ぬちゃ、襲来







「何だ、これ?」

「おいしそ〜」

肩当をつけたカービィ、カビオは青い瞳で気味悪そうにその物体を見つめる。

ナベを被ったカービィ、ヘビチャは栗色の瞳で好機の目でその物体をうっとりと見つめる。

道端に落ちていた半透明の青い物体。

ぬちゃぬちゃ…と。

木の枝でつつくと微かな抵抗がある。飴か、大分柔らかいグミといったところだ。

量はヘビチャのナベ一杯と同じくらいであろう。

「何だろうねこれ、新製品?」

「製品が何で落ちてるんだよ」

「調味料かな?」

「…食べるのか?」

「いつも食べてるでしょう?洞窟とか行くといつも置いてあるし」

「あれ…テメェ食ってたのか」

カビオが呆れているのをよそに、ヘビチャはナベとお玉を用意する。

どうやら調理の準備をしているようだ。

「味見おねがいね」

「待てや」

カビオが止めようとすると、背後に気配を感じた。

「あのね〜、何味にする…?」

ヘビチャが振り向く。

そこには、青い半透明の物体に包まれたカビオの姿があった…。





ラビチャの屋敷。

「うひゃあー!」

ピンクの物体が屋敷の塀を粉砕して池に飛び込んだ。

駆け寄るカビチャ。

悲しむラビチャ。

「カビール!」

カビチャは急いでカビールを引き上げた。





「…あー、酷い目にあった」

「ああ、確かに酷い目にあったよ…」

三日月形の額当てをつけたカービィ、ラビチャが顔を背けて遠くを見ている。

「…ゴメンナサイ」

赤い帽子を被り、両目の間にバンソウコウを付けたカービィ、カビールは額の水滴を拭う。

「それで、どうしたの?」

赤いマントを羽織り、剣を背負ったカービィ、カビチャが質問する。

「えっとね、とにかく大変なんだ。さっきも逃げてきたばっかだし」

「新手の敵か…」

「どんなやつ?」

カビールは一呼吸おいて、言った。





「…カビオとヘビチャだった」

「「何ぃっ!?」」






カビオがカービィたちに襲い掛かる。

ヘビチャもカービィたちに襲い掛かる。

その他色んなカービィもカービィたちに襲い掛かる。

同じカービィたちの争い。

しかし、両者には明確な違いがあった。

先に仕掛けてきたカービィたちは、体が青い半透明状の物体でできていた。

おのれらの知り合いと同じ技を使うが、その動きはどこかぎこちない。

歴戦の戦士たちに敵うはずがなかった。





半透明なヘビチャのハンマーがカビールに直撃する。

しかし、ハンマーはぶつかると、飛沫をあげながら弾けるように飛び散っていく。

「…」

ヌメった顔をしかめながら、ヘビチャはホイールへと変化する。

カビールに轢かれたヘビチャのようなものは、これまた飛び散っていく。

「うわ…気持ち悪い」

「だから、下がった方がいいって…」

カビチャはやや距離をとりながら、カビオのようなものと戦っている。飛沫が体につかないように注意しながら。

「しかし、うって出てきたのが効を制したな。屋敷が汚れなくて済むよ」

「あっちの方でも戦ってるみたい…援護に行こう」

「そうだね…この程度なら心配は無用だろうけど。行くぞ、カビ…ル?」

2体はカビールの姿を見て驚いた。

カビールが青い半透明状の物体に包まれている。

「…帰るか?」

ラビチャはカビチャを促して屋敷に戻ろうとする。

「ガボガボガッ!(助けてよ!)」

「でも、どうすればいいかな?」

「あの飴みたいなものを食べてしまえばいいんだ」

「誰が?」

2体は互いに顔を見合わせる。

「…とりあえず、胸焼けしないようにお茶持ってくるよ」

「ガオッ!?ガブボガ!(んなっ!?悠長な!)」

「ラビチャ、まずあれが甘いかどうかさえわからないんだよ!?」

「ゴボボー!(そこじゃないー!)」

そんなやりとりにあきれ果てたのか、青い半透明の物体が動き出す。

とりあえずカビチャが手を振ってみると、ものすごい量の泡を吐きながらカビールがもがく。

「…結構残酷だな、カビチャ」

「えっ?」

表情を引きつらせたカビチャの頬に、冷たいものが流れていく。

「とりあえず、追跡しようか」

「う、うん」

罪悪感と後味の悪さを覚えながら、カビチャはラビチャと共にカビールを追っていった…。










青い半透明の物体に包まれたカービィがどんどん集まっていく。

巨大な金魚鉢のように巨大な物体の中に、沢山のカービィが浮かんでいた。

「壮観だね、こんなにカービィが集まるなんて」

「年1の集会よりも集まってるね」

「僕はいったことないからわからないけど…。あ、カビオとヘビチャだ」

カビチャの指(?)指す先には、浮かびながら宙を睨むカビオと、泳ぎ回っているヘビチャの姿があった。

「おーい」

「あ、カビールもめっけ」

鬱な表情でカビールが腕をだらりとさせながら浮かんでいる。

「フッ。当然の報いさ…」

「ら、ラビチャ?」

「…さて、どうしたものか」

悪寒を覚えるカビチャを尻目に、ラビチャが打開策を練る。

「ああいうアメーバみたいなやつには、中心となる核があるはずなんだけど…」

「あれのこと?」

「ああ、あんな感じだ…って、ハイ?」

カービィたちを包んだ巨大な物質の奥に、もう1つ別な物質があった。

大きさはやや控えめで、中心には梅干のような赤い物体が浮かんでいる。

核の大きさは大体カービィと同じサイズである。

「作者の独創性の無さには感心するよ…」

「作者?とにかく、あれを倒せばいいの?」

「まあ、それが一般常識…む?」

気配に気づくと、大量の半透明なカービィたちが2体を包囲していた。

「…隠れもしないで堂々してたからね、僕たち」

「よくもこんなに長い会話をさせてくれたもんだ。じゃ、参ろうか?」

2体は走り出した。

半透明なカービィの緩慢な動きでは追いつけず、あっという間に核の前に辿り着く。

「…こんなんでいいの?」

「いいとしよう、カビチャ!」

「はぁ、ソードビーム!」

カビチャは剣を構え、気迫を込めて振るった。

剣から放たれた半月状の光線が、赤い核を真っ二つに…。

「…できない?」

核まであと一歩というところで、ソードビームは消えてしまう。

そして、半透明な液体の保護から外気に晒された核は地面にボタリと落ちた。

「…えー?」

「ちょ、っと予想外だな」

背後では、カービィたちを捕らえていた半透明な物体が崩れ落ちていく。

「これで、クリア?」

「…いや、そうではないな」

解放を確認した2体の前で、核に異変が起きた。







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