第23話 オイシイ?
「だってぇー、マサくんそんなになっちゃって……ガマンしたら身体に悪いでしょお〜?」
「ひぃいい〜〜〜」
目の前に迫って来る巨乳ちゃんの谷間に、俺は思わず悲鳴を上げてしまった。
俺にとってはこんな事、滅多に出会えない超激レアなシチュエーションだし、全く以って免疫が無いけれど……
ど……どうしよう。
オロオロしてしまう俺。
美弥が俺に近付いた時から、俺の心臓は爆発しそうにドキドキして落ち着かない。火が出そうなくらい顔が熱いし、緊張して妙な汗が噴き出してる。
「み、美弥さん、たっつ、タンマ! あ、あのっ、俺……」
照れてしまって俺は美弥から思わず顔を背け、硬く眼を閉じたまま、彼女をSTOPさせようと何気に両手を拡げて前に突き出した。
むにっつ☆
「きゃ!?」
「んぇええ?」
イキナリな美弥の短い悲鳴。そっ、そしてこの俺の掌には、妙にフィットした柔らかくて重みのある感触……ぅううう???
なにこれ?
もみっ☆
「あんっ!」
「うん?」
温かくて妙に弾力がある……ぅう?
俺は顔を背けて硬く眼を閉じたまま、その感触を確かめるように何度も優しく握ってみた。
「ああん、マサくんったら積極的なんだからぁー」
「あっ、あっ、あわわ……」
美弥は吐息のような妙に色っぽい声を出す。俺は両手に感じた『ソレ』が何であるのかを確認しようと、恐る々ゆっくりと眼を開けながら美弥を見上げた。
瞬間、俺は眼を剥いて息を飲み、相棒は更にカキン☆と硬度を増した。
おっ、俺っ、両手で美弥のおっぱい触ってるぅうー!!!
だがしかし、ナンとも言えない柔らかさ。女性特有の下着のゴワゴワが感じられない……ってコトは、美弥は今ノーブラなのかっつ???
ウソっつ。余りにもオイシイシチュエーションに、俺の睡魔は一気に消し飛んでしまった。
ああ、なのに……なのに……俺ってば、緊張しちゃって眼鏡のレンズが曇っちゃったよぉ〜〜〜。なんでこんなオイシイ時に限って、雲っちゃうんだよぉおおお〜〜〜!
「マサくん、眼鏡が曇っちゃってるよ?」
美弥はフフッと軽く笑って、俺の曇った眼鏡の内側を細い指先できゅっ☆ っと拭き取ってくれた。
「あ、ありが……」
改めて見上げると、美弥の顔のアップがあった。
美弥の大きかった眼は、瞼がトロンと下がって半開き状態になり、瞳がうるうるしているし。
ナンだよぉー。美弥ってば、俺のテントを見て、ヤな顔したのじゃなかったのか?
あー、でもこの際『お手柔らかにお願いしまーす』って言い出しそうになってしまう。デカイ初心者マークをオデコに貼っている気分だった。
その時だ。
俺は在るハズの無い、外からの視線を感じて我に返った。
「誰だッツ!?」
俺は軽く美弥の右肩を押し退け、素早く跳ね起きて窓枠傍の壁を背にして貼り付いた。
「……?」
慎重に、窓から外の気配を探るが、網戸の外――ベランダにあった気配は、既に消えている。
一体、誰だったのだろう? ……ほんの一瞬で気配が消えた。
「マサ……くん?」
「し!」
美弥が小首を傾げて、何事かと問い掛けて来たが、俺はまだすぐ近くに居るかも知れない何者かの気配を探ろうと、集中力を高めて部屋の外へと意識を飛ばす。
何だろう? この感じ。
殺気とかは感じられなかったけれど、その代わりに昔の知り合いに会えた時みたいな、懐かしい人に会えたような……そんな感じがする。
「どうしたの?」
「今、ベランダに人が居たんです。美弥さん、今日ココで何か変わった事とか、誰かが尋ねて来たとか……変わった事はありませんでした?」
胡散臭そうに眉を顰めた俺の真剣な問い掛けに、美弥は眼をパチクリさせる。
「よく判ったわねぇー。うん、マサくんのおじいちゃんが来たよ?」
「? おじいちゃん……ですか?」
って、俺におじいちゃんは居ないんだけどな?
「うん? 違った? 『ケント』さん。マサくんのおじいちゃんなんでしょう?」
「ケ、ケント? はぁああ???」
『ケント』がここに尋ねて来たって?
「うん。白髪鼻ヒゲの紳士。この暑いのにスーツ姿だったよ?」
「……」
美弥が眼にしたらしい、白髪鼻ヒゲのスーツ姿の紳士……そして、今さっき俺が感じた懐かしいあの気配……
ま……間違い……無い。本当にケントなんだ。
俺は三年前に別れた、あの日の事を思い出して胸が熱くなってしまった。もう二度と会う事は無いだろうって思っていたのに、執事のケントが……ケントが……わざわざこの俺に会いに……?
会いに……って……何しに来たんだ???
「……何の用事でした?」
「さぁー?」
ボソリと思わず訊ねると、美弥が急に俺に反応する。
「ったぁあああ!」
ハッとした美弥が、涙眼になって両腕をバタバタと羽ばたく様に振った。
「ナニしてンです?」
あ? チョッと俺的に、冷たい言い方しちゃった?
「あーん、言っちゃ駄目って言われてたんだったぁー」
☆!
「あ……そ」
駄目って慌てたって、今更遅せーよ。
美弥はケントから口止めされていたのか……だけど、美弥から直接ケントの名前を聞かなくても、俺が感じたこの気配の主は、恐らくケントしか居ないだろう……とは思っていたんだ。
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