めた大規模再開発事業の一翼を担う住宅部分」と紹介する。構想から約30年を要した背景は住民の反対が強く、地域のコンセンサスが得られなかったためである。熟慮の末の計画ではない。
反対に二子玉川ライズは検討段階から超高層ビルありきで進められ、中低層建設が考慮されなかった。近隣住民らが二子玉川東地区市街地再開発組合(川邉義高・理事長)に再開発事業の差し止めを求めた裁判の証人尋問で、再開発事業のコーディネーターである宮原義明(株式会社アール・アイ・エー)は「中低層でべたっという考え方は当初から検討しておりません」と証言した(林田力『二子玉川ライズ反対運動』マイブックル、2010年、21頁)。
「受賞対象の概要」には「駅から繋がる『リボンストリート』を軸に」と記載するが、リボンストリートは別事業者の建築物で、「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」は二子玉川東第二地区(II-a街区)が未定の状態で販売された。そもそも「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」は駅徒歩6分を謳うが、リボンストリートが存在しない段階では「徒歩6分で駅まで到着できる筈もない」と怒る契約者もいる。
「緑豊かな人工地盤」とあるが、引渡し時は倒れている庭木など植栽の杜撰さが購入者の怒りを招いた。敷地周囲の樹木も風害により立ち枯れが目立つ。
「住宅棟と店舗棟を緑豊かな人工地盤上に分散配置」とあるが、高層ビルの分散配置になった周辺地域の日照阻害や電波障害は甚大になった。一つのビルの影が終わる時間帯には別のビルの影に入り、日陰の時間が長くなる。
「駐車場は人工地盤下に設け、歩行者安全・景観に配慮した」とあるが、大規模な駐車場を設置すること自体が周辺の渋滞を激化させ、歩行者の危険や大気汚染を増大させる。
「都市と自然が調和した風景」とあるが、「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」そのものが緑豊かな風致地区の自然を破壊して建設されたものである。その不調和な高層ビルは景観を破壊する。
「タワーデザインにはアルミとガラスを採用」とあるが、これが日光を照り返しして周辺地域に光害を引き起こしている。
同じく住宅で2011年度グッドデザイン賞を受賞した「浦和区の二世帯住宅」では以下のように周辺環境との調和を考慮した計画になっている。
「都市においては周囲の住宅の建ち方そのものが環境であり、恒久的なものではないとしても、家と家の間を読んで計画することは必要です。」
「1階の主空間は隣地の抜けの大きい部分に南面させ、東側隣家の大きなサクラも意識した計画にしています。」
このようなデザインこそ建築に求められるものである。周辺環境の犠牲の上に成立する「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」はバッドデザインである。

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