昔のみんな







今日の天気のよきことよきこと。

このまま晴れるか、曇りだすか。はたまた突然降り出すか。

さあさあさあ。この後の天気はどうなるやら。










野を行く2つの球体。

片方は紫に近いピンク、片方は燃えるような赤。

「いやー、いい天気だ。物がよく燃えそうだぜ」

「物騒なことを言うな」

ファイア能力特有の燃える冠をつけた赤いカービィ、ドラヴィオが機嫌よさそうに言う。

それをたしなめたのは頭巾のような帽子を被ったラビチャだ。

「確かに、いい天気ではあるがな」

グラスランドに広がる雄大な草原。

地平線まで埋め尽くす緑のカーペットが時折風に揺れて翡翠のように輝く。

草原の国、そう呼ばれる由縁をまざまざと見せ付ける風景。

空を仰げば目を細めたくなる陽光。

真っ青な空に細長い雲が切れ切れに浮んでいた。

「む?」

「どうしたラビチャ。何かを悟ったのか?」

「悟りがそうそう開けるわけなかろう…気のせいかな?」

何か動いたような気がする。

鳥でも飛んでいるのだと思ったが、気になって仕方が無い。

空を見上げているラビチャに倣ってドラヴィオも上を向いた。

暑い太陽に睨まれながら、空に何かないか探す。

「…何もないぜ?」

「…そう、みたいだな…いや!」

空を高速で通り過ぎる粒のような点。

見間違いとしか思えなかった謎の物体は次第に巨大になる。

「速いな!」

「来るぞ!」

2体が飛びのいた場所を通り過ぎる何か。

長い草が風になびかれていくつか千切れて舞っていく。

再び高度を上げる何か、ラビチャたちはその姿を確かめる。

綿雲のような白い巨躯、中心から覗かせたカービィと同サイズの大きな目玉。

空より飛来した怪物、クラッコである。

「この地域にでるとはな…珍しいこともあるものだ」

クラッコ。

古の昔よりカービィと敵対した大空の怪物。

遥か上空に住まうとされる生き物であるが、このように時々地上に降りて襲いかかってくる。

バブリークラウズに近いバタービルディングやヨーグルヤードなどにはよく出現する。

特に高地などが無いグラスランドのような所まで現れるのは珍しいことであった。

「そういや、こいつと戦うのも久しぶりだな…やるか」

ドラヴィオが不敵に笑むと、冠の上の炎が激しく燃え出す。

ラビチャもクナイを手にし、自分らを敵と認識した様子のクラッコを見据えた。

先に動いたのは雲の怪物。

巨体には似つかわしくないスピードでドラヴィオたちに迫る。

ラビチャたちは左右に別れてその場から離れた。

地面すれすれを通り過ぎたクラッコの後には突風が吹きぬける。

「食らえっ!」

高速で通り過ぎていくためラビチャのクナイは射程外。代わりにドラヴィオが火を放つ。

ソードなどの近接攻撃並みに射程が短いファイア能力。

しかしドラヴィオの炎はかなりの飛距離まで届く。

火の玉が雲の体を掠め、綿菓子のような体がほつれたように散っていく。

当たりは浅い。

遥か上空、といっても攻撃が届かない程度の距離まで移動。

体から青い火花のようなものが見え始める。

「まずい!」

「うおわ、っと!」

慌ててその場から離れると、直後に稲光が走った。

クラッコから降り注がれる落雷。

熱量で草が焼け、焦げ臭い匂いが立ち込めた。

絨毯爆撃をするように移動しながら雷を落とし続けると、大地には落書きされたような黒い線が走っていく。

しばらくすると攻撃が終わり、狙った相手の位置を確認するように目玉がキョロキョロと見回していた。

「やることが大雑把なんだよ!」

クラッコに放たれる火の玉。

赤い尾を引いた炎が青空に向かって一直線。

それほど速度が無いため、雲の怪物は悠々と攻撃から逃れる。

そのまま速度を増してドラヴィオに迫る。

「…こうまでされると興が削がれるな、はっ!」

その間を割って入るようにラビチャが現れ、手持ちのクナイを投げまくる。

いくつかが弱点である目に突き刺さるが、構わず突進。

引き寄せるだけ引き寄せ、ラビチャは跳躍。

ニンジャキックで脳天を蹴りつけると、反動で飛びのき背後に着地した。

「行くぜ、バーニング!」

勢い止めずに体当りを仕掛ける敵に、ドラヴィオも炎を纏って体当り。

バーニングアタックで目玉の部分に激突し、さらに雲のような体を突き抜けて通り過ぎる。

雲を彷彿される白い綿のような体が切れ切れに散る。

クラッコは速度を落とし飛び上がる。

「…まだ来るか?」

嫌そうな言葉に反して闘志はまだ沸々としている。

未だ手負いは無い。戦闘は十分に継続できる。

差すような陽光に照らされながら、にらみ合い。

根負けしたのか、クラッコの瞳が緩むと背を向けて上空に飛び立つ。

白い巨体は段々と小さくなり、黒い点となり、消えていった。

「ふう…なんだったんだろうな?」

「さあ…私にはわかりかねる」

遠のくクラッコを見送ると、ラビチャたちは歩き出した。










本日の天気、晴れのちクラッコ。

真に奇なる天候であった。

















後書き





ものの見事に短編。1時間足らずでできました。でも2時間で6000字打てる私としては・・・何だかなー。

ラビチャとドラヴィオの珍タッグ。

カビチャとドラヴィオが仲良かったので、ラビチャとも面識がありそうだということでこんなお話に。

短編でも何でもいいけど、戦わない話も増やしたいです。







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