201035

財団法人 山口県国際総合センター

 理事長 伊藤 俊昭 様

                            山口県保険医協会

                            会 長 高橋泰昭

                             

  法と社会通念にそぐわない「人体の不思議展」の中止を求める要請

 

私たちは、県内の医科・歯科保険医の団体です。来る44日から5月12日まで「海峡メッセ下関」で「人体の不思議展」が開催されることについて、人命を守り医療を提供する医療従事者の立場から、その中止を要請します。

 「人体の不思議展」は、何か医学教育的な意義が有るかのように宣伝され、これまで世界的に開催されているようです。しかし、その内容は、特殊技術で防腐処置を施した実物の死体を使い、全身の皮を剥がれた状態で立て、また、各臓器をバラバラに展示し、或いは、遺体が不必要にポーズをとらされています。

人体標本について「遺体は生前の意思により献体されたものである」と紹介されていますが、意思確認の内容がきわめて不明確です。しかも母体と胎児の標本があり、どのような手続きを経て献体の意思確認がされているのか、大いに疑問が残ります。

わが国では、死体の利用は死因調査、医学教育・研究に限定されています(「死体解剖保存法」)。また同法では「死体の取り扱いに当たっては礼意を失われないように注意しなければならない」と明記しているように、死体に対して敬意を払うべきというわが国の社会通念に根ざしたものです。さらに、献体の必要事項を定めるわが国の「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」は、あくまでも医科・歯科大学などの教育に関する法律であり、死体を一般市民に有料で公開されることを想定したものではありません。フランスのように、2009421日に裁判所がパリで開かれている「人体展」の中止を命ずる判決を出している国もあります。

これに対し、「人体の不思議展」では、遺体が興味本位の見世物として扱われており、また、入場料を徴収し、会場では臓器をモチーフとした土産物を販売する売店も設置されるなど、明らかに遺体が営利目的のために使われています。

さらに、わが国のこのような展示に日本人の遺体を使用できませんので、標本は中国の死刑囚などの死体を使用し、中国の工場で製造されているとのことです。 

以上のように、「人体の不思議展」が含んでいる問題は、人道上・医療倫理上、大いに問題であります。                                                                  

 つきましては、貴職として、下記の事項を執り行っていただくようお願い致します。

1、 上記のような問題点をご検討のうえ、あいまいな「死体の利用」を許さない立場で、「人体の不思議展」への会場使用許可を取り消していただくこと

2、この展示を後援し、また、「招待券」を配っている団体等へ、わが国の法律と社会通念に照らし「死体利用」の是非を深く検討し、直ちにこれをやめるようご教示いただくこと。                                 以上