ボクは人よりできないことが多い…。

呪文の書き取りテストなんか、
1ケタ以上の点数を取った事ないし、

名前の欄だって…
あ、ボク『クリス・ワンダー』っていうんだけど、
「ク」と「ワ」がどうにもうまく書けなくて、
いっつも先生に、

「クリス、あなたはカタカナから勉強なさい。これでは「ワリス・ワンダー」ですよ!」

なんて言われちゃうんだ…。

どうしてボクはこんなに駄目なんだろう…。
強い魔法使いになる為にこの学園に来たのに…。

でも…やるしかないか!!
だって、どんなすごい魔法使いだって、
最初はみんなLV1だったんだから!!


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朝。

「クリス!オキル!アサ!オキロ!パル、オコルゾ!」

日射しが気持ちいい。
いつもと変わらない外の小鳥たちのさえずりを聞きながら、
ボクはもう一度ベットの上で身をよじってふとんを被った。
ぬくぬくしたふとんの中に埋もれながら、
意識の遠くかなたで、ずっと続いている甲高い声を聞きとる。

「クリスー!チコク!バカ!オキナイクリス、バカ!」

何?この声。
はいはい、どうせボクはできそこないのバカですよーだ。

「クーリース!オキロ!オキロオキロオキロオキロキロキロ!!」

なんかちょっと重いモノが、ボクのふとんの上でぴょんぴょん跳ねている。
でもそんなことお構いなしに、ボクはもう一度ふかくふとんを被り直した。

「オコッタ!パル、オコッタ!!!」

ボクの上で跳ねているモノが、いきなりボクのふとんの中にもぞもぞと入ってきた。
そして、ボクの頭のあたりで…
コンコンコンコンコンッ!!

「痛ぁぁぁぁっ!ちょっとパルッ!!」

思いっきり突ついてきた。

こんなヒドイ事をするのは、ボクの相棒、メール鳩のパルしかいない。
パルは、えっへんと胸を膨らませながら、
ベットのヘリにとまって翼をバタバタさせた。

「オキナイカラ!パル、エライ!クリスオコシタ!」
「痛いなぁ、もう…。」
突かれた頭を撫でながら時計に目をやると、すでに8時を回っていた事に気付かされた。

「っっっ!!やっばいっ!!!また遅刻だぁぁぁ?!」
「イソゲ!キガエロ!フク!」
「あーっ!!ちょっと!ベルトどこ?!」
「バーカ、クリス、バーカ!」
「うるさいなぁ!パルも起こすならもっと早く起こしてよね?!」
「パル、エライ!クリス、バーカ。」
「もー!!いいから早く準備しなきゃ!!」


ベタだよね…。
ベタでしょ?
でもボク、ホント毎日こんな感じなんだよね…。