(次へ)白村江の戦いは愚かだったのか?

NHKの描く捏造白村江の戦い

2007年2月2日(金) 午後10時〜10時49分 総合テレビで放送された

NHKスペシャル

大化改新 隠された真相 〜飛鳥発掘調査報告〜


番組は、日本の軍船は小さな埴輪船として再現し、対する唐(中国)の軍船は超巨大戦艦として再現。リアルなCGで描いた白村江の戦いだった。

もしも、この番組を疑うことなく見たなら、「こんな相手に戦いを挑んでも日本が勝てるわけがない。」「当時の日本は馬鹿な国。」「この戦争を指導した中大兄皇子は愚かな人物。」と思えただろう。また、近代の対米戦争と重ね合わせて「日本はいつも無謀な戦争ばかりしてる国。」だと感じた人もいるかも知れない。実際に、この番組放送後、番組名を入力してブロク検索をしてみると、そうした感想を述べる人が少なくなかった。

 

だが、待て。 はっきり言ってこの番組はとてつもないインチキ番組だ。

当時の唐(中国)軍に、こんな巨大戦艦は有り得ない。

このような巨大船では必用な推進力が人力では得られず走行は不可能で、舵も巨大化し操作不能となる。

そこで、このNHKスペシャルが如何にインチキな番組かを具体的に検証してみよう。


まず、NHKが唐(中国)の巨大戦艦の根拠として最もらしく挙げた資料とは↓これ

見た所20メートルも無い船。NHKスヘ゜シャルはこの程度の船をCGを駆使して果てしなく巨大に誇張した

「全長120メートル高さ30メートル。唐はこの戦艦を海に繰り出し周辺国を脅かしていました。」とNHKはベテランアナウンサーによる迫真のナレーションをつけて主張している。

しかし、このCG戦艦は元の絵のサイズに比べ体積比だと確実に100倍は超えている。誇張もここまで来ると、捏造と言ったほうが相応しい。しかも態々視覚効果の高いCGを使うなどは視聴者を欺いているとしか言いようが無い。

 

それだけではない。そもそも根拠とされる絵が載っている書物とは↓これ

『武経総要』という兵書

この『武経総要』が書かれたのは、なんと北宋の時代の1043年であり、当然、記載された軍事技術は1043年頃の物。

白村江の戦いは663年である。

実に380年も後の資料である。

380年差といえば、1941年完成の“戦艦大和”の設計図を見て、1561年の日本(戦国時代)に46センチ主砲を搭載した“戦艦大和”のような巨大戦艦が有ったと主張するようなトンデモない話である。

“戦艦大和”では余りに極端になってしまうので、別の喩えを出すなら、ナポレオン戦争時代の軍艦を元に、英仏百年戦争時代の軍艦を再現するような物であると言えば良いだろうか。何れにせよ馬鹿げた話だ。

しかしNHKは、そんな馬鹿げた手法を用いて視聴者を欺いた。

番組では380年も後の資料を、あたかも白村江の戦いと同時代の資料のように扱い、唐(中国)軍の戦艦の根拠として提示し、それをさらに果てしなく誇張して、有り得ない巨大戦艦としてデッチ上げたのだ。

歴史の海を走る〜中国造船技術の航跡』 山形欣哉 著


セブンアンドワイ ヤフー店

図説・中国文化百華 016 歴史の海を走る 中国造船技術の航...

