知床岳〜テッパンベツ川を遡行して〜
2005年7月16日〜18日
2005年7月14日 知床が日本で3つ目の「世界自然遺産」に登録された。知床大橋までの道道が今年から5年間の予定で崩落防止の工事にはいるが、観光シーズンの7月13日からはシャトルバスのみ、通行が許されるということである。様々な方から情報収集、船でアプローチも検討したが、結局、シャトルバスを利用し硫黄山登山口から歩くことに。
15日(金)
「知床自然センター」駐車場でテントを立て、安着祝いとなる。早く着いても寝たのは1時を回ってしまった。
16日(土)快晴
5時過ぎに起床し、知床自然センター7時発のシャトルバスに乗り込んだ。ほぼ満席。終点となっている硫黄山登山口で下車したのは十数人。連休で更に林道へ向かうパーティーもいるのではと思ったが、宇登呂へ帰るシャトルバスを見送り知床大橋へと林道を歩き出したのは我々だけだった。バス終点付近には心配していた道路工事の関係者はおらず、ちょっと拍子抜け。
ザックに鈴を付け、ホイッスルを吹きながら林道を歩く。大きく山側に回ってポンプタ川の谷を渡ると林道は高度を下げ海岸へ向かって緩やかに下って行く。青空が広がり、気温もグングン上がってきた。そして、メンバーの緊張が高まってきたのがビンビン感じられた。
ルシャ、テッパンベツ河口地域は熊の生息地。「ぜったにいる。」事前に知床情報をいただいた全ての方からそう聞かされた。左手にオホーツク。海岸脇の雑草の中を林道が延びている。なんとも気持ちの良い光景だが、早々「熊だ」の声。先の海岸に熊がいるらしいが僕には見えなかった。
ルサ川を渡りテッパンベツ川河口。そして、当然のように「いた」。対岸に小熊。
睨み合い。親熊はどこだ? 我々をしばらく見ていた熊は、川岸をゆっくりと上り、姿を消した。我々は大急ぎで遡行を開始し、ホイッスルを吹き鳴らしさらに20分ほど歩いてコタキ川分岐で大休止を取る。何故か、河口から離れると遭遇の可能性は低くなると考えていた(本当か?? そんなわけないよな)。
川自体、特記すべき川ではないが、なかなかスピードが上がらない。良く滑る川であった。CO230付近、右岸に絶好のテン場。時間は早いがここでテントを立てることとする。寝不足、河口地域を過ぎて熊への緊張感から解き放たれたためか、ぐったりと疲れた。木にロープを張り、川水と汗で濡れた衣類を干す。リーダーは風邪か、しきりに鼻をかんでいる。
これから知床の核心「ハイマツの海」に入っていく。それはメンバー全員が理解していること。「ここから最短で3時間。頑張ろう」とリーダーが確認。行動食を口に入れる。リーダーはめざとくギョウシャニンニクを刈り取ることも忘れない。
雪渓をつめて行くと前面に緑の斜面が広がった。これから3時間の藪漕ぎだ。視認できる稜線下には雪渓が点在していた。コースは点在する雪渓を繋いで行くように取ることにし、笹藪に突入する。雪渓の下端は氷の帯が藪の中に延びており、雪渓に上がるのには両手で笹を握り締めて身体を引き上げる。藪を分けてきた身にはこれが辛い。何とか最後の雪渓に上がり、長く傾斜のある雪渓をバイルでステップを造りながらにじり登った。「軽アイゼン、持ってくれば、、、」
下部からスカイラインに見えた岩壁帯の上に出ると傾斜が緩んでハイマツ帯となる。頂上稜線へ斜面が更に続くことを確信し、ハイマツの枝を踏み泳ぐように進んだ。しかし、恐れていた「ハイマツの海」は背も低く、大きなハイマツは疎ら。割と楽な海だった。小一時間だろうか、ハイマツの枝を足場にして泳いでいくと、ポンと登山道に飛び出した。
稜線上にザックを置き、頂上を往復する。0メートルから2日掛って念願の頂上を踏んだ。
北側がスッパリと切れ落ちている稜線の踏み跡を辿る。崩壊が進んでおり、早晩今の登山道は崩れてしまうだろう。
CO1132ピークにでると、やっと知床沼(ポロモイ台地)が見えた。大小の沼が2つ。大沼の脇にはテントが張られている。灌木の中の道を標高差200bを一気に下り、小沼脇の草地にテントを立てた。
16日
3日目も穏やかな朝だ。昨夜は暑く、シュラフカバーから飛び出していた。今一熟睡感がないまま起きてしまったが、疲れのためか?
5時50分、テン場を出る。
小沼、大沼を巡り、下山への登山道を下る。大規模な崩壊地を右手に見ながら尾根を下り、ウナキベツ川に降りた。単調な森の中の登山道をダラダラと下り9時過ぎに河口にたどり着いた。
9時20分、観音岩を出発。観音岩は海中から岩峰が突きだし、海岸線を歩くことはできない。岩峰肩のルンゼに固定されたロープを掴みながら海岸へ降りた。右手は100bはあるのではと思われる崖が延々と続く海岸の前浜は大きな石が先に延びている海岸線を淡々と歩く。一昨日のウトロ側とは違う風景だった。
途中雷が鳴り小雨がぱらつく中、11時ちょうどに相泊に辿り着いた。
L:poyanpy M:お勝姉、求チャン、山遊人