第10話 遣られちゃった…




    「ナニ言ってるんですっ……ひゃあっ?」

    白い手で俺のナマ腰をサイドから撫でるように触ると、美弥は手をするりとスゥエットパンツの中に忍ばせて来た。

    身体全体で俺に覆い被さり押さえ込むと、しなやかに伸びた指が絡み付くように俺の相棒へと辿り着く。

    「っう!」

    俺の肩が跳ね上がった。

    そうっと握り締められて、焦らすようにゆっくりと上下に扱(しご)かれる。

    「ふはぁ……っく……」

    思わず顎が仰け反り、息を飲んだ。

    美弥は俺の右の耳朶を甘噛みしながら、俺の反応を見てクスクス笑っている。

    「うふふっ、感じ易い? マサくんのって、おっきいんだぁー」

    「あ、耳は弱いから駄目っつ……」

    訂正。

    『耳も』……だ。

    はぁ、はぁ……

    興奮しているのか、美弥の息が俺と同じく上がってる。

    熱い吐息が俺の首筋に掛かり、ゾクゾクする。

    「なコト無いですっあっ、あっ……ん、ん、んっ……」

    仕事でも無いのに、無料奉仕みたいでこんなの厭だっつ!

    ……って最初のうちは思ったけど、美弥はナカナカのテクニシャン? 

    身体がカンジちゃって、美弥の手から逃げ出せない。

    はぁあ、はぁあ……

    「あぅうう……」

    徐々に扱かれるテンポが速くなり、思わず身体がビクンビクンと反応した。

    「し、初対面……なのに。こっつ、こーゆーコトは……」

    ううう……もおイキそう。

    最近忙しくってオナニーご無沙汰してたから、もの凄くカンジルし。

    自分でするのとはゼンゼン違う。

    つか、美弥上手過ぎ。

    「み、美弥さんっつ! あっ、あっ……や、止め……止めてください……」

    俺は自分の理性が完全に吹っ飛んでしまいそうになるのを、必死になってキープする。

    イキナリな展開に、俺もう負けそう……ぢゃなくってもぉ負けた。

    そりゃあ、美弥は俺的に好みの女の子なんだけど、この展開は無いよぉ〜〜〜。

    なんで俺が襲われてんだ?

    逆だろー?

    「ふっ、ふっ、ふっ……駄目よん。ガマンしちゃあ、身体に悪いわ」

    「って、んな、ナニ言ってンですかぁ―――」

    まさか、拾って来た女の子の恩返しがこのサービスっつ???

    いや……美弥は誰にでも『ヤル』って人じゃナイと思う。

    だったら俺はカノジョの好みのフィルタに、光栄にも引っ掛ったってコトなのか?

    ???

    だけどイキナリだなんて、アンマリだよ。

    俺的には、お互いの事をもっとよ―――っく知り合ってからのえっち方向でお願いしたかったのに。

    ……今までモテタ例(ためし)が無かったケド。

    ああ……もうらめ。

    イクッツ。

    イッちゃうよぉ〜〜〜

    「だ、駄目です! こんな所で……」

    つーか、スウェットもフローリングの床も汚れるし。

    ……なら、具体的には何処でえっちすればいいんだろうかと一瞬悩んだ。

    「じゃ、ゴロンしてぇ?」

    「へ?」

    有無を言わさずに仰向けに転がされた。

    って、俺の腹に出せって?

    「あぅん!」

    美弥は素早く俺のパンツを膝まで引き下ろし、上のTシャツを胸の辺りまで引き上げる。

    うぉあ……俺、完全に襲われてるぅ―――!

    「美弥さん、お願いですから止め……っあ! ああっ!」

    俺の相棒を扱いていた美弥の手が、両手になった。

    先奔りの透明な液が潤滑油になって音を立て始める。

    相棒を握った美弥の両手が、スムーズに上下に扱き上げる。

    「ナニ? もっと遣ってって?」

    「ちっ、ちがっつ……はぁう……や、ヤダ……」

    ダブルの刺激が脳天を直撃するぅ―――。

    美弥も俺と同じく頬を上気させ、切ない溜息を漏らしながら熱心に稼働中?

    たちまち俺の相棒が臨界点に到達した。

    怒張して更に硬度が増して来る。

    美弥もその辺は心得ているみたいだし。

    「美弥さん、あう……い、ヤダって……言って……っあああ!」

    「マサくん、イッちゃえ!」

    美弥の両手が加速した。

    「あ―――ッツ!!!」

    目の前が真っ白になって星が散った。

    俺の『たまちゃん』がせり上がり、相棒はドクン、ドクンと力強く脈打ちながら、白濁した体液を断続的に吐出する。

    「きゃあ―――マサくん、いっぱい濃いの出たよぉ―――♪」

    美弥は嬉しそうに実況中継?

    俺は女の子に抜かれたってだけで、もお恥ずいやら困ったやら……って、泣きたいよっつ!!!

    ぐったりと脱力。

    風呂あがりだったのに、もう汗でべとべとだ。


    「もぉ……なんてコト……するんですかぁ……」

    肩で息を整えながら、天井を見上げて思わず涙ぐんでしまった。

    ああ……ショックだ。

    拾って来た女の子に抜かれてしまった……

    恥ズイよぉ〜〜〜

    「あれぇ? マサくん、泣いちゃってるのぉ?」

    自分で半裸にしておいた俺の姿を、余裕の笑みで見下ろしているような美弥の満足そうな含み笑いが聞こえた。

    「な、泣いてなんか……ぃませ……?!」

    上から目線に聞えた美弥の一言で、ムッとなった俺はムクリと上半身を起こし、テーブルに置いてあったテッシュに手を伸ばす。

    「……?」

    テッシュを掴もうとした瞬間、美弥と視線が合ってしまった。

    ニコニコ嬉しそうにしながら、手に付いた俺のモノをティッシュで拭き取っている。

    メイド姿でそんな事するな。

    まるで『ご主人様のご奉仕ぃ〜〜〜』ってノリぢゃん。

    「初対面なのに……きっつ、キモイとかって思わないの?」

    「えー? あたし初対面じゃないよぉ〜〜〜。あたし、ホントーはマサくんの事知ってるもの」

    ドン退きしている俺の目の前で、美弥はヘーゼンとして言い切った。しかも俺の事を『狙っていたのよね』って顔付で。

    「……は?」

    なんで?

    俺は美弥とは初対面……だぞ? 

    ……たぶん。

    「あたしと毎日顔を合わせてるのに、マサくんってば気づかないんだぁー」

    「???」

    自分の腹にぶちまけたモノを、テッシュで拭き取る俺の手が停まる。

    美弥の意味深ドコロかミステリーな言葉に触発されて、俺の頭の中で疑問符が乱舞した。

    「『毎日』……って、一体何処で?」

    美弥は俺のコトを知っている?

    つか、美弥って本当はダレなんだ?

    「えー? 気付いてナイの? マジで?」

    美弥は俺の質問に答えようとはしなかった。

    『信じらんない〜〜〜』って顔。

    そんな顔されたら、意地悪されているとしか思えないじゃないか。

    「う……うん……そのっ、女の子をジロジロ見るのって失礼だと思って……」

    ってか、美弥の方がずうっとシツレイだぞっつ?

    イキナリなコト遣ってくれちゃって。

    美弥は大きな瞳を細めると、妙〜に勘繰った上目遣いで俺を見詰めた。

    「ふ―――ん。それで女の子からの視線に全く気付かずに、カノジョ居ない歴を延々と更新しちゃってたんだぁー。まあ、アイコンタクトが取れないのなら、カノジョが出来なくて当たり前かなぁー?」

    「なにソレ?」

    一体何処まで俺のコトを把握してるって言うんだよ?

    俺、美弥のコトなんか全く知らない……ぞ?

    美弥って、実はストーカー……なんだろうか?




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