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歴史の海を走る―中国造船技術の航跡 (図説 中国文化百華)

NHKが白村江の戦いのCGに登場させた巨大な戦艦は、NHKが根拠として挙げた380年後の資料である『武経総要』でも書かれていない。にも係わらず、このような巨大な戦艦を、いったい何を根拠にデッチ上げたのか判らない。因みに参考として15世紀明代の鄭和の宝船について述べるなら、「実際に宝船が全長134メートルの巨大船であった」とする中国の歴史学者周世徳の説があるが、周世徳は歴史家であり造船技術史については専門でない。周世徳の説に対して、造船技術史の専門家は完全に否定的見解である。

中国造船技術史の専門家、山形欣哉は著書『歴史の海を走る〜中国造船技術の航跡』で「木造船は長くなると船首尾が垂れ下がり、板の継ぎ目から水が入る。西洋では経験から龍骨長の限界を二百フィート(約60メートル)」と述べ巨大宝船説を否定している。 

 

和船』 石井謙治 著

 
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和船 2 [本];

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和船〈2〉 (ものと人間の文化史)

 

石井謙治は造船の専門家の立場から著書『和船供戮如⊆世徳が出土した舵軸のサイズを根拠に巨大船実在を唱えることに対し、この舵軸はそれほど大きな船のものではないことを明らかにした上で、「木造船でこんな巨大な実用的外航船を建造することが不可能なのは論ずるまでもないであろう。」と断じている。 

全長120メートルを超えるような巨大木造船はあり得ないのである。15世紀の鄭和の時代でさえあり得ない巨大船を、それよりも700年以上も前の白村江の戦いで登場させたNHKスペシャルとは、ファンタジー番組であるとみなすべきなのかもしれない。


次に、唐(中国)のデッチ上げ巨大戦艦に対し、日本の船はどのように描かれたのか見てみよう。

史実では白村江の戦いの当時、日本では遣唐使船のような大型船が建造されていた。↓

白村江の戦い(663年)より13年前の白雉元年(650年)には安芸国(現在の広島県)で百済様式の大型船が建造されている。この船が3年後の白雉四年(653年)に派遣された第二次遣唐使用として造られた事はほとんど疑いない。この第二次遣唐使船の乗り込み人数は、1隻に121人もの大人数に達するため、これが大型の構造船であったことは確実だろう。

 

しかし、番組で描かれた日本船はというと

日本の船は白村江の戦いよりも遥に旧時代に当たる古墳時代の埴輪の船のみをCG化。遣唐使船のような大型船は無かった事にしてしまう出鱈目ぶり。

そしてNHKスペシャルの捏造CGでは、チッポケな埴輪船に乗りこんだ倭国軍が、愚かにも唐の巨大船に戦いを挑み、壊滅するという設定で、実にリアルなCGアニメーションで画き込んでいる。

しかし真実では、唐にCGのような巨大船は存在せず、日本にはCGの埴輪船とは比較にならない大型船が存在した。

 

もし本当にこれほど巨大な船が戦いに登場したなら、計り知れないインパクトがあった筈で、史料に記されないはずはない。だが、白村江の戦いの史料である『日本書紀』や『新旧唐書』で、この戦いに関する記述をみても、唐軍に強大戦艦が登場したとする記述は存在しない。そればかりか、両軍に船の大きさに差があったとする記述も存在しない。

真実に照らし合わせて見るならば、NHKが描く白村江の戦いは明らかな捏造である。

これは、日本と唐(中国)の格差を果てしなく誇張することにより、唐(中国)に戦いを挑んだ古代日本とその指導者であった中大兄皇子を愚かに見せ貶めるために用いた洗脳手法に他ならない。

しかし、より深刻な問題は、単に白村江の戦いの描写に止まらず、番組全体に出鱈目や恣意的な印象操作がふんだん使われており、視聴者を欺いているという事だ。

陳腐な学者による珍説や邪推レベルの主張を、殊更ピックアップし、それらを繋ぎ合わせて虚構を作り上げる。それにベテランアナウンサーによる迫真のナレーションを付け「最近の研究では○○の事実が明らかとなってきました。」と最もらしく語らせ、虚構がまるで既定の事実であるかのようにデッチ上げているのだ。

 

  このようにインチキにインチキを重ねたNHKスペシャルが如何に出鱈目な番組かが理解できるだろう。

 

 

番組で明らかとなった真相とは、NHKのインチキ体質であった。

NHKはこのような捏造番組を視聴者から集めた受信料で作っているのである。

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