兄さまに質問です。

――適当に好き勝手に質問して答えてもらう、質問コーナー。質問者はわたくし、エステルがお送りします。今回の回答者は兄さまです! 兄さま、よろしくお願いします!
「よろしく頼む」

――質問はわたしが考えたわけじゃないのが残念なところです。兄さまに聞きたいことたくさんあるのに。
「それはまた今度聞けばいい。答えられることならなんでも答える」

――本当ですね!? よーし、それを励みにがんばって質問したいと思います。
「ああ、がんばってくれ」

――じゃあ早速第一問! 兄さまの好きな花……って、訂正線が引かれてる。そっか、本編に出てきますもんね。
「好きな理由だけでも答えておこうか?」

――そうですね。サクラが好きな理由を教えてください。
「前世で好きだったから、だな。前世では、故郷がサクラの名所でな。里帰りは都合がつけば春にしていた。仕事で海外に行くこともよくあったんだが、日本でサクラを見るたびに帰ってきたんだという気がした。同僚と花見をするのも好きだったな」

――そんなことがあったんですか。サクラは日本人の心ですよね! それでは第二問。前世ではどんな恋をしましたか?
「……答えにくい質問だな」

――それが狙いのようですね、どうやら。質問を変えますか?
「いや、それはルール違反だろう。答えよう」

――さすが兄さま、がんばってください!
「恋……か。前世の私は仕事人間だったからな。仕事の軌道が乗ってからは、そんなことを考える暇もなかった。学生のころの話でいいだろうか」

――大丈夫だと思いますよ。
「高校二年生のときに、生徒会の先輩に告白をされたことがあった。元から好意を持っていた先輩だったから付き合ったんだが、二ヶ月ほどで別れてしまったんだ。その理由が、メールがそっけないから、だった。大学生のときにも二度ほど似たような理由で別れたな。この世界には携帯がなくてよかったと思う」

――すごく兄さまらしいです。別れを告げられたとき、つらくなかったんですか?
「それはもちろん、悲しくはあった。だがそれよりも、相手につらい思いをさせていたということが申し訳なかった。だからと言って性格を直せるわけもなく、結局メールは大人になっても業務連絡の域を出なかったわけだが」

――難しいところですね。次は第三問です。なぜサクラとイリーナさんを結びつけているんですか?
「それは……イリーナと初めて出会ったのがサクラの木の下だったからだ」

――本当にそれだけですか?
「……イリーナは黒髪だろう。だから、前世を思い出して。最初は自分の記憶が見せた幻影のように思えたんだ。もしくは……サクラの精のようだと」

――おおー、ロマンチストですね兄さま!
「恥ずかしいからあまり話したくなかったんだが……」

――ごちそうさまでした。最後の質問です。イリーナさんに振られたらどうしますか?
「どうする……か。考えられないな。イリーナほど私を理解してくれる相手に出会えるとは思えない」

――ベタ惚れなんですね。
「否定できないな。イリーナは朗らかなだけでなく、本質を見抜く目を持っている。優しさを持って、人の内側にするりと入ってくる。イリーナには敵う気がしない」

――何しろ兄さまが都にいた少しの期間で惚れ抜いちゃうくらいですもんね。すごいなぁイリーナさん。
「質問の趣旨と違ってしまったな。これでよかったのか?」

――きっと大丈夫です。うん、たぶん。ではでは、これで質問は全部です。兄さま、回答お疲れさまでした。ありがとうございました!
「エステルも質問ご苦労様。ではな」
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