
洞窟大騒動
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ホイールである。 タイヤの形に変化したカービィが、自分で回転することによって高速移動を可能とさせる能力である。 そのホイールが木に衝突する。 木は激しく揺れ、一体のカービィが落ちてきた。 「やほ、カビチャ」 ホイールから姿を変えたカービィが挨拶をする。 赤い帽子を被り、両目の間にバンソウコウを貼っているカービィである。 「イテテテテ…カビール、ってうわ!」 二体の間に剣が降ってきて突き刺さった。 「あぶ、危なっ」 「そりゃ危ないよ、第一君は狙ってぶつかったろ」 マントを羽織ったカービィは降ってきた自分のソードを背負う。 「え、な、何のコトデスカ?」 「さっき遠くで僕の姿を確認してたでしょ」 カビチャが橙色の瞳でカビールを睨む。 「え、見えてました?」 「…やっぱり」 「あ」 しまった、と言わんばかりに両手で口を押さえる動作をするカビール。 「眠かったから気にしなかったけど、さ」 そういい終わらないうちに、カビチャはハイジャンプで木の枝に登る。 「僕、ちょっと休暇とりたいから…おやすみ」 「ゴメン、カビチャ。でも大変なんだ」 瞼を閉じようとしたカビチャが目の色を変えて枝から飛び降りる。 「…また敵が現れたの!?」 「いや、違うんだケド」 「じゃ、お休み」 「待って待って待って、むしろタチが悪いから」 三度枝に登ろうとするカビチャをカビールはかなり必死に引き止める。 カビチャは嫌な表情をしながら振り返った。 「…ヘビチャが遭難した」 「またかぁーーーーー!」 森の中。 すり鉢状の窪地の奥に、蔓に覆われた洞窟があった。 「…で、何でオレらもだ?」 「カビオ、よく言うだろう?旅は道連れ共倒れ、みんなで逝けば怖くない」 「ラビチャ、それは絶対違うから」 肩当をつけたカービィ、カビオがぼやく。 それを諫めるように、三日月の額当がついた帽子を被るカービィ、ラビチャが意味深げな言葉を述べる。 それに素早く突っ込んだのがカビチャである。 「半年前くらいに入ってから帰って来ないんだ」 「長っ…」 「もうとっくの前に出てるんじゃねぇか?」 「んいや、近くでキャンプしてるカービィたちは見てないって」 「じゃあ、別な所に出口があるとかよ…」 カビオの指摘にカビールが黙る。 「でも、最近ヘビチャ見てないしな…」 「私の家にも来ていないし」 住処を構える数少ないカービィであるラビチャ。 ヘビチャはよく戦利品をラビチャの邸宅に持ち込んでいるのである。 「ガラクタが増えなくて助かるけど…」 「そういえば、屋敷の倉庫キレイになってたよね」 ラビチャが顔を背ける。 「…まあいい、さっさと片付けるぞ」 気だるそうにカビオが洞窟に向かって歩き出した。 そして止まった。 「どしたの、カビオ?」 「…足元がくすぐったい」 突然足元の蔓が動き出し、伸びてカビオの体に巻きついた。 「うぉ…!?」 「カビオっ!」 あっという間にカビオの全身が緑に染まる。 「カビオ…今思えば、結構いいやつだったな」 「…ありがとう、君の思い出、忘れない」 「…待てやゴルァ!」 カビオが巻きついてきた蔓を引きちぎってカビールに殴りかかる。 巻きついてきた蔓というのもソウメン程度の太さしかなかったため、抜け出すのは容易だったようである。
「テメェが一番近かった」 三体は巻きつく蔓を払いながら快調に歩を進めていく。 遅れてヨロヨロとカビールがついていく。 そして、洞窟入り口手前。 入り口の上にあからさまに怪しい赤い物体がある。 毒々しい赤色が危険な雰囲気をかもし出している。 「…怪しいよね」 「…怪しいな」 「おい、カビール」 やっと追いついてきたカビールに、カビオは手を差し伸べた。 「ヒィ、ヒィ…ありがとう、カビ、オ…?」 手をとり、安堵の表情を浮かべるカビール。 ニンマリと笑みを浮かべるカビオ。 「だっしゃぁーーー!」 「おいやぁああぁああー!」 すかさず投げ飛ばされるカビールは悲鳴を上げながら飛んでいく。 すると、先ほどよりも一回りほど大きい蔓がカビールをキャッチする。 「…ああ、やっぱり」 「うん、お約束」 「アバヨ、カビール」 「待ったー!これはマズイって!早く助けれぇー!」 悲痛な叫びをあげるカビール。 それに対して三体は冷静である。 獲物を捕らえた蔓が赤い物体に近づいていく。 すると赤い物体は花開くように広がっていく。 その中はさらに深い紅色で、粘液上のものが糸引いて垂れていく。 「食虫植物か…ここ栄養少なそうだからな」 「ラビチャー!そんな冷静さ今イラナーイ!」 嘆くカビールは徐々に紅い口に近づいていく。 そして、太い蔓がスッパリと切断されカビールが落ちていく。 蔓を斬った半月状の光線、ソードビームが空へと消える。 それを放ったカビチャは、振りぬいた剣を構えなおした。 |