エコニア帰りの週末。ギリ10代×20そこそこ ※  

 

 

 


 

    不慣れな週末





  安ホテルは、本当に安ホテルだった。


  アッテンボローは、なんとなく室内を見回した。

  …エル・ファシルの英雄がね。

  いくら官舎が決まるまでの短い間とはいえ『英雄』に不似合いな部屋だ。

  「アッテンボロー、本当に外泊届け出してきたんだろうね?」

  ベットと机と椅子一脚と小さな冷蔵庫だけなのに狭く感じる室内にボーとしていると背後から声を掛けられ、振り向く。

  「勿論」

  …『英雄』には似合わないけど先輩には似合うな。

  そんな失礼な事を隠す爽やかな笑みに、ヤンは缶ビールをアッテンボローに投げ、ベッドの端に腰を落とした。それをキャッチ

  したアッテンボローはギリギリ10代だが彼にはビールは少し刺激のある小麦産の炭酸飲料だった。プルトップを開けてヤンの

  隣に腰を落とす。

  なんとなく会話がないが別に気不味いわけではなく、ヤンも缶を開けて咽頭を潤した。アッテンボローもそれに習いビールを煽

  りながら、ヤンの反らした首筋の上下する、殆ど目立たない喉仏を横目で見遣った。そして一口飲んだアッテンボローはおもむ

  ろに口を開いた。

  「先輩、エコニアで浮気したでしょ?」

  「——ッッ??!」

  ヤンは飲み込んだビールを少し吹き出し、思いっきり噎せた。

  「な…っ…なにい…っ」

  咳き込みながら必死に言葉にしようとするが、その努力は大して報われなかった。

  「…やっぱり…」

  不貞腐れた様に小さく呟いたアッテンボローはヤンの手からビールを取り上げ、少し腰を浮かせて手の届くテーブルにそれを置

  いた。

  噎せて掠れた声でヤンは反論を試みる。

  「やっぱり、ってお前、私を信用してないのかい?」

  非難を露に不貞腐れた年下の恋人を睨み付けるが、アッテンボローの真剣な、懐疑的な眼はどんどん近付いてきた。

  「な、なんだい?」

  じりじり迫るアッテンボローに押され、ヤンの体はベッドに傾いていた。

  「…ケーフェンヒラーってじーさん、先輩好きだったでしょ?」

  「好きって、あのね、お前酔ったのかい?」

  とうとうヤンの体はベッドに沈み、ワケの分からない嫉妬心に呆れた。

  「………」

  アッテンボローはヤンに覆い被さり、真上から黒めがちの瞳を睨み付けた。嫉妬心剥き出しの鉄灰色の眼にヤンは諦めと呆れの

  溜息を付いた。

  「好き、っていうかなんか憎めない人だったよ」

  「俺の場合、それは好きと同義なんです。浮気ですよ」

  正しくいちゃもんである。

  「浮気なんてしてない」

  ムッとした様子は些か子供じみていて、軍服を着ていても年下に見える容姿がさらに幼く見える。ほくそ笑みそうになるのを隠

  す為、アッテンボローはヤンの耳元に唇を寄せた。

  「浮気ってカラダだけじゃないんですよ」

  声のトーンを落した声と呼吸が耳の奥をくすぐり、ヤンは肩を竦めた。

  「ダメですよ、俺以外を好きなっちゃ」

  「…っ」

  唾液が滴る舌で嬲られ、木霊する水音。

  「す…好きって、そんな…っ…」

  アッテンボローとの関係は士官学校からだが、行為に未だに慣れないヤンは耳の奥で木霊する水音に掻き消えそうな細い声で反

  論した。

  僅かに上擦った声にアッテンボローの口角が上がる。


 

  「どんな種類の好きも許せないんですからね、俺は」


 

