20101215

衆議院議員

阿部 知子 様

「人体の不思議展」に関するお願い

京都府保険医協会

同展を巡る現状について:

12月4日より1月23日までの日程で「人体の不思議展」京都展が開催されている。我々はこの展示には倫理上・人権上の重大な問題があり、加えて法律(死体解剖保存法)に違反していると考え、開催を中止させるための取り組みを行なっている(別紙「理事会声明」参照)。

 法律違反については、1119日と12月9日に京都府警に対して、12月3日には石川県警に対して告発を行ない、告発状の受理こそ叶わなかったものの、京都府警は専従の捜査官を配置して既に捜査を開始していると述べるなど、実質的には告発が受理されたのと同様の経過をたどっている。

 しかし、受理をしなかった理由は、告発の根拠とした死体解剖保存法第19条(別添「死体解剖保存法」参照)に規定する「死体の保存許可」が、「人体の不思議展」に必要とされるかどうかの解釈をめぐって、同法を所管する厚生労働省の見解が不明であると言うもので、焦点は警察から厚生労働省の判断に移ってきている。

2010年9月16日、フランスの最高裁は「人体の不思議展」は禁止と判断した(別添「人体の不思議展、フランスで禁止確定」参照)」。理由は民法典第16条にある「亡くなった人の遺骸は、敬意と尊厳と礼をもって扱われなければならない」というもので、しかるに「商業目的での遺体の展示は、この規定を守っていない」というもの。

死体解剖保存法第20条にも死体を保存する者への同様の規定があり、フランスの判決に照らせば、同展は20条にも違反していることになる。

「人体の不思議展」への反対の取り組みについては、2006年の仙台展を契機として始まっており、それ以降の開催地では、保険医協会や民主医療機関連合会などが反対声明を出しており、今年8月の金沢展では石川県医師会と金沢市医師会が反対声明を発表、10月には日本解剖学会が「人体標本の展示に関するガイドライン」を策定、京都展では京都府医師会も「開催中止を求める要望書」を出している。日本医師会でも生命倫理懇談会が同展の問題について議論を進めている。

 

同展に関して貴職にお願いしたいこと:

1.「人体の不思議展」が死体解剖保存法19条に規定する保存許可を得ていないことは問題ではないかということを、厚生労働省に直接あるいは国会で厚生労働大臣に対して質問して頂きたい。許可が必要かどうか検討中ということであれば、少なくとも京都展の会期中に判断を行うようお願いしていただきたい。

 

2. フランスの民法典にあるような、死体の取り扱いそのものを規制する法律が日本にないことが、「人体の不思議展」のような展示会が今日まで開催されてきた最大の理由であり、今後このような展示ができないように、きちんとした包括的な法整備を行うよう、厚生労働省に直接あるいは国会で厚生労働大臣に対して要請して頂きたい。

 

3.上記2点について、京都府保険医協会として厚生労働省要請を仲介していただきたい。