「人体の不思議展」開催中止を求める声明

 

来る7月17日から新潟県民会館ギャラリーにおいて、「人体の不思議展」が開催される予定です。同展はこれまで、地方の新聞社などマスコミ関係の主催により全国各地で開かれてきましたが、そこには看過できない問題点があります。

第1の問題点は、死体の尊厳が守られていないことです。刑法190条では、「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する」と定めています。こうした死体遺棄を認めない考え方は、死体に対して敬意を払うべきというわが国の社会通念を反映したものです。

また、「死体解剖保存法」では、死体の利用を死因調査、医学教育・研究に限定し、「死体の取り扱いに当たっては礼意を失われないように注意しなければならない」と明記しています。死体には尊厳があるので、医学研究や教育のためといえども安易に利用することは許されていないのです。

しかし、これまで開催されてきた「人体の不思議展」では、プラストミックと呼ばれる技術で防腐処理された人体が全身の皮膚を剥がれた状態で様々な姿勢をとらされ、あるいは各臓器がばらばらに切断されて展示されています。しかも、入場料を徴収し、関連グッズ販売も行うなど、死体標本が利益を生む商品とされているのです。

第2の問題点は、献体者の意思確認が不明だということです。主催者は、展示人体は「すべて生前からの意志に基づく献体によって提供された」と広告しています。しかし、2006年に「人体の不思議展に疑問をもつ会」(代表 刈田啓史郎東北大学元教授)が個人を特定する情報を除いた形での同意書の閲覧を要請したところ、主催者はこれを拒否しています。今日においても、同意に関する内容・取得方法・確認方法・倫理審査の関与の如何、などについての情報は公開しておらず、人体提供者が有料で一般展示されることにまで同意していたのか不明です。ましてや、胎児や新生児、幼児の標本についての意思確認はどのように行われたのか、大いに疑問です。

第3の問題点は、人体標本に外国人を使用していることです。現在、日本国民の献体は商業用(有料)展示の標本にすることはできないため、「人体の不思議展」では、国内法の適用を受けない中国人のものを使用しているようです。外国人の遺体なら商業利用が許されるというものではありません。

私共は、人命を守り医療を提供する医療従事者の立場から、既存の法律には抵触しないとはいえ、このように人権上、倫理上多くの問題を有している「人体の不思議展」は、開催を取りやめるよう強く訴えるものです。

 

平成22420

新潟県保険医会

会長 高畑 與四夫