『午後のひととき』


午後。
午後と言っても、まだ日の光が暖かい。
時間で言うとちょうど3時だ。
今日はいつもと少し違う日。
何故かと言うと、今日はアッシュにお茶に付き合えと言われたのだ。
こんな事、あの旅から帰ってきてこの数ヶ月間一度もなかったのに…急にどうしたのだろう。
まぁ、旅の前もこんな事は一度もなかったけど。
「ふぅ〜…もうこんな時間か…そろそろ行くとするか。あいつ、時間にうるさいからな」
そう言って、ルークは持っていた本をテーブルの上に置き、自室を後にした。
アッシュの部屋の前まで来ると、ルークはぴたりと足を止め、くるりと後ろを向き、時計に目をやった。
「うっ…3時20分……アッシュ、怒ってるだろうな…ん〜、でも来なかったら来なかったで余計に怒るだろうし…」
しばらく考えた後、一つの決意にたどり着いた。
「よし、ここはいつも通り普通に入ろう。んで、普通にしてればあいつもそんなに怒らないだろ。下手に謝るとめちゃくちゃ怒られそうだし」
ルークはもう一度アッシュの部屋の方に向き直し、深呼吸してからコンコンとノックした。
「アッシュー、入る…」
「遅い!!!」
ルークが言い終わる前にアッシュの「遅い」が部屋に響き渡った。
「まったく…3時だと言っただろ!!この屑が!!!だいたいお前は…」
あ〜、やっぱり怒ってたか。
そりゃそうだろうな…こんなところで20分もじっと待ってたんだし。
ん〜…ここはいさぎよく謝った方が良いだろうな。まだ続きそうだし。
「…って聞いてるのか!?」
アッシュは椅子から立ち上がり、ズイと顔を近づけた。相当怒ってる顔だ…。
なんか、自分が怒ってる顔を鏡越しに見てるような気がしてきた。
「あ〜…えと……」
「…まぁ、今回は許してやる」
「え?」
許す…?
「だから、許すと言ってるだろ!早く座れ」
「あ…あぁ」
何か、今日のアッシュって…
「…ちょっと変」
「何か言ったか?」
「い、いやいやいや、何にも」
ここで突っ立ってもしかたない、とりあえず座ろう。
そう思い、アッシュの向かいの席に腰を下ろした。
目の前の机には、綺麗な飾りがついてある皿にクッキーがたくさんと紅茶が2つ置いてある。
日に光で、紅茶がきらきら光って綺麗だ。
俺は手を伸ばし、真ん中に置いてあるクッキーを1つ口へ運んだ。
「あー……ん?なんだよアッシュ、そんなにじっと見て。俺の顔に何かついてるのか?」
アッシュはハッとして目をそらした。
「き、気にするな」
「ん、まぁ別に気にしないけどさ」
やっぱり、今日のアッシュは何かおかしい…。
とりあえず、ルークは先程口へ運びそこなったクッキーを口へ運んだ。
「あ〜…」
もぐもぐもぐ…
「…どうだ?」
少し不安そうに、アッシュが訊いてきた。
「…あ、結構うまい」
「そ、そうか?」
さっと顔を逸らすアッシュ。
少しアッシュの顔が赤くなったような…気のせいか。
続いて、目の前に置いてある紅茶を一口。
「これもなかなか…」
「屑でも、味覚だけは確かのようだな」
「だけとは何だよ!だけとは!!」
「本当の事を言ったまでだ」
「〜〜…」

後日、それらのお菓子や紅茶はアッシュが作ったものと分かった。
俺は、それが分かった時なんだかうれしく思えた。
「今度は、俺が何か作ってやろうかな…」
外は青空がひろがっていて、そよ風がとても気持ちよかった。


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あとがき

いや〜、やっと1つできました;
アビスのゲームやってないのにアビスが好きでして…;
また、安くなったら買おうかなw