  偽悪的な笑みでそれ以上の反論も抵抗も抑え込み、ヤンの軍服のジャケットの前を開く。スカーフを抜き取り、ネクタイを解い

  て、白シャツのボタンを外していく。器用に片手で、とはいかないので両手使用。

  「…ん…ぅ…ぁ…っ…」

  その間、唇を駆使し、啄むような口付けと時折強く吸い上げるような口付けを何度も繰り返す。中途半端な体勢だが、真面目に

  鍛錬した背筋は根を上げない。そのままベルトを外し、スラックスのボタンとジッパーを下げるとアッテンボローは漸く上半身

  を起こした。

  そして、自分の服を床に脱ぎ捨てる。

  「…ぁ…」

  均等に筋肉が乗った瑞々しいしなやかな肉体に見惚れると同時に、あからさまにこれから、といった感じでヤンは羞恥に頬を赤

  く染め顔を逸らした。

  上半身を曝け出したアッテンボローが再び伸し掛かり、触れ合う乾いた肌にヤンは未だに困惑を覚えるのだ。

  「先輩…」

  「ちょ、ちょっと待てっ」

  腕を突っ張るがヤンの力でアッテンボローを退ける事は出来ない。無駄な足掻きにアッテンボローはほくそ笑みながら細い首筋

  に舌を這わせた。

  「電気!電気消してくれ!」

  ゾクゾクと背筋を昇る感覚を抑え、羞恥と興奮で掠れた声でヤンは必死に叫んだ。

  「え――……」

  真っ赤なヤンに対しアッテンボローは不満が有り有り。

  「お前ね、ちょっとは私の事も考えてくれよ」

  恥ずかしくって、それどころじゃない。

  なんとも情けない顔のヤンに、何故かアッテンボローは不貞腐れた。

  「考えてますよ、俺。先輩の事ばっかり、考えてます」

  「だったら…」

  「エコニアから戻ってくるまで、ずっと」

  「……………」

  一気に話しがズレた気がし、ヤンはじっと覆い被さる男を見つめた。

  「いや、ホントは初めて会った日から、ずっと…」

  ヤンは瞬きを繰り返すばかりで、反応の薄さにアッテンボローは髪を掻き毟った。ちょっと突飛なことを言った自覚はある。

  「と、とにかく、電気はこのまま!久しぶりなんですから、ちゃんと先輩を見たいんですっ!」

  「ちょっ…あっ!」

  キュッ、と下肢を握られ、性急に擦り上げられる。

  「やめ…っ」

  アッテンボローの手を止めようとするが、逆にその昂る下肢に持っていかれる。

  「待てません。分かるでしょ?」

  スラックスの上からでもその力強い脈動が伝わるほどだ。ヤンの体は正直に求められる歓びに震え、ピクン…と震えながら先端

  から雫を零した。

  「…は…っ…ぁん…っ」

  ヌメりを帯び、アッテンボローの動きは激しくなる。

  粘りのある液に卑猥な水音と苦しげな喘ぎと交じり、安ホテルの部屋の空気が気怠げに変わる。

  「…あ…あっ…アッテンッ!」

  下肢から沸き上がる快楽に明るい照明とじっと見つめてくる男の視線を意識の外に追いやり、ヤンは早く解放される事を望み出

  した。

  ヤンの手は無自覚にアッテンボローの陰茎を摩り、間接的な焦れる快楽と悶えるヤンの媚態にアッテンボローは汗が滲むのを感

  じる。

  「…やば…ほんと、もうムリ…」

  もうちょっと乱れる姿を見ていたいが、そんな余裕はない。

  「…ぁ…?」

  不意に離れた快楽にヤンは霞む視界の中で年下の恋人を捜す。見つけるよりも先きに、金具の外れる音が耳に届き、なにを意味

  するのか分かったヤンはなんとも云えない羞恥に駆られた。

  …な、なんか、き、期待してるみたいじゃないか…。

  アッテンボローがベルトを外し、スラックスを脱ぎ、そしてそのあとのコト。

  所在なげ、というか、居心地悪そうにモゾモゾしているヤンに、全裸になったアッテンボローがベッドに乗り上げる。

  加重に軋むスブリングは安いだけあって耳障りだが、若い性には情欲を煽る意味深な音に聞こえた。

  「…先輩…」

  低い声に困惑と羞恥に、緊張。ヤンは整理のつかない頭の中を整理しようと髪をくしゃりと掻き回した。そんなことをしても期

  待に逸る下肢は落ち着きはしなかったが。

  アッテンボローはヤンの下着と一緒にスラックスも脱がした。ぎこちなさを残す者同士協力し合う、とはヤンには出来なかった。

  恥ずかしいし、アッテンボローもそんな器用さをヤンに求めていない。脱がすのも楽しみなのだ。ヤンの腕を引っ張り、上半身

  を起こさせると細い首筋を唇で辿りながら、ジャケットごとシャツを脱がす。徐々にキスを胸へと降らせ、二人の体は重なりな

  がら再びベッドに沈んだ。

  「…ぁ…はっ…んん…っ」

  快楽が滲む甘い喘ぎに、ヤンが身じろぐ度に意味深なスプリングの軋む音に聴覚は侵され、自分が付ける所有の痕と快楽を甘受

  するヤンの表情に視覚を侵される。熱が籠る体は薄らと肌を湿らせ快楽の香りを燻らせる。湿った肌を舌と唇で堪能し、吸い付

  く肌の感触。組み敷く体を犯しているのは自分の筈なのに、いつも五感総てを支配される。イカれてる、と思う。子供じみた嫉

  妬や独占欲で、攫み得ない存在を無理矢理捕まえようとしてしまう。

  …甘やかすからいけないんすよ。

  仕方なさそうな笑みを浮かべて、受け入れてくれる。それで充分だった筈なのに、どうしようもない独占欲が沸き上がる。

  もっと、もっと、と図々しく求める自分を抑えられない。


 

  特に今は――


 

  「…ぁンッ!あっやっ!」

  蕾を解かし、内部を広げる指が引き抜かれ、脚を大きく広がられる。煌々とした照明の元に曝される羞恥は快楽に助長され神経

  が灼かれる。本能剥き出しのアッテンボローの視線にまで肌を刺される。耐え切れず、ヤンは手繰り寄せたシーツで熱く紅潮し

  た顔を隠した。

  その様子にアッテンボローは苦笑を禁じえない。今時そんな可愛く恥ずかしがる処女もいない。なのに蕾は淫らに蠢き、早く…

  と誘う。

  「…先輩…」

  声を掛けるとほんの僅かシーツが動き、ヤンが頷いたのが分かる。

  初々しさと、相反する媚態に自然とアッテンボローの咽頭が鳴る。陰茎の先端を蕾に押し当てると、襞の蠢きに兇暴な欲望に理

  性が灼き切れる。

  「くっ…せん…ぱ…ぃ…」

  「ん―――ッ…ぅ…っぅ…ぃ…た…っ」

  時間を掛け解したつもりでも、久しぶりのコトで容易にはいかない。それでもアッテンボローは止めずに奥を目指した。シーツ

  を握るヤンの手は白くなる程でくぐもった呻きが漏れていた。

  かなりの痛みがヤンの四肢に広がり、腕に掛けた両の太腿が小刻みに震えている。

  「…もうちょっと…すみません…あと少し…」

  なにが『もうちょっと』でなにを謝っているのか、なんで『あと少し』なのか、痛みを耐えるヤンには分からないし、実のとこ

  アッテンボローも呟いた自覚がなかった。痛みと少しの快楽に蠕動する内壁の襞が纏わり締め付けてくる快楽に思考が圧迫され

  ていた。

  「―――ァッ!」

  痛み以外に跳ねる体。押し進む陰茎の先端がポイントを掠めた。

  「―――っつ!」

  途端に締め付けは一層きつくなり、奥歯を噛み締めてアッテンボローは襲いかかる快楽に耐えた。男としてのプライド、といえ

  ば言葉はいいが単にこれ以上みっともなくなりたくないだけだ。

  「はっ!」

  マジでだめだぁ…!

  体内に蓄積させた熱を鋭く吐き出し、ムードのない情けない声で締めくくられる。

  「……?」

  電流のような鋭い快楽に末端まで痺れた後にベッドに力なく沈み込んだヤンはその声におずおずとシーツを目元まで下げた。

  「…アッテンボロ…?」

  困り果てた様に項垂れる姿にヤンも困った。

  「あのですね、正直ここまで切羽詰まるとは思ってなくてですね…ちょっと…」

  「??」

  意味不明の事を言い淀むアッテンボローに、薄紅色の目元に濡れた漆黒の瞳はキョトンと小首を傾げた。

  …ああ!もう!なんで、そんなに可愛いんですかねっ!

  内心でヤンの可愛さにのた打ち回る年下の恋人。

  「すみませんっ!」

  「え?ええっ?!」

  ヘタレ一変、野犬化。

  アッテンボローはヤンの足首を掴み、体を深く折らせて掴んだ足首をベッドに押え付けた。

  「いっあ―――ァッッ!!」

  半ば引き抜かれた陰茎は勢いよく内部を貫いた。アッテンボローの体重によりその衝撃は重く、脚を大きく開かれたため先程よ

  り深く抉った。

  「あっあっあぅっ!!」

  それは一度では終わらず、何度も何度も繰り返された。引き抜かれる度、貫かれる度に甲高い声が安い部屋に響く。

  悲鳴のようなそれは次第に色を帯び、快楽の矯正に移り変わる。

  「ひっやっアッテッ!!」

  畝る熱に飲み込まれる。

  頼りなシーツから確かなアッテンボローの腕に縋った。

  呼吸も覚束ない激しい律動に細胞まで震える。

  「――ッ!先輩っ!!」

  それはヤンだけではなかった.

  腕に爪を立てられたチリつく痛みと締め付ける内部の凄まじい快楽は、よりアッテンボローを駆り立てた。

  体が自分の支配下から離れる。

  「あ、ああぁ―――――っっ!!」

  穿つ強さに内壁の粘膜が削れたかのように熱く爛れていく。抜き出しの感覚に、狭いポイントを的確に貫かれ,眼も眩む快楽に

  きつく閉じていた瞳は焦点を定めず見開いた。

  苛烈な快楽の掌に心臓を握り潰され、全身が波打つ。一瞬、ヤンの体は強張り、果てる。

  「―――くぅっ!!」

  強張った瞬間の喰い千切られる締め付けに、ギリギリ耐えたアッテンボローは果てたあとの弛緩するその時を見逃さず一際奥深

  くまで陰茎を捩じ込む。

  遠くでヤンの悲鳴が聞こえたような気がしたが、鋭く息を吐くと同時にアッテンボローは身の裡を埋め尽くす欲を吐き出した。

  「…ぁ…あぁ……」

  内部を満たす熱に漏れた快楽の余韻は確かな陶酔を孕んでいる。

  汗で湿ったシーツは二人のまだ快楽が残る乱れた呼吸をひっそりと吸い込んでいく。

  全身を覆う気怠さに、未だヤンの思考は靄付いていた。

  煽情的なしどけない姿はアッテンボローの眼を楽しませた。俗にいう、眼福。

  …ん?

  アッテンボローは満ち足りた気分に浸り、ヤンの頬に粘りのある液が掛かっていることを見つけた。

  勢い良く放たれたヤン自身の精だ。

  「…え?なに?」

  頬を舐められ、それまでボーとしていたヤンは不意のことに少し意識を取り戻した.

  「先輩の」

  舌で舐めとったそれをアッテンボローはべー、と舌を出してヤンにワザと見せた.

  「―――――—っっ??!」

  白濁としたそれの正体に、ヤンは一瞬で耳まで真っ赤に染めた。予想通りの反応にアッテンボローは悪戯小憎の笑みを浮かべる。

  「ア…ア…、アッテンボローッッ!!」

  恥ずかしく、腹立しいことこの上ない。

  ヤンは怒鳴ったが、待ってましたとばかりにアッテンボローは開いた唇を塞いだ。

  「ん―――っ」

  独特の苦味が口腔に広がり、ヤンは不快に眉を顰めた。

  …このっ!

  ヤンは鉄灰色の髪を掴み、思いっきり引っ張った。

  「いててっ!」

  「あ、ごめん」

  大して痛くもないがアッテンボローは大袈裟にリアクションを取る。するとヤンはすぐに手を離した。

  「へへっ」

  ニンマリとしたアッテンボローの笑みが至近距離で、ヤンは後輩の計算高さに内心呆れながらムスッと不貞腐れた顔を作った。

  「先輩、もう一回」

  「へ?」

  ヤンはシーツを被って機嫌の悪さを示そうとしたが若さ故の図々しさに素っ頓狂な声を上げることになった。

  「あっちょっ?!」

  図々しいから了承なし。

  淡く色付いた胸の突起を口に含み強く吸い上げる。鍛えていないヤンの体は程よい肉が柔らかくつき、掌にすっぽり収まる。全

  体を揉みながら、ツンと尖る突起を押し潰した。

  快楽を孕む甘い声が室内に広がり、でも、ヤンの内壁は蠕動し収縮した。

  陰茎に絡み付く肉の刺激にアッテンボローは腰を蠢かせ、ヤンの内壁は応える。

  「…んっ…ァっ…アッテ…ボロ……」

  甘く切ない声にアッテンボローはヤンを覗き込み、幼さの色濃い輪郭を掌で包み込んだ。

  「先輩のほっぺ、柔らかいですよね」

  それは人種的なものかもしれないが、アッテンボローにはヤンのみに許された柔らかさだと思った。

  …なんてったって―――

  誂えた様に掌にピッタリと収まるのだ。

  アッテンボローはなんだか嬉しそうで、ヤンはに困ったような仕方ないような笑みを浮かべた。

  そして、同じ様にアッテンボローの頬に掌を添える。その頬は青少年よりも青年が似合ってる。

  自然と二人からクスクス…と小さな笑い声が漏れた。

  アッテンボローが近付く。ヤンの手が滑る。

 

 

  唇が触れる時には精悍さを滲ませる首根に細い腕が回り、少し癖のある黒髪は抱き込まれたいた。



 

 

  久しぶりの逢瀬は、まだ始まったばかり―――



 

 


  しかし忘れてはいけない。安ホテルは壁が薄いぞ!




終     

 




 

2009/09/06 

 

 

 

アッテンの「大人じゃない独占欲」

でもテクがついてきません。ギリ10代ですから(爆)


螺旋迷宮の20そこそこのヤンの可愛らしさはもう18き…

幼少期、10代はもう犯ざ…


本当に螺旋で迷宮です。一度見始めると、なかなか戻って来れませんでした。


スパ・ラビ 万歳!! プチ・オンリー 万歳